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Marginal Man  作者: 志藤天音
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6時間目 書道

音楽、美術、書道は、選択教科となる。また、一年生の1年間しか学べない。これもまた、貴重な授業である。


 1-Aの教室に、今日は激震が起こった。担任の西原先生が、自らの結婚を報告したのだ。割と自由な時間があった今年の夏休みのうちに、結婚式と新婚旅行を済ませたと、何故かこのタイミングで発表した。ついでに、B組の前田先生の結婚も勝手に報告してしまったので、生徒たちにとっては大打撃だった。

 

 朝のホームルームで発表があり、その後すぐに体育の授業の為、体育館へ。2時間目は前田先生の世界史の授業というハードスケジュール。いつもなら、この時間割りが神だといってウキウキで教室移動して楽しみに授業を受けているのに、今日は重たい空気が流れている。

 特に、前田先生のことが大好きだった尾形律子にとっては、今日という日は地獄の1日だった。

 体育の授業も上の空だったが、周りのフォローもあってなんとか時間を過ごせた。


 問題は、この後の世界史だ。なんで、よりによって結婚報告をされた日に授業があるんだ。

 律子は教室に戻りたくなかった。どんな顔して先生と向き合えばいいかわからない。具合が悪いということにして、保健室に行こうかな。誰かに付き添ってもらって、教室を出ようとした時、前田先生が入ってきた。


 「おはよー。授業始めるよー。尾形? どうした? 具合悪い?」

 出るに出られなくなってしまった律子は、先生の問いかけも無視して、自分の席に戻った。

 律子が前田先生のことを好きだというのは、クラスの全員が知っていたので、このやり取りを見ていた生徒たちは一瞬ザワザワした。いつもなら、先生に話しかけられたら律子は喜んでいるのに、と。

 

 「はい、授業始めまーす」

 「先生、ご結婚おめでとうございます」一応言っておかないとと、クラスでもリーダー的存在の山本有紗が声をかけた。

 「え? にしやんが喋った? アイツ……自分のことだけでいいのにな。あー、自分のクラスにもまだ言ってなかったのに……。予定が狂ったわ……」とりあえず、ありがとうとだけ言って、前田先生からは多くは語られなかった。

 今日は特に脱線もせず、普通に授業が進められた。

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