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81 禁書発動?

間に合わない、そう思うと僕の足は重くなった。サロムまではあと数メートルだったが、禁書の発動は止められないと思った。なら、逃げたほうが安全ではないか?


思わずサエの方をうかがった。サエが心配だったからでは無かった。いつものように、サエに頑張らなくていいと言って欲しかったのだと思う。


サエはジークスの攻撃を何とか受け流していた。無理をしているのだろう、肩で息をしていた。僕の動きが鈍くなったのを空気で察したのだろうか、僕が視線を送ったその時に、ちょうどサエがこちらを振り返った。疲れを感じさせない、強い意志に満ちた表情だった。


「レイリなら出来る!行って!!」


期待していた言葉と違ったが、何故か足が軽くなった。思えばサエに頼りにされたのは初めてかも知れない。サエはいつも1人で出来ると言って突っ込んで行って、うまく行かなくなって僕が助けるパターンだったけど、僕に助けを求めたことも、僕に戦力を期待したことも無かった。それはビビリの僕に対するサエの優しさなんだと思うけど、僕はサエと対等になって、頼られたかったんだ。


僕の姿をしたサロムが魔力を禁書に流し始めたようで、禁書が薄く光り始めた。光が次第に強くなり、焼けた鉄のような赤いまばゆい光を発したとき、僕の手が禁書に届いた。


「もう遅い!」


サロムが叫んだ。僕は目をつぶって無我夢中で禁書をもぎ取り、そのまま走り抜けた。


「ナイスだ!レイリ!」


タロトが後ろで叫んでいた。走りながら振り返ると、呆然と立っているサロムが見えた。何故か僕の姿をしていなかった。サロムもわけがわからない様子で、自分の薄紫の手を眺めていた。


僕は柱の陰に隠れて、息を整えた。心臓がバクバクしていたが、全力疾走したからだけでは無かった。


タロトが駆け寄ってきた。


「間一髪だったな。レイリが弱くて助かったぜ。」


僕は何のことかわからず、タロトの顔を見た。


「俺様の能力を忘れたか?スキルを奪えるんだよ。自分の魔力で使えるってのと、使うところを見るってのが条件だけどな。サロムがレイリに変身した時、使用した魔力が俺様のこのガキの身体で使えるレベルだったから奪えたんだ。禁書奪取といい、ダブルでお手柄だな!」


タロトはニヤリとしてバンバンっと僕の背中を叩いた。生命力が高いと化けるのに必要な魔力が多くなると、魔人達が話していたのを思い出した。僕の生命力が低いから、僕に化けるために必要な魔力が少なくて、タロトがスキルを奪えたの?うーん、なんか弱くて良かったと言われても複雑な気持ちだ。まぁとにかく禁書は奪った。後は逃げるだけだ!

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