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Marginal Man  作者: 志藤天音
80/105

track_10 青春(2/2)

〜〜〜


 そういえば、性格も全く違うにしやんとマエちゃんが、どうしてこんなに仲良くなったのか。もちろん、にしやんのコミュニケーション能力のおかげでもあるが、間を取り持ってくれたシゲの存在も大きい。


 ただ年齢だけが同じだった。後で大学も同じだったということを知ったが、通った時期は同じではなかった。


 マージナルマンのメンバーの中で、一番最後に渋学の教師として赴任してきたにしやん。もともとの明るさと、やる気に満ちた表情と振る舞いで、たちまち渋学の名物先生となった。

 そんなにしやんに興味を持ったシゲが、同じ社会科のマエちゃんを誘ってにしやんと食事に行こうとした。

 マエちゃんは、あまり騒がしいのが好きではなかったが、シゲの誘いなので断れずに一緒に行くことになった。


 実際話をしてみると、二人とも渋学の理事長を尊敬しているということなど、細かい部分も含めると意外と共通点が多かった。誕生日も近い。

 シゲの提案でバンド活動をすることになってからは、より一層二人で話し合うことも多くなり、いつしかお互いに親友と呼び合えるほどの仲になった。

 性格は全く違うが、目指す方向は同じだとわかった。バンド活動や仕事を共にすることが多くなるにつれて、それぞれの仕事に責任がのしかかってくる。そんな時は、お互いに足りないところを補っていきたいと、それぞれが思うようになっていった。


 それほどにお互いを大切に思い合う仲になった二人。生徒たちにも、こんな友達を作ってもらいたいと『友達』という曲を作って生徒たちの前で披露した。

 その歌の出来がとても良く、毎年何かのタイミングで歌われる。学園祭だったり卒業式だったり。以前は合唱コンクールで歌われることもあった。渋学の第二校歌とよく言われるようになった所以である。


『友達』

ある晴れた春の日

爽やかなそよ風の中

一人歩いてた


木漏れ日に照らされ

心も晴れやかになる

今日も頑張ろう


自然と笑顔になる

ずっと変わらずにいて

いつまでもそばにいて


一人で窓の外を見てる

誰にも打ち明けられなくて

心を開けない


だけど友達が来てくれた

みんな同じ気持ちだった

分かち合える


友達といるだけで

毎日笑顔でいられる

忘れない 胸のときめき


自然と笑顔になる

ずっと変わらずにいて

いつまでもそばにいて


 こういう曲を一曲マージナルマンで作りたい。そう思っていたにしやん。

 そういえば、マエちゃんからもらっていた曲があった。この曲に歌詞をつけてみようと思った。


『青春』

あの歩道橋の上で

車のライトを眺めながら

二人語り合った


おかしな奴 真面目な奴

うるさい奴 寡黙な奴

理解するには難しくて


気付けば二人 兄弟のように

いつも一緒にいた


だから光が消えた時はそばにいて

何も話さなくていいから

気持ちは通じてるから

そばにいて 大切な人


 バラードではないけど、伸びやかに歌い上げるような形になった。大きなステージで歌ったら気持ちいいだろうな。だけど、そんな機会が今後あるだろうか。

 そんな日が来ることを願って、また、この曲が『友達』のように長く歌い継がれるようになることを願って、にしやんはまた収録に臨んだ。

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