20話 大将とラーメンを売る(その後)
――かに思えたが。
「すまねぇな旦那。なんか旦那が炙ったのが1番美味しいらしくってよ」
「うむ――このポタージュのように濃厚でいて、塩加減の良いスープが、このチャーシューで焦げたタレとまたよく合うな」
「マジでこれ美味い!」
「後でゴルディアに自慢してやりましょうかしらぁ」
まだ帰ってなかったオルディンと、同じテーブルでラーメンを食べるカルロス君とネーティさん。
「兄さん! 次のお客さん、親系ラーメン並3杯です!」
「あいよ店長!」
すぐ次の日から、店はてんてこ舞いな忙しさとなった。
例のチラシを持ったお客さんがこれでもかっというくらい並んでいるのだ――予想は出来ていたが、実際にこれだけ来られるとかなり大変だ。
油そば屋もまた大変な行列らしいが、既にオペレーションが完璧に構築されているので、モナカ指揮の下、営業は順調らしい。
そういった訳で。
今回の身勝手な行動の責任を取って、臨時店員のガンドルが新たなメンバーへと加わったのだ。
「本当はアタイも働きたいんだけど……」
「ダメだ。もしなんかあったら大変だろ!」
お腹の辺りをさすりながら、会計の席に座るカンナさん。
「なるほど――おめでとうございます」
「ありがとうオダナカさん」
「というかもっと早く言って欲しかったぜ。そうしたら屋台なんか手伝わせずに家でゆっくりさせてたのに……」
「コレだからねぇ……だから終わるまで黙ってたんだけど――先が思いやられるわ」
バタンッ――。
「大将! あの会場のラーメン、本格的にお店で出し始めたんですね!」
今はオフなのか、私服で店にやってくるアグリさん。
「おっとアグリ。いい所に来たな……こっちに来てくれ」
「え? あっ、はい」
「手洗って、このエプロン付けてくれ」
「ん? はい」
「じゃっ、オニギリ作るの頼むわ。なかなか忙しくってな。騎士様の手も借りてぇぐれぇなんだわ」
「え、えぇ!?」
「後でまかないで炙りチャーシュー丼も出すからよ……頼むわ」
「――分かりました! 民に頼られ、それを断るのは騎士道に反しますからね!」
ここのラーメン屋はいつも賑やかで楽しく、美味しい――。
後の商会ギルドの出す料理番付に、 こういう1文と共に”親系ラーメン・バルド”の名前が載るのであった――。




