56 サエ到着
「で、その調べに行ったニンゲンの名前はゲットしたんだったな。どうだ?強そうだったか?」
ムキムキ魔人が獲物を狩る獣のように目をギラつかせてサロムに聞いた。この魔人、絶対戦闘狂だ。強い相手を探し求めてるタイプの奴だ。関わりたくない!
「なぜか魔力を感じれなかったのですが、リザードマンをメテケテで倒していました。かなり魔力量があるんじゃないかと。」
サロムが緊張したように応えた。魔人の中でもムキムキ魔人はエラい階級なのかもしれない。それにしてもメテケテで倒したのを知られているのはまずい!ムキムキ魔人も興味をそそられたのか、凶悪な笑みを浮かべている。俺の獲物だ、とか言いそうでイヤだ。
「何かの間違いでしょう。メテケテの攻撃力は使用した魔力量と同じで、超低効率です。リザードマンが一撃でやられるとは思えません。しかし、私も興味が湧きました。リザードマンを一撃で屠る魔法など、私でも3つぐらいしか持っていない。どんな魔法を使ったのか、是非とも手合わせしたい。」
ヒョロ魔人にも狙われた、最悪だ。女の魔人は相変わらず興味がなさそうにケーキを食べ続けている。んー、食べ過ぎじゃない?だいぶこっちに伸ばしてくる手が近づいてきたんですけど?僕が隠れてる壁を食べ切らないでよ?!
「おい、そいつに少し変身してみろよ?」
ムキムキ魔人が我慢できずに無茶を言い出した。
「駄目ですよ。サロムの魔力を無駄遣いすると本番で足りなくなったら大変です。」
ヒョロ魔人が止めるが、あきらかに期待してソワソワしている。
「えっと、多分一回ぐらいなら余分がありますよ?」
「では、やりなさい。どんなものか魔力量だけでも見ておかないとね。」
空気を読んでサロムが提案するとヒョロ魔人が秒で乗っかった。駄目だ、ノリノリだ。
「マネ、フィグ、タラル、レイリ!」
サロムが呪文を唱えると僕の姿になった。服まで同じだ。ムキムキ魔人とヒョロ魔人は目を見開き、女の魔人は食べていたケーキを落とした。僕には見えないが、この3人には魔力が見えているから、そのとんでもない量に驚いたのだろう。だが正確な数値は分からないはずだ。これで魔力量を測れるような道具があったら、もっとやばかった。
「・・・想像以上でありんすな。ちょっと測ってみるでありんす。」
測れるの?!終わった!どうしよう、魔力が9999以上あることが広まると、狙われることが増えそうだ。いっそ登場して気を反らしたほうがいいだろうか?僕の魔力量を見たから警戒して距離を取ってくれないかな?そしたらサエと交代して逃げてもらうとか・・・でもサエに状況が伝えられないから、交代しても急には反応できないよね?しかも逃げたら結局その後に魔力量を測られちゃうのか?あ〜、どうすればいいの!
女の魔人が何やら魔道具らしき物を取り出して僕に変身したサロムにあてようとしたその時、
ドカーンッ!!!
部屋の入り口のドアが大きな音を立てて吹き飛び、回転して飛んできて僕の隠れているケーキをかすめて壁にドスンと突き刺さった。危な!
ドアのあった場所にはキック直後のポーズのサエが土埃の中に立っている。魔人達は一斉に入り口の方を見た。
「レイリ!!無事なの?!」
無事だよ!!サエの蹴破ったドアに滅ぼされかけたけどね!




