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サラリーマン、異世界で飯を食べる【コミカライズ企画進行中】  作者: 夢野又座/ゆめのマタグラ@コミカライズ企画進行中
シーズン1:秋冬編

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10話 異世界でケーキを食べる2



「ようこそ旅の人、お菓子の国パティシエールへ!」

「あ、どうも」


 いつものように白い鍵を使って出た路地、そこを抜けて大通りに出ると――まるでお祭り騒ぎであった。

 通りに並ぶのはケーキ専門店、洋菓子店、パン屋、駄菓子屋――そんなあらゆるお菓子の店が、両側にズラっと並んでいた。

 客も人間、エルフ、ドワーフ、オーガ、獣人など多様な種族が居るが、割合としては女性の方が多い気がするが、男性客も数が多い。


「ここでは老若男女、誰でも気兼ねなく美味しいケーキが食べれますぜ」

「そうなんですか」


 道行く謎のモヒカン頭の男性にそう教えて貰う。

 ついでにこれだけ店の中から探すのも億劫になりそうだし、オススメの店を聞いてみる。


「もちろんどの店もオススメだが……だが1つだけ注意が必要だ。お菓子の国の女王はそれはもうお菓子が大好きでな。よくお忍びで食べに来るらしい…彼女はとってもワガママだ。店で出会ったとしても、機嫌を損ねたりしないようにな」

「……はい」


 その話を聞いた瞬間――何かしらの面倒になる前にケーキを食べて帰る事を決意した。

 店に関しては特に教えて貰えなかったので、あえて人通りの少ない道へと入ってみる。そこにもお菓子の店はあるが、どっちかと言えば店で食べる事ができる喫茶店を併設している所が多い。

 店内には品の良さそうな猫獣人や、ドレスを着た貴族みたいな恰好のエルフ女性などがケーキを食べながら談笑をしている。

 

「ここにするか」


 店先には“ユクドラの森の中”という看板が掛かっている。

 ログハウスみたいな造りの店構えは、他の店とは一線を画している。

 やや重たい木の扉を開けると、


 チリンチリン――。


 扉に付けられたベルが鳴る

 この時点で、甘い匂いが漂ってくる――。


 店内も丸太がむき出しのようなデザインで、上を見ると天井まで吹き抜けている。

 まるで自分が巨大な樹木の中に入ったかのような、そんなコンセプトなのだろう。

 1階はカウンターとケーキが置いてあるテーブルのみで、飲食スペースは2階のようだ。


 入ってすぐ右側のカウンターの横に、大きな切り株のようなテーブルが置いてある。

 そこには、いくつかのケーキが乗せられている皿があり、ここで好きなケーキを取って会計する仕組みなのだろうが、少しケーキの数が少ないように思える。


「すいません。おかげさまで大好評で、もうあまりケーキが残ってないのでふ」


 そう言ってカウンターから出て来たのは、かなり背丈の低い白髭のおじさんだった。

 彼はノームなのだろう。詳しくは知らないが、森に住まう精霊(ノームノーム)という意味らしく、普段は森の奥深くに住んでいる種族らしい。

 確かに今まで彼のような種族を見た記憶がない。


「いえ、お気になさらずに」


 そう彼に声を掛け、俺は改めてケーキと、その前に置かれている名札を見た。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 木の実のケーキ    600ミネー

 禁断の果実ケーキ   売り切れ

 濃厚チーズケーキ   700ミネー

 爽やかモンブラン   800ミネー

 本日のスペシャリテ 1000ミネー

 ブッシュドノーム  2000ミネー

 ホールケーキ    2500ミネーより


 ◇ ◇ ◇ ◇


 残り少ないと言っても種類はあるのでここは2つくらい頼むとしよう。


「ふむ。では――」


 指を差そうとした瞬間、横から小柄な少女が飛び出して来た。


「あっ! この木のみとぉ、チーズケーキ2つとぉ、モンブランとぉ、スペシャリテを2つ、全部貰うっ!」

「ありがとうございまふ。全部で4800ミネーになりまふ」

「あと甘茶と渋豆茶も1人前ずつ追加で……こちらの小切手に金額をお願いします」

「は、ははぁ。少々お待ち下さいでふ」


 後ろから来てケーキを根こそぎ持って行ったのは、2人連れの派手な少女とSPのような服装の女性だった。

 少女は全身ピンクと白が強調されたゴシックドレスを着ていて、少しタレ目な目元には特徴的な紫のアイシャドウが入っている。

 ロングストレートな髪もピンクと白のツートンカラー。

 逆に女性の方はサングラスのような眼鏡をしていて表情までは分からないが、こちらは髪も服装も全部黒で統一されていて、2人並ぶとあまりにも対照的過ぎて凄い目立つのだ。


「あー、モモイあの2階の窓際の席がいいー。愚民を見下ろせるのが良さそう」


 少女は2階を指差し、窓際の席を所望した。

 壁半分はガラスになっているのか、確かに見晴らしが良いようになっている。


「ケーキはこちらで持って行きますので、茶はすぐ持って来なさい」

「はいっ、よろこんでふ!」


 店員が急いで厨房へ走っていき、注文を伝えたのかすぐ戻ってくる。


「ふぅ……で、その。お客さん、どうします?」


 少し気まずそうに彼が訪ねてきた。


 今のやり取りでケーキがほぼ全滅してしまった。

 しかしここに置いてはいないが、まだ頼めそうなケーキが残っている。

 皿の前に名前と値段の書いた名札が置いてあるのだが、奥に皿は無いが名札だけ置いてあるのを目ざとく発見した。


「じゃあ、このブッシュドノームと、渋豆茶を下さい」

「はい。合計2500ミネーでふ。お席は……」

「2階の、さっきのお客とは反対側に座りますので」

「かしこまりまふた」


 向こうが窓際なら、こっちは壁際だ。

 まぁ気分で入っただけなので店を代える事も出来たが、今から探すのも面倒なので反対側で大人しくしていようと思う。


 会計を済ませ、ケーキと茶を受け取ると、慎重に2階へと持って上がるのだった。


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