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17 決闘-3

ステラさんに相手にしてもらえず焦っていると、ヒルが追いついて来た。


「いつも慎重なレイリくんとは思えないほど大胆な行動だね。サエさんを助けたい気持ちはよく分かるよ。カステラさん、レイリくんに力を貸して上げてくれないか?」


「ヒル、こちらはステラさんで…」


「ヒルデガルド様に名前を憶えてもらってたなんて光栄です!ステラ?カステラでいいです。あなた、ヒルデガルド様のお知り合いなら先に言ってよ!」


かなりヒルに入れこんでるらしい。え、カステラでいいの?ちょっと意味が分からない。ステラさんは興奮して膝に乗せていた黒猫をペシペシ叩いていた。黒猫は迷惑そうにつぶってた目を開ける。目が3つあった…魔物のペットなのだろうか。


「ヒルデガルド様の頼みなら助けてあげたいけど、強化魔法を使ったことがないなら今日は無理だわ。契約に最低2日はかかるし、それがなくても強化は慎重にやらないと危険よ。力は強くなっても体はそのままだから、少しずつ強化して限界を見極めないと、体がついていけなくて壊れちゃうわ。」


僕は絶望的な気持ちでサエを見た。カルビンは優勢に立ったことで余裕がでたのか、ニヤニヤしてサエを煽ってきた。


「お前のとこのレイリちゃんがオロオロしてるぜ?ちなみにお前を召使にしたら、最初の命令はオレと一緒にレイリをイジメる事だからな。どうだ?楽しそうだろ?」


それを聞いたサエは明らかに雰囲気が変わった。怒りが隠しきれずに雰囲気として漏れ出ている。手に持っていた剣を投げ捨て、格闘技の構えを取る。


「武器を捨てて諦めたのか?謝ればお前をイジメるのはやめてやるよ。レイリのほうがイジメがいがありそうだしな。」


そう言って、僕をみてきた。残虐そうなカルビンの目に見据えられて、僕は身がすくむ。ヒルは冷静にサエの様子を見ていた。


「大丈夫、サエさんは諦めてなさそうだよ。あれは、ボクシングの構えかな?」


たぶん、ムエタイだ。小学5年生の時、タイから転校してきた子がいて、日本語ができなくてイジメられていたのを、いつもの正義感でサエが助けたことがある。その子の父親がムエタイのチャンピオンで、しばらく教えてもらっていた。


僕も数回習いに行ったけど、才能がなくて残念な目で見られたので、空気を読んですぐやめた。サエはその後も続けて、3ヶ月後には転校生ではなく父親の方と試合形式で戦っていた。転校生の父親=ムエタイチャンピオンが思わず本気を出してしまった時があったが、サエはわざと逆に飛んで衝撃を和らげ、怪我をさせたんじゃと焦って近寄ったチャンピオンを容赦なく蹴り倒して失神させた。その転校生がタイに戻る時、熱烈に勧誘を受けていたがサエはあっさり断った。


サエは怒りを抑えきれない口調でカルビンに告げる。


「なるべく苦痛を与えずに勝ってあげたかったけど、レイリを巻き込むなら、なりふり構ってられないわ。一発のダメージが小さいから長くかかるけど、覚悟しなさい。」

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