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32話 剣の間
ここはダンジョン奥深く、剣の間――。
地面に突き刺さっていた“剣”を前に、少女2人は座り込んでいた。
「あの人……」
「うん?」
「昔見た、勇者様に似た顔してたよね」
「そうなの? でも、アレは抜けなかったよ」
「そうだね……あーあ。いつになったら、これ取りに来てくれるかな」
「いつまで経っても帰れないもんねー」
「みんな、どうしてるかなぁ」
「……お腹空いたし、食事に行こうよー」
「あの人達、罠に全然引っ掛からなかったもんね」
「今日はどんな”感情“がいいかなー」
そんな楽し気な会話をしながら、少女は――少女の形をした2人は、剣の間から消え去った。
地面に突き刺さっている“剣”の刀身は、鈍く光っていた。




