22 勝利?
カルビンは生命力が0になったのでサエの勝ちだと思ったが、審判のギョージさんは難しい顔をしていた。僕の声による攻撃が補助と言えるのか悩んでいるようだ。まぁ、普通にダメな気はする。だがサエを反則負けにするわけにはいかないので、ヒルと2人で補助だと言い張った。
ギョージさんは悩んだ結果ルールブックを詳しく調べた。本には、攻撃魔法による補助は反則、としか書いてないことがわかった。そこで僕の使った魔法が攻撃魔法なのかどうかが問題となり、ギョージさんはスバ、ラシキ、ナシテが攻撃魔法なのかを魔法で天界に問い合わせた。すると空中に紙が出現し、そこには『スバ、ラシキ、ナシテに該当する攻撃魔法は登録がありません。』と書かれていた。
「天界に問い合わせた結果、レイリ君の魔法は攻撃魔法ではなく、反則にならない事が分かりました。サエさんの勝ちとします!」
ギョージさんが大声で宣言したが、会場の観客は静かなままだった。実は僕の応援により、会場の観客全員の耳が聞こえなくなっていたからだ。選手と僕らとギョージさんは優先して回復魔法をかけてもらったが、回復魔法の使い手が少なく、サエの勝利が宣言された時点で、まだほとんどの人が何も聞こえない状態だった。みんな、ごめん。
というわけで盛り上がりに欠けたが、サエの勝ちが決まった。カルビンは納得いかない様子だった。
「くだらねえ、もう決闘はいい。この怒りはレイリ、貴様をいたぶって晴らさせてもらうぜ。」
そう言ってカルビンが近づいてきた。サエが僕をかばおうとしてくれたが、僕はサエを制止して前に出た。怖くて足が震えているが、ここで逃げてもカルビンはしつこく絡んで来るだろう。いちかばちか、ハッタリをかけるなら今だと思った。足の震えがカルビンの視界に入らないように十分近づいて、魔力の漏れを抑えていたネックレスをはずす。森で会った男の子が、僕から漏れてる魔力量はこの世の終わりを覚悟するレベルだと言っていた。自分ではまったく分からないが、恐らく威圧する効果があるだろう。声が震えないように、顔が強張らないように、気合いを入れてカルビンを見据えた。
「僕を、どうするって?そんな魔力量で相手になると思ってるの?」
僕がネックレスを外した瞬間、さきほど大声に驚いて体が消えたお婆さんが再度薄くなっていった。
「おばあちゃーん」
横の孫が叫んだ。今度も復活したからよかったが、そんなに気が弱いなら決闘とか見に来ないで欲しい。
カルビンもみるみる顔が青ざめ、ストレスで髪が白くなっていった。うつむいて小さな声で、
「調子に乗ってスミマセンでした・・・」
と呟いた。予想以上の効果で逆に不安になったが、まぁこれでカルビンに今後絡まれることはなさそうで一安心だ。




