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Marginal Man  作者: 志藤天音
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ホームステイ〜由香里編〜(5/8)

〜〜〜


 学校では何度か校外学習というか遠足というか、そんな日があって、郊外のカンタベリーやウィンザーを観光した。そういう時はお弁当が必要で、ホストファミリーに用意してもらうことになっていた。

 そういう予定なのは把握していると思うけど、一応前日にクラウディアに確認した。

 「明日ランチが必要なんだけど……」

 お弁当って英語で何て言うかわからなくて、「ランチ」と言いながら無意識にお弁当箱の四角い形を指で描きながら話した。

 「あー、オーケー。知ってるわよ」

 と、クラウディアは答えてくれた。


 翌日、クラウディアから渡されたのは茶色い紙袋。中にサンドイッチやら小ぶりのリンゴ、お菓子が入っていた。

 これが外国の一般的なお弁当か。お弁当箱の四角のジェスチャーの意味わかんなかったよね、と苦笑いした。


 他の人たちも同じようなお弁当だった。飲み物もサイダーとかコーラとか炭酸飲料の缶が入っている。外国って感じ。

 ただサンドイッチの量が多くて食べきれなかった。みんながみんな人に押し付けようとしていたので、

 「fullって言って返せばいいんだよ。お腹いっぱいで食べられませんでした、ごめんなさいで大丈夫だから」とにしやんが教えてくれた。


 私もサンドイッチがラップに巻かれているのが2つ入っていたけど、頑張っても1つしか食べられなかった。

 だから帰ってきてからクラウディアに謝った。

 「ごめんなさい、お腹いっぱいで……」英語が出て来なくて困っていたら、

 「full? オーケー、でもこれはお腹が空いたら後で食べられるわね」と、リンゴは部屋に置いておくように言われた。お腹が空くことなんて無いんだけど、と思いながら部屋の棚に置いた。


〜〜〜


 夕食後にミルクティーを飲みながら、マイケルとクラウディアと一緒に話をする時間がとても好きだった。

 二人とも私の英語がとても上手だと褒めてくれる。でも二人が必死に私の話を理解しようとしながら聞いてくれているのもわかってたし、それがありがたかった。

 

 マイケルがウィンザー出身だと前もって聞いていたから、この前行った時にとても良いところだったと伝えた。

 「お城には行ったかい? ウィンザーもこの辺りと同じぐらい自然が豊かだったでしょ? 僕は自然の中にいることが好きで。だから僕はこの町で暮らすことを決めたんだ」

 そういう話もした。


 ふとテレビから、聴き覚えのある曲と日本語が聞こえてきた。

 目をやると、マージナルマンというバンドがロンドンのライブハウスでライブをしているという情報が流れていた。

 インタビューに日本語で答えていて、英語の字幕が出ていた。


 テレビから流れる日本語が久しぶり過ぎて、思わず笑ってしまった。

 「おー、ユカリが笑ってるよ。何か面白いこと言ってたのかい?」とマイケルが笑っていた私に気付いて声をかけた。

 「日本語が聞けたから嬉しくて。それにこのバンド、日本では今とても人気なんですよ」

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