70 ジークスの計画阻止作戦
「じゃあジークスを止めにゴーヨク邸に急ぐわよ!」
僕の反対はスルーされ、行き先がゴーヨク邸に確定した。仕方ない、切り札を出すか。
「あの、残念だけど僕はメテケテを使え無くなったんだ。戦力には数えないでね。」
僕はナルル神とのやり取りを簡単に説明した。ステラさんはナルル神と聞いて眉をひそめた。何か思い当たることがあるのだろうか。だが、ステラさんは何もコメントしなかった。
僕がメテケテを使え無いと聞いて、サエは別に気にしなかった。
「レイリは安全なところで待ってて。ジークスは私が倒すわ。作戦はまず、ゴーヨク邸に皆で行く。全員で手分けしてジークスと禁書を探す。禁書を見つけたら隠す。ジークスを見つけたら大声で私に知らせる。私がジークスを倒す。以上よ!」
サエはどーだ、完璧だろうとばかりに自信に満ちた顔で皆を見回した。ヒルはやる気に満ちた顔で頷いていたが、ステラさんとタロトは微妙な顔をした。それはそうだろう。クラーケン戦の時もそうだったが、サエの作戦は粗すぎて作戦とは言えない。
「いや、待て待て。まず魔人を倒せる前提で作戦を組むのは危険だろ。国営軍の精鋭ならともかく、普通のニンゲンに魔人は倒せねぇよ。生命力が段違いだしな。ラストスはヒルが魔毒茸を出して偶然倒せただけだし、エンビスもレイリのメテケテが無かったらまともに戦える相手じゃ無かったぞ。サエもあのムキムキの魔人と闘って分かっただろって・・・あれ?そう言えばアイツはどうしたんだ?」
タロトは反論中にふと、グラニスがどうなったのか気になったらしい。
「倒したよ、魔石斬りで。」
サエがグッとガッツポーズをした。ヒルは流石だね、と笑ったが、タロトとステラさんは信じられないといった顔をしていた。
「魔人が魔石を無防備のままいるわけ無いよな?アイツも守ってただろ?」
聞いてはいけない事を聞くように、おそるおそるといった感じでタロトが尋ねた。
「まぁね、でも何とかなったよ。」
「・・・サエのスキルはもう一つあるのか?」
「なんで?レイリの場所が分かるスキルだけだよ。私はレイリイズヒアと呼んでる。」
ふふん、とサエが腕を組んで格好つけた。僕の方が恥ずかしくなったので、話をそらそうと思ってタロトに聞いた。
「サエに常識が通じないのは転生前からだよ。それより、タロトならどんな作戦にするの?」
「そうだな、俺様とサエとレイリでゴーヨク邸に向かって、ヒルとステラには反対方向になるべく離れてもらう。俺様たちがゴーヨク邸に着いたらレイリはまずヒルとスフエクで場所をチェンジして、すぐにジークスと入れ替わる。ステラは罠を掛けておいてジークスを足止めする。ジークスが戻って来る前にゴーヨク邸から禁書を探して奪って逃げるって感じかな。」
「ジークスが本名とは限らないんじゃない?」
ステラさんが疑問を投げかけた。
「俺様は実名だと思う。レイリが隠れてた時に聞いた名前だしな。仲間内でも偽名で話すチームもあるが、サロムが実名を使ってたってことは、他の奴らも実名の可能性が高いと思う。偽名を使わない事を誇りに思ってるタイプだろ。まぁ、偽名だった時の作戦も考えといた方がいいだろな。」
僕は話を聞いていて、サエの案より良さそうに思った。サエもウンウンと頷いて聞いている。正々堂々と闘いたいとか言い出さないか心配だったが、禁書発動を防ぐのが優先だと心得ているようだった。
「いいね、タロトの案に乗るよ。」
ヒルが賛成し、他のメンバーも頷いた。
「よし、詳細はゴーヨク邸に向かいながら決めよう。ヒルとステラの方はステラに任せるぜ。」
タロトが締めくくった。作戦開始だ。戦力にならないと言ったのに作戦の要になってるような気がして不安だったが、戦闘は回避できそうなので、何とか自分を奮い立たせた。




