21 サエを応援する
「で、メテケテはキャンセルでいいのね?スバ、ラシキはどれだけ魔力使用するわけ?さっきも言ったけど、魔力100で1人分の声の大きさよ。」
ナシテ神がやれやれという口調で聞いてくる。僕は音の大きさの危険性について、昔調べた事を思い出した。本当かどうかはわからないが、130dBが耐えられる限界と書いてあった。
人の大声が70dBぐらいらしいので、60dB強化しようと思う。10dB増えると人間の耳では約2倍の音に聞こえるらしいが、必要な音圧は10dBごとに10倍だ。60dBだと100万倍。1人分で魔力が100必要だから、1億か。いや、待てよ。距離が遠いと音は弱くなるんだった。条件によると思うが、10mで20dBぐらい減るって書いてあったのを憶えている。
「100億でお願いします。あと、5分で元に戻るようにして下さい。」
「また異常な魔力量きた!1億人分よ?正気なの?」
ん?そういえば1人分を70dBで考えたけど、それで良かったのかな。囁き声は30dBぐらいだったような。念のため40dB足しとくか。
「やっぱり100兆で。」
「めっちゃ増えた!あんたホントに何考えてるのよ!」
前と同じくガリガリとハンドルを回す音が、ナシテ神の恨みの言葉と共にしばらく続き、やっと終わった時には息も絶え絶えだった。
「はぁ…はぁ…終わったわよ、マジでもう利用しなくていいからね。う、吐きそう。今日はもう帰る。」
時間が動き出す。サエをカルビンが追い詰めている。僕は声を出すため大きく息を吸った。隣のヒルがサエに向かって叫ぶ。
「サエさん!耳を塞ぐんだ!」
サエは何のことか分からなかっただろうが、素直に従った。カルビンは警戒したかも知れないが、剣を両手で持っているので耳を塞ぐことは出来ない。僕は渾身の声でサエを応援した。
「負けるな!サエ!」
僕が何を言ったのか、聞き取れた人はいなかっただろう。音は大きすぎると衝撃波になる。間近で受けたカルビンは吹っ飛んで体が1度消えた後、同じ場所に復活した。生命力が1度0になったようだ。
ちなみにサエも吹き飛んだが何とか消えずに耐えた。
観客席にいたお婆さんが驚きのあまり跳び上がり、体が薄くなっていった。
「おばあちゃん!!」
隣で孫らしき女の子が焦ってお婆さんに呼びかけていた。やばい。関係ない人を巻き込んでしまった。お婆さんが消えた時にはかなり焦ったが、すぐに復活してくれた。観客席にも魔法アイテムの効果があるらしい。本当に良かった。




