13 決闘は無理ゲーです
ヒルが完全回復したので情報収集を再開した。晩ごはんを食べながら定例の報告会をはじめた。
「ヒルが一気に食べられる食材を増やしてくれたから、今日はチャーハンっぽいのを作ったよ。」
「やっとまともにご飯が食べれて嬉しいよ。僕は今日はウェスティン夫人に会ってきたよ。被ると見えなくなる帽子を貸してくれて、6日後の夜にこっそり夫人の屋敷の部屋まで会いに来てほしいと頼まれたよ。」
さらっと報告してるけど、トラブルの匂いしかしない・・・ウェスティン夫人って、このへん治めてる領主様の奥さんだよね?こっそり会いに来てって何?絶対行ったらダメなやつだって。
「心配しなくても、いい人そうだったよ。悪いことにはならないと思うけどな。」
「何の用事か聞かなかったの?」
「教えてくれなかったよ。会いに行くことも誰にも言わないでくれってさ。」
悪いことにしかならないと思う。危機感がまったく無いヒルの発言に目まいがしたが、とりあえずあと6日あるので、一回忘れることにした。
「サエはどうだった?カメの魔物退治に行ったの?」
「え?!うん!いや、その。そう!」
絶対なにかやらかしてる。胃が痛くなってきた。
「聞きたくないけど…何があったの?」
僕が問い詰めると、居心地が悪そうにサエが話し始めた。
「カメの魔物をいじめて遊んでるグループがいたからその、注意したら決闘を申し込まれちゃった。」
え?浦島太郎?なんでそんなとこに突っかかるの?僕なら絶対首を突っ込まないけど…
隣のアレンさんがギョッとして話に割り込んできた。
「なんだって!受けたんじゃないだろうな、どこのチームだ?負けた時の条件をつけられなかったか?」
「イストエビルのカルビンって名乗ってたわ。私が負けたら召使にしてやるって息巻いてた。その、勢いで受けちゃった、2日後の正午だって。ごめんなさい。」
アレンさんの顔が青ざめている。
「なんてことだ…勝つために手段を選ばないし、召使の扱いもヒドいから評判が最悪な奴らだ。東の街のトップチームで戦闘は強いぞ。俺でも闘いたくない。」
聞けば聞くほど不安になってきた。
「ちょっと待ってよ。そもそも決闘って何?本当に戦うの?武器を使って?危ないよ。」
「武器の使用もありで、一対一でどちらかの生命力が0になるまで戦うことが多いな。普通は生命力が0になるとステータスが初期化されて別の場所に生まれ変わるが、決闘場で負けたらそのままのステータスでその場に再生されるように魔法がかけられている。だからサエがいなくなることはないが、カルビンの召使にされたら辛い生活になるだろうし、レイリ達とも会えなくなるかも知れない。」
決闘も心配だけど、なんか思ってたのと世界のルールが違った。生命力が0になったら別の場所に生まれ変わるの?酒場で倒した魔人も生まれ変わってるってこと?それ復讐しに来るんじゃ?駄目だ、何から心配したらいいのか訳が分からなくなってきた。
心配事が多すぎて固まった僕を勇気づけるように、サエは明るい声を出した。
「大丈夫、私はあんな奴に負けないよ。さぁチャーハン食べよ!」




