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Marginal Man  作者: 志藤天音
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夏休み(2/2)

 夏休みと言えばフェスだが、マージナルマンは今まで一度も夏フェスに参加したことがない。もちろん理由は、この忙しい夏休みのせいだ。特に今年はNAOが受験生の担任をしていることもあり、余計に弾けることが出来ない。

 その為、マージナルマンが人前で活躍するのは、毎年3月と4月の2ヶ月間だけだ。つまり、ライブツアーをするのはこの期間だけだと決めている。生マージナルマンを見られる貴重な期間なので、最近ではチケットも争奪戦らしい。

 もちろん、楽曲作りや撮影、取材や収録などの活動は年間を通してしているが、普段は教師として働いていることを隠しながらバンド活動をしているので、行動が制限されてしまうのは当たり前だ。


 「配信っていう手もあるか? ここ何年か単独ライブも配信でやってみたりして、最近は配信の方がメインになったよね。これ覚えちゃうと、ライブは全部配信でいけるんじゃないかって気になっちゃうよな。俺たちの名前も広く知られるきっかけにもなったし。まあ、今年の夏は俺が受験生持ってるから、どっちにしろライブは無理だけどね」

 「俺はいつもガールズたちに『日焼けしたら志望校に合格しない』って毎年言っちゃってるからなあ。夏に遊ぶことを推奨してないよね。ガールズからしたら、夏は思いっきりはしゃぎたいのにね。っていうか、完全に休みにしちゃうと、俺がガールズたちに会えなくて寂しくなっちゃうっていうことなんだけどね。学校に行けば必ずガールズに会えるからね」

 「にしやんなんか、一人ではしゃいでるじゃん。毎年、クソ暑いのに髭ボーボーに生やしてさ。見てる方も暑苦しいんだよ。おまけにカレー食うじゃん? まるでインド人だよな」HIROは、ユウジが毎年やる恒例行事にうんざりしている。


 「それじゃあ、今年の夏休みは、バンド活動は休止。各自、講習とか部活とかの学校行事、家族サービスに専念しましょう。ほら、今年はにしやんもマエちゃんも、新婚だからさ。結婚式もあるし。それぞれ思い思いに過ごそう。制作活動してもいいけど、夏休み中はみんなで集まらないから、各自温めといてね。以上!」シゲが最後締めて、それぞれの夏休みが始まった。

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