松井竹の普通の一日
俺の名前は、松井竹。今日は休日のため、ブラ〜っと散歩をしている。「こんにちは〜」「こんにちは、松井君、どこか行くの?」「いえ、何も考えずフラ〜っと」「あ〜、そういうのも楽しいよね〜、行ってらっしゃ〜い」「は〜い」いつもと同じような会話をして、散歩に戻った。そう、普通の休日だ、誰の目から見ても。会話をしたのが、電信柱じゃなければ。実際に経験がある人か、こういう設定をよく見ている人以外はここの時点で、ん?と思っているだろう。どういうことなんだ?と。説明しよう。別にこれはこの世界の人間が皆、特殊能力を持っていたりする世界というわけではない。僕が、小さい頃に自分で自覚し、周りから隠してきたものだ。おそらく生まれつき。僕は、電信柱など、一定以上の大きさと重さを持つものと会話が出来る。何故、生物以外の全てなんでもみたいなのじゃないのかとも思うが、まぁ、今更不満は無い。とまぁ、僕の説明も終わったし、とりあえず僕の1日を、お見せしよう。今は、午前10時半。「とりあえず、駅向かって歩くか、駅前なら色々あるし」…到着。
現在時刻午前11時15分。「まだ、腹空いてないし、本屋でも行くか」…到着。現在時刻午前11時半。「やっぱりデカイな、駅前のは」中に入り、小説コーナーと書かれた、場所をみていく、「うーん、これ面白い?」「いやー、微妙」「こっちは?」「訳分からん文字ばっかで、専門的」「これは?」「何を伝えたいのかわからん」本棚と会話しながら。ものにもやはり性格はある。この本棚は、中々、辛口の評価をする性格らしい。本屋の本棚がこれでいいのだろうか。「んじゃ、これは?」「あ、それなら、まぁまぁ簡単だし、分かりやすいし、君の頭にもちょうどいいよ」最終的には、おれにも言ってきた。会計を済ませて店を出た。
現在時刻午後12時半。じっくり見ていたから、気づかなかったが、かなりお腹が空いてきた。何を食べよう。「何がいいかな?」「寿司だろやっぱ」「いやいや、ステーキじゃない?」「駅地下のラーメン屋。異論は…」「いやいや、新しく出来たクレープ屋。糖分は…」なんて会話を、道行く車と話した。まぁ、俺が言ったのは、最初の「何がいいかな?」だけだから、周りからは、変なふうには見られてない。大半の説明長くて全部聞く前に行ってしまったが、まぁ、みんなの言ってた店は、大体覚えた。ラーメンにしよ。…到着。
現在時刻午後1時。まぁ、ちょうどいい。お昼時のため、人は多かったが、カウンター席が1つだけ空いてたため、そこに座った。メニューを見ながら、小声でカウンターに話しかける。「何オススメ?」「味噌、こってり」カウンターは、サッパリした感じの答えを残して黙った。態度とオススメ真逆じゃねぇか。とりあえず、オススメされたものを頼んでみた。中々、ボリュームはあるが実に美味しい。来て正解だった。ラーメンを食べ終えると、お会計を済ませた。「800円」、店長はサッパリした感じで言い、会計を終えたら、行ってしまった。飼い主に似るのは、ペットだけじゃないらしい。
現在時刻午後1時40分。1時間ほどかかるし、今日は、見たいテレビが6時から始まるため。まぁ、こっちにいれるのは後2、3時間くらいだろう。とりあえず、銀行に言ってお金を…「ふざけんじゃねぇぞ、てめぇ!!」急にそんな声がした、見てみると、2人組の青年と、1人のおっさんが、揉み合いをしていた。おっさんの方をよく見てみると、顔が赤いし、スーツはシワシワ、ついでに頭にネクタイを巻いていた。典型的な酔っぱらいだった。すぐさま近くにあった、電信柱に話しかけた。「何あったの?」「最初、あの二人の男がアイドルの話してたんだよ、で、そこにあの酔っぱらいがきて、あのグループの名前は、最初より、最後の方を微妙に高く言うんだ。間違えんなにわかが!とか言ってつかみかかったんだよ」…アホらしい。よくよくそっちを見ると、たしかに怒鳴ったりしてるのは、オッサンだけで、二人の男は、相槌みたいなことしか言ってない。あー。なんか恥ずかしい。お酒は程々にしなきゃな。しばらくして警察らしき人が来て男と話したり、おさえたりしていた。…さて、銀行行こ。
現在時刻午後2時30分。さっきの騒動と、銀行が微妙に混んでいたこともあって、まぁまぁ遅くなった。さて、映画でもみようかなー、体を動かすために1人でボーリングでも行こうかなー、1人で。映画をみようと決めた。…到着。
現在時刻午後3時。何を見ようか。上映中の映画のポスターを見て、ポップコーンが売ってあるカウンターにこっそり話そうとした。だが、よく良く考えれば、今日1日、ほとんどのことをものに決めてもらっていた。そろそろ自分でも決めよう。そう考え、何にしようか考える。ぶっちゃけ、ここでカウンターに聞かないなら、この能力設定いらなくね?とも思ったが、まぁ俺の一日だし、いいだろ。そう考え、ポスターを見てどれにするか選んでいく。恋愛映画、ホラー映画、アニメ映画、でかいサメの出る映画。色々ある。だが、どれもグッとくるのがない。うーん、映画はやめとこうかな。そう考え、自動ドアの方を向いた時、一瞬視界の端に、気になるポスターを見つけた、そっちを見ると、「物の気持ち」という、映画、一瞬子供にものの大切さを訴えるものかと思ったが、違う。よく見てみると、どこぞの大学教授が物に、ものが何を考えているのかをあらゆる方法を使って、分析し、それをまとめた研究成果を、映画にしたものらしい、いかにも怪しいが、俺は、軽く興味を持った。大学教授は、物の声を聞けるらしい、なら、本当に声が聞こえる俺が、その映画を見て、どれくらいあってて、どれくらい間違ってるかを、聞くのも悪くないと思ったのだ。早速見てみよう…上映開始。まずは、研究に携わった人達の紹介、声を聞くことが出来ない小さい物の説明だった。途中まで見て思ったが、この映画、わるくない。進み方もスムーズだし、研究内容の説明もとてもわかりやすい、たまーに入れてくる教授のギャグもしらけることもなく、それでいて、その後の説明が、ギャグが頭に残って聞けなくなるほど、面白すぎるものでもなかった、これは、中々いい。そんなことを、考えていると、いよいよ俺が聞き取れるくらいの大きさの物が出てきた。まず、お風呂の湯船からだった。割と大きいお風呂だったため、能力の対象になった。教授が話始める。「このお風呂をご覧下さい、先程紹介してきたものたちと同じで、普通に話したのでは全然話してくれません。しかし、私の研究成果によると、お風呂は、自分の中に溜まったお湯が蒸発したときに様々な所につく水滴、それが落ちた時のリズムによって会話をしているらしいのです。では、やってみましょう。」映像が倍速になった。お風呂がたまり、湯気が出て、様々な所に水滴がついた。教授が再び話す「準備は整いました。始めましょう。まずは、あなたの名前をお願いします」それと同時に俺も耳をすませる。教授がいくつか水滴が落ちたあと、ビデオカメラのような装置をいじって、それを見た後、話してきた。「なるほど、あなたは、信長さんですか、かっこいいですねー」ちなみに、俺が聞いたのは、秀吉だった。…違う。教授が続ける、「あなたは、いつ頃作られたのですか?」教授「2015年、全然新しいですねー、若いねー」俺「1985年、嘘つけ、サバ読みすぎだ」…違う。教授が話す「ところで、あなたは、男、女どっちかな?」教授「女かー、ですよねーそう思ってましたよ」俺「心はな」…違う。その後も説明は続いが、だいたい間違っていた。まぁ、教授本人はすごく満足気な顔をしていたし、話し方は、嫌いになれないので、自分の中での評価は良かった。さて、そろそろ帰ろう。帰路に着いた。…到着。
現在時刻午後5時15分。帰ってくるなり、「ただいまー」「おかえりー、楽しかった?」「うん、色々あったけど、楽しかったよ、疲れたから、少し寝ていいかな?」「いいけど、テレビ見るんでしょ、30分だけだよ」「そういや、それのために帰ったのに忘れてた、ありがとう、それじゃおやすみー」「はーい」その声を聞きながから、俺は、今話していたベッドの上で、ぐーっと言いながら、寝てしまった。これが僕の他とは違うけど、ほとんどほかと変わらない、普通の休日だ。