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9話 異世界の魔王事情その2(前準備)


 ここは世界の果てにある魔物や魔族達が暮らす国。


 魔王の圧倒的な力により統治されている国。

 

 そして、“魔王国”という名前の国だ。


 人類種の国と長い間、戦争状態であったが当代の魔王により停戦が宣言され、休戦協定に向け調停の調整中である。

 その事が、この世界の様々な国はもちろん自国内にも混乱をもたらせたのだが、それはまた別のお話である。


「ほぉ……」


 国内でいくつも重要拠点はあるが、魔王がいるこの居城は当然、最も重要な施設として、最も強固な結界で覆われている。

 この結界は魔王直属の配下、四天王の命とリンクしており、仮に極大魔法を撃ち込まれても破壊することは不可能だとされている。

 特に今は重要な時期であり、城には出入りの制限が掛かっている。


「――貴様、名をなんという」


 無許可であるならば、ワイバーンすら通らない結界に覆われている。

 ――だがしかし。玉座に座る魔王の前に、見知らぬ1人の人間が(ひざま)いていた。


「魔王様に名乗る程の者ではございません。しいて言うならば、知人からは“オーヤ”と呼ばれています」


 オーヤと名乗ったその女性は、その豊満な肉体にピッチリと張り付いたかのよう黒いドレスを着ていた。頭には魔法使いの証である漆黒の帽子を被り、背中まで届く黒髪。少し縁の太い眼鏡を掛けている。

 魔王はニヤり笑い、頬杖をしながらオーヤを見据えている。


「オーヤか。この魔王を前に一切臆さないとは――人間では貴様が2人目だ」

「お褒めの御言葉、ありがとうございます」

「で? わざわざ人間がこんな所までなんの用だ」


 結界は触れれば即座に警報が鳴る。そもそも結界までに辿り着くまでに、幾重にも監視の目もある。四天王がシフト制で城外の警備もしている。

 それすら潜り抜けれるほどの魔法の使い手――かつて先々代魔王が勇者を名乗る暗殺者に殺された時ですら、そういった事は不可能であった。

 だが目の前のオーヤという女からは一切の殺意も、悪意も、情欲も感じられず――だからこそ魔王は、その態度を崩さなかった。


「魔王様が1つ、お悩みを抱えていると思いまして――不躾ではございますが、それの解決方法をお持ち致しました」


 そこで笑うのを止め、真顔になった魔王は静かにこう言った。


「……その方法は?」

「これでございます」


 そう言うと、オーヤは胸元から白い鍵を取り出した……。



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