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8 魔人を倒すのは無理ゲーです

「では使用する魔力量を指定して下さい。魔力量に応じて魔物にダメージが入ります。」


女の人の声が説明してくれる。


「どのぐらい使えばこの魔人を倒せますか?」


「それは鑑定系のスキルが担当しているので応えられません。」


残念だが仕方ない。自分で必要な魔力を見積もろう。最低でも生命力の20万と防御力の2000を足して20万2000は必要だろう。だが自分のステータスを正直にさらすだろうか?僕なら安全のため100分の1ぐらいを言って油断させる。100倍して2020万は必要だな。


待てよ、防御力って引き算なのか?割り算だったら、2000万÷2000で1万しかダメージが与えられない。割り算の可能性を考えて2000万×2000で4000億にしよう。


「決まりました?早くして下さーい。…ズズズ」


女の人の声とお茶をすする音が聞こえた。適当に仕事してる感じがする。あんまり待たすと時間切れとか言われるかな?じゃあ4000億で…待てよ、魔力量に応じてと言ってたぞ。使った魔力全てがダメージになるんじゃ無くて、半分とか10分の1になる可能性があるな。


「4兆でお願いします。」


「ブーッ!!」


お茶を吐く音が聞こえた。


「桁が大きすぎる!持ってる魔力量以上は使えませ…あれ、無限とか書いてある。嘘でしょ。ねぇ、もう少し少なくても大丈夫なんじゃないかな~?」


「どれだけ使えば倒せるか教えてくれるんですか?」


「そ、それは出来ないけど、桁を間違ってる事だけは教えてあげるわ。」


「じゃあ40兆…」


「上げるな!わかった!4兆でやるからちょっと待ってなさい!」


しばらくハンドルを回すようなガリガリと言う音と、駄目だ腕がつる、という弱音がたまに聞こえてきたが、黙って待っていた。周りの世界は止まったままだった。


体感時間で10分ぐらい待ったところで、疲れたような女の人の声が聞こえた。


「はい、終わったわよ!もう利用しないでね!じゃ!」


その時世界の時間が動き出し、魔力量に応じたダメージを食らった魔人が、チュッと音を立てて蒸発した。


酒場の人達は何が起こったのか分からず、しばらく口を開けて固まっていたが、魔人がいなくなった事をだんだん理解して、喜びでどよめきが起こった。


喜ぶ人たちを横目に、僕はサエに文句を言った。

「勝ち目も無いのに無謀なケンカを売らないでよ!」


「ごめん、助けなきゃって思うと後先が考えられなくなって。」


サエはしゅんとした。


「またレイリに助けられたね、ありがとう。」


困ったように微笑んでサエはそう言った。以前に助けた記憶はなかったが、サエがピンチになるのは転生前からよくあったことだ。正義感が強くてすぐに行動するが、解決策を持ってるわけではないので、巻き込まれると非常に苦労する。異世界では苦労で済まないかも知れない。先のことを想像して泣きたくなった。

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