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Marginal Man  作者: 志藤天音
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2時間目 放課後の話

 「ねぇ、マエちゃん。さっき職員室でマエちゃんと喋ってた先生って何年生の先生? 超カッコいいんですけどー!」

 「えー! そんな先生いたのー? アイずるいよー、私も見たいー」

 「なんかねー、めっちゃ背が高くてねー、モデルみたいだった。顔もイケメンだったし、ヤバいよ」

 B組では生徒会に立候補しようと思って職員室に行った栗原愛が、たまたま担任の前田と喋っていたイケメン先生が気になって、前田に問い詰めていた。

 前田自身も穏やかな性格で、放課後はよく生徒たちが群がるほどの人気ぶりだ。


 「あー、シゲさんのことかな? あっ……まあ、いいか。上田先生のことだよね。2年生の社会の先生だね」

 「マエちゃんも背が高いと思ってたけど、上田先生の方がもっと高いもんねー。凄く目立つ。体育の先生かと思ったんだけど。違う学年だからか、あんな先生いたなんて全然知らなかったー」

 「上田先生の授業受けるにはどうすればいいの? 3年間で上田先生と喋るチャンスあるかなー。 マエちゃん、今度上田先生のこと授業に呼んでよー」

 生徒たちは、上田が気になって仕方なくなってしまった。今にも職員室に押しかけそうな勢いだった。


 「2年生になったら社会の教科が増えるから、その分会うチャンスはあるんじゃないかな。それまで待てないと思ったら、バスケ部に入ればいいよ。シゲさん……いや、上田先生はバスケ部の顧問だから。彼は中高大とバスケをやってきたから。だからあんなに背が高いんだ」

 「えー、私バスケ苦手ー」「2年になっても会えないかもしれないのかー」「試験前とかに上田先生に質問しに行こうかな」

 生徒たちはキャッキャと上田と会うためにはどうすればいいか口々に話をしている。


 「ちなみにだけど、上田先生は結婚してるよ。子どもも二人いて、今度三人目産まれるみたい。奥さんとはラブラブだから、君たちが入る隙はないよ。恋愛するならもっと外に目を向けなさい」

 「えー、ショックー。まだ会ってもいないのに、いきなり片想いかー。でも、どんな先生か見てから考えるわ」


 その頃、A組ではまた違う先生の話題で持ちきりだった。


 「にしやん、私、ゲキ渋な先生見た。私って馬顔好きなのかなー、馬顔でさー、バレーボールの黒川に似てる」

 A組でバレーボール部に所属している西田麻美がそう言った。入学したての1年生がキャッキャと毎日はしゃいでいる中、彼女は割と落ち着いている方だ。

 今、バレーボールの世界大会が開催されているところで、毎日選手たちの活躍ぶりがテレビで映し出されている。だから有名な選手の名前は誰もが知っている。日本代表エースの黒川選手もその一人だ。


 「あー、松井先生だ。あさみん、俺も黒川に似てるなーって思ってたよ。馬面マツ先生ね。3年生の国語の先生。受験生抱えてて気合い入ってるから、ちょっと怖い顔してるけど、普段俺たちもお世話になってるとても優しい先生だよ」

 「馬面マツ先生って何なのそのあだ名。センス無さすぎじゃん」

 「にしやんまさか、他の先生にもあだ名付けてるの? ダサい名前付けて怒られない?」

 「イメージで名前付けてるから。それに先生たちみんな大人だから怒らないよ。ちなみにB組のマエちゃんはラブ&ピース先生だよ」

 「あー、それイメージにピッタリだわ。争いごととか嫌いそうだもんねー。それだったら本人の前で言っても大丈夫だわ」


 「あとE組のナガちゃんはアウトロー先生だけど」

 「……それって……そのままじゃね?」

 「うん。だけどナガちゃんも、いろいろあって今はあのキャラでいってるけど、実際のキャラは違うんだよ。ナガちゃんの授業って結構面白くない? そのうち本性出てくると思うけど、今のイメージでアウトロー」

 「ふーん。私、数学3類だからナガちゃんの授業受けられないー。もうちょっと頑張らないとー」


 そんな感じで毎日放課後のお喋りタイムは尽きないのだ。

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