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55 魔人達のたくらみ

「では、まず今回我々がゴーヨク邸に行く目的からおさらいしましょうか。まさかそれも忘れたとは言いませんよね?」


ヒョロ魔人が椅子に足を組んで座り、頬杖をつきながら、しぶしぶ作戦のおさらいを始めた。


「さすがに馬鹿にしすぎだろ。禁書と神化の腕輪の奪取に決まってるじゃねーか。」


ムキムキ魔人も椅子に座りふんぞり返る。教えてもらう側の態度じゃないけど、この魔人達の中では日常なのだろう。ヒョロ魔人は気にせず続けた。


「なんのためにその2つを奪うかは分かってますか?」


「え?そ、そりゃ禁書を使って街でも滅ぼすんじゃねーか?」


ムキムキ魔人は少し自信がなさそうだった。禁書って誰も使えないから管理が甘いんじゃなかったっけ?街ごと滅ぼすとか物騒なことはやめてほしい。


「その禁書を使うというのが問題なのです。使われた記録は残っておらず、大昔の伝説の中に出てくるだけです。魔人もニンゲンも散々調べましたが、使う方法が見つからなかったのです。まぁ使い方は魔力を注ぐだけだと早くから分かっていたのですが、必要量が多すぎた。」


ヒョロ魔人が困ったもんだと言う様に首を振った。ムキムキ魔人は納得いってなさそうだ。女の魔人は飽きてケーキを食べている。ところで、そのケーキどっから取ってきたの?僕が隠れてる場所ってケーキの中なの?あんまり食べられたら見つかるんじゃない?え?やめて!


「魔力なんてお前が死ぬ気で注げばいいだろ?いつも世界一の魔力量だって自慢してるじゃねーか。」


ムキムキ魔人がヒョロ魔人を挑発するように言った。ヒョロ魔人はプライドを傷つけられたようで、忌々しそうに舌打ちする。


「そんなレベルじゃ無いんですよ。ステータスアップのあらゆる手段を使っても魔力量は9999を超え無いことが分かったのです。唯一の例外が神化の腕輪を使って全ステータスを2倍にする事でしたが、魔力量を9999にしてから神化の腕輪で2倍にしても足りなかった。その事実が広まって、魔人もニンゲンも禁書を使うことを諦めていたのです。」


「それならジークスの旦那はなんで諦めてねーんだ?」


ムキムキ魔人は話が難しくなってきたようでイライラしているようだった。足を落ち着きなく揺すっている。


「サロムが見つかったからです。サロムの変身能力はステータスも完全にコピーできるのです。禁書は魔力を注ぐ間に手を離すと最初からになるのですが、サロムなら変身して魔力を注ぎ、魔力が尽きたら別人に変身して魔力を注ぎつづける事が出来ると考えたのです。」


「そんな事が出来るなら、お前とジークスの旦那に変身したら終わりじゃねーのか?足りなくても他の魔人に変身したほうがニンゲンより魔力量が多いだろ?なんでニンゲンの名前なんて調べに行ってたんだよ?」


「グラニスにしてはまともな質問ですね。変身にはサロムの魔力を使うのですが、変身する相手の生命力が大きいほど必要な魔力が大きいのです。サロムの魔力では私やジークス様には変身できません。だから生命力が低いニンゲンの中で魔力がそこそこある者を探していたのですよ。ウェスティン国のニンゲンの中に、魔力量が多くて見たものが絶望を感じると噂されている者がいると、潜入中のエンビスから報告があったので、サロムに名前を調べに行かせたのです。リザードマンに暴れさせておびき寄せる作戦でした。まさか2匹とも滅ぼされるとは思いませんでしたがね!」


ヒョロ魔人は「潜入中のエンビスに」と言うときに女の魔人を見た。女の魔人の名前がエンビスなのだろう。エンビスはチラリとヒョロ魔人を見返しただけで、興味なさそうにケーキを食べ続けた。


それにしても、状況はかなりまずい!サロムが本当にステータスを完全にコピー出来るなら、僕に変身したら魔力が無限になるので、神化の腕輪とか関係なく禁書を発動できてしまう!何とかサロムが禁書に触れるのを止めないと・・・でも誰が止められるんだろう?

早くサエ達と相談したい!


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