表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Marginal Man  作者: 志藤天音
9/105

スポーツフェスティバル

 1-Bのホームルームにて。


 「さて、そろそろスポーツフェスティバルの準備を始めなければいけないね、何か決めることいっぱいあるんでしょ? 実行委員?」

 各種目に出るメンバーを決めたり、クラスごとのスローガンや応援グッズを決めたり、その為の練習やミーティング、作業もあって忙しくなる。

 全部生徒が自主的に取り組んで行われるので、みんな真剣だ。行事にも手を抜かず必死になっている姿を見るだけでもマエちゃんは胸が熱くなる。まだ準備段階なのに。


 「クラス対抗リレーに出る人ー、放課後練習しよう。ジャージ持ってきてー」クラスのリーダー的存在の青野みゆきが声をかける。

 「青野? どこで練習するんだ? 表参道をジャージで全力疾走するのか?」

 現在は仮校舎なので、校内に練習出来る場所がない。しかもここは都会のど真ん中。

 「全力疾走はしないけど、表参道を通って代々木公園まで行かなきゃダメだよねー。マエちゃん、それでもいい?」

 「そしたら、放課後は先生たちは会議で時間取れないから、梨田先生に引率お願いしよう。いいかな?」

 校外での活動は誰か先生がついていないといけない。今は教育実習の期間でもあるので、社会科の実習生でマエちゃんが指導担当になっている梨田先生に引率してもらうことになった。


 「はい!」「はい!」

 後日、B組のリレーの練習が行われた。バトンパスの練習を中心にしている。

 「なんか凄いね。私、陸上部の顧問みたい」

 念の為、体育の先生からストップウォッチを借りて練習を見守っている梨田先生が、ふと我に返ってつぶやいた。

 「先生! タイム計って! 次は上手くいくから!」

 「転んで怪我しないように気をつけてね! 位置について! ヨーイ! スタート!」

 ストップウォッチが役に立ったみたいだ。


 「ねー、先生って卒業生なんでしょ? マエちゃんのクラスだった?」

 練習の帰り道に生徒たちから質問される。

 「前田先生から世界史は習ったことはあるんだけど、私たちの学年の先生じゃなかったんだ。3年の時の担任は、同じ社会科の上田先生っていう人だったんだけど、わかる?」

 その一言で生徒たちはプチパニックになった。

 「なんか凄いイケメンだって聞いたよー! まだ見たことも無いのー。ホントにいるんだね!」「アイに言わなきゃ!」「じゃあ、先生が授業する時に上田先生が見に来るかもしれないんだ!」「キャー!」

 表参道をジャージ姿の女子高生たちが騒ぎながら歩いている状態に気付いて、梨田先生はすぐさま生徒たちを落ち着かせた。

 「研修授業をB組でやるかどうかもわからないし、上田先生が来てくれるかもわからないから」

 「えー、なんだー。いつになったら会えるんだろ」

 

 その時は案外すぐに来た。


 スポーツフェスティバル当日。会場は東京体育館。この学校特有のルールで、校外学習などは現地集合、現地解散。もちろんこの日もそうだ。思えば、全校生徒が集まるイベントはこの日が初めてではないか。もともと仮校舎で、しかも複雑な構造の建物で勉強している一年生は特に、同じ学年でも教室の移動が面倒な為になかなか他のクラスとの交流も難しい。

 全校生徒が集まると結構迫力がある。競技に出場する生徒はセンターコートで、見学する時は2階席でクラスごとに座る。全員女子だけど、生徒たちはみんなワクワクしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ