20 強化魔法
どうしようかと悩んでいて、ふと思い出した。通常の強化魔法は全ての能力が強化されるとナシテ神は言ってた。カルビンは聴力も強化されてる状態かも知れない。大きい声を出せばびっくりして動きが止まるんじゃないかな?その隙にサエが倒せるかも。
「声の大きさは魔力100で+1人分になるわ。ステータスを変えるから効果は永久よ。時間で効果が切れる設定もできるけどね。讃美歌の盛り上がるところで歌声をアップさせるような使い方がお勧めね。歌詞の中に呪文を組み込みやすいように、スバラ、シキ、ナシテにしたのよ。天界まで私を賛美する歌が大音声で届くのを想像すると、ウットリするわ。」
ナシテ神は調子よく説明を続けている。魔力100で1人分か、どのぐらい大きな声をだしたら動きが止まるぐらいびっくりするだろう?ダイナマイトぐらい?ん、待てよ。ステラさんが強化魔法は体までは強化されないと言ってたぞ。あんまり大きな声を出すと喉が潰れるんじゃ…
「どのぐらいの大きさまで喉は大丈夫ですか?」
「ふふん、なめてもらっちゃ困るわね。無制限よ。」
信用できない。どうしよう、怖くなってきた。人間の喉でダイナマイトの爆発音を出して無事でいられるだろうか。
「自分で使うのが怖いの?じゃあ仲間を強化すればいいじゃない。特別に会話できるようにしてあげるわ。隣にいるこのイケメンでいい?」
ヒ:「あれ?世界が止まってるじゃないか、何が起こったんだ?」
ヒルの心の声が直接僕の心に届いてきた。僕は状況をヒルに説明した。
ヒ:「わかったよ。僕が大声を出してカルビンを驚かせればいいんだね。」
レ:「そんなあっさり受けていいの?喉が爆発するかも知れないんだよ!」
ナ:「いや、大丈夫だって言ったでしょ。」
ヒ:「サエさんがカルビンに負けるのは嫌だからね、喉の一つや二つ覚悟するよ!」
ナ:「大丈夫なんだってば!」
ヒルの覚悟を聞いて、安心するより自分が恥ずかしくなった。僕は自分でサエを助けたい。危険をヒルに押し付けるのは格好悪い気がした。
レ:「やっぱりダメだ、僕がやるよ。僕の喉が爆発したら、あとはヒルに任せる。」
僕は覚悟を決めた。ヒルは僕の覚悟を読み取ってくれたのだろう。わかったよ、の一言だけだったが、応援してくれている気持ちが伝わってきた。
「あんたら、喉が無事だったら一回私に謝りなさいよね!」




