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30 クラーケン戦-3

サエが捕まったことで観客はパニックになって砂浜から逃げ出した。とはいえ結果が気になるようで、離れた所から様子をうかがっている人達がまだ大勢いた。


僕がサエを助ける方法を必死で考えていると、ヒルがポケットから帽子を取り出した。ウェスティン夫人に預けられたという、被ると見えなくなる帽子だ。トラブルの予感しかしないから、僕の脳が完全に拒否して忘れていた。


「僕が透明になってサエさんを助けに行くよ!見えなければ攻撃されないだろう!」


「ダメだよ!攻撃してないときも足がウニョウニョしてる。あんなに太い足に当たったら攻撃じゃなくても無事じゃすまないよ!」


「見てご覧、立つのに使ってる6本の足はほとんど動いてないのさ!サエさんを救うためだ、僕は行くよ!」


「ヒルまで捕まったらどうするんだよ!もっと確実な方法を考えようよ!」


「そんな時間はないよ!サエさんを見殺しにするのかい?!」


「あーっもう!仕方ない!」


僕はヒルから帽子を奪って被った。ヒルが慌てるがもう僕は見えなくなっていた。せっかくヒルがやる気を出したところ、横取りしたみたいで悪かったが、ヒルは大事なことを忘れていた。ヒルの攻撃力は普通の村人レベルだからね!やる気だけじゃ助けられないんだよ!


僕は動いてない足に向かって必死に走った。ホントにクラーケンから見えてないんだよね?めっちゃ目が合ってるんだけど?怖いんですけど?!


見えてるのかどうか分からないが、足が動き、頭をかすめる。マジやめて!

涙目になりながら何とか無事に足に辿り着いた。


「メテ!ケテヨ!ナシテ!!」


世界が止まり、声が心に直接届く。こんなに人の声を聞いてホッとしたことはない。


「はーい、メテケテ入りまーす。ってまたアンタかい!」


妙にテンション高く出てきたナシテ神だったが、呼び出したのが僕だと知って警戒した声になった。


「使用する魔力は4(けい)でお願いします!」


「知らない桁が出てきた!!いや、断る!」




え?断るとかあるの?!


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