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68 サエ視点 グラニス戦2

グラニスから距離を取り、折れた剣を構えた。もう1本短いナイフを持っていたが、そちらも折れてしまったら武器がなくなってしまう。素手で戦うほうが得意だけど、魔人は生命力が高いらしいので、素手で勝つのは難しそうだ。できれば魔石切りで倒したかった。


といっても剣が刺さらないのでは話にならない。逃げる方がいいだろうか?いや、正義のヒーローならこんな時でも突破口を見つけるはずだ、新必殺技に目覚めるとか?まぁ、あては無いけど。


とりあえず、まずは魔石のある胸以外も切れないのか確かめてみよう。そう思ってグラニスの方に突っ込んでいき、パンチをかわして背後に回り込んだ。動きを封じ込めるために足を切りつけ・・ようとしたがグラニスが振り向いて剣筋を見ているのに気づいたので、剣先を変則的に跳ね上げて顔を狙ってみた。すると、グラニスは顔を反らして避けた。


避けるってことは硬く無いのかな?と思ってもう一度顔を狙ったが、今度はグラニスは避けようとしなかった。顔に当たった部分で剣が折れて、ナイフと長さがそれほど変わらなくなった。私は再び距離を取り、岩を背にしてグラニスと睨み合った。


「もう終わりだな。ま、頑張ったほうだ。褒美に全力を見せてやる。」


グラニスがそう言うと私の視界から消えた。私は勘で右に跳んだ。直後に私のいたところにグラニスが現れ、そこにあった大きな岩をパンチで粉砕した。細かな破片が飛んできていくつもの擦り傷ができた。グラニス自身も破片を受けて、頬と腕に小さな傷が出来ていた。


その傷を見てふと違和感を覚えた。パンチの勢いがすごかったとしても、岩の破片が私の剣より強いなんて事があるだろうか?私の剣は傷1つ付けられなかったのだ。


そこで、グラニスは体の一箇所しか守れないのでは?と仮説を立てた。本気になったグラニスは速すぎて検証してる余裕はなかった。私は仮説が正しいと信じて作戦を考えた。先ずは隠れよう、あのスピードだと、見つかったら勝ち目がない。私は木の陰に潜んだ。都合の良い事に森の中の小屋だったので、隠れる木はたくさんあった。


グラニスはゆっくりと歩きながら私を捜していた。全力で走り回られたらすぐに見つかったかも知れないが、捜すのも楽しんでいるのだろう。


だがナメてもらっちゃ困る。私のかくれんぼスキルはプロ級だ。ヒーローアニメにハマってからは『ヒーローは隠れたりしない』とか言ってやらなくなってしまったが、今でも音を立てずに隠れる場所を変えつつ、相手には気づかれずにこちらは相手の場所をしっかり把握するくらいのことは出来る。江戸時代なら有名な()()()()になってたと思う。あれ?くのいちは有名になっちゃ駄目か。


私はこっそりと木に登り、枝の上からグラニスの動きを見ていた。グラニスが私の隠れている木の下を通ろうとした時、乗ってた枝がヒビが入ったようにパキッと音を立てた。途端に視界からグラニスが消え、すぐ後ろから声が聞こえた。


「ふん、うまく隠れてたみたいだが、残念だったな。」


話しかけずに攻撃されていたらアウトだったが、性格的に何か声をかけてくると思っていた。予想通りだ。枝に切れ込みを入れていたので、グラニスの重みが加わって枝が折れ、私たちは落下した。


驚いているグラニスに右手で捕まり、左手のナイフで脇腹を狙いつつ、死角から膝をみぞおちに叩きこんだ。脇腹に当たったナイフの刃が折れて飛んで行った。みぞおちは予想通り守れなかったみたいで、グッと少し顔をしかめた。だが倒せるほどのダメージではない。


こちらの手が尽きたのを感じ取ったのか、グラニスがニヤリと笑った。私は微笑みを返した。そのまま地面に激突し、衝撃で私は顔を歪めた。覚悟はしてたが痛い。もっと低い枝にすればよかった。


目を開いてグラニスを見ると、驚いたような顔をしていた。私に覆いかぶさるように倒れていて、胸には短くなった剣が刺さっていた。魔石のある位置だ。私は木に登る前に折れた剣を木の下に立てて、落ち葉で隠しておいたのだ。落ちながら位置を調整して、私の脇を通ってグラニスの胸に刺さるようにした。私が視界の邪魔になって、刺さるまで剣の存在に気付かなかっただろう。まだ何が起こったか理解出来てない感じだった。


「俺は、負けたのか?」


「最初からずっと全力なら勝ち目はなかったけどね。油断大敵ってやつよ、次生まれ変わったら気をつけなさい。」


私は消えていくグラニスにそう声を掛けて見送った。

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