第六部 三章 超巨大学園
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帰ってから一時間、膨らんだお腹を元に戻すために昼寝を挟んで起きた後に学園の下見を提案されて全員賛成を聞いた後、車に乗り込み、車内は昨日のショッピングと同じように4人で楽しく談笑する。
「所で、皆さまは学園生活はどうしますか?寮で暮らすか、実家からの登校とか他に、ごく少数ですけれど別荘地を借り受けたりしてそこからという人もいるようですが…」
「うーん、僕は寮でもどこでも構わないんだけどね、護身術があるから、万が一があっても捌けるとは思うんだけど」
「うん、アイシャちゃんはどこでも行けるでしょうね、ちょっと目を離したら返り血で校内を汚していたとか普通にありそうだから」
「OK美奈その話しは止めよう」
「それで、レイラちゃんならどうするの?」
「長物、つまり刀とか槍とか武器を持ち込んでいいなら、寮でも」
しまった。この2人バイオレンスな戦闘スタイルと思考の持ち主だった。ってあれ?レイラの戦闘スタイルって補助だったよな?武器?あれ、武器スキルとかってジョブスキルと共用でポイント振り分けを…振り分け…振り分け…あっ
スキルポイント!体験版ではネタバレが怖くて一個も振り分けていなかったわ、俺!
まさか、レイラの戦闘スタイルは補助じゃなくて、FP消化型!?
ストアドシリーズでは、戦闘時HPとMP以外にFPというのが存在する、武器を利用する武技を使うときに消費するポイントで戦闘開始時は0だが、ダメージを受ける時とダメージを与えた時に増える。言わば長期戦にて、とっても重宝するシステムといえる。
もし、それならばバイオレンスな思考も合点がいく。でも、今、姫である俺が使える魔法…それは…
「話しを振ったところで悪いのですが、これを見てください」
指先に魔力を集め右手の人差し指から1㎝の氷を左手の指先からパチパチと電気を発生させる。
「それって…」
「おいおい、マジか、亜種魔法じゃねぇか」
亜種魔法、魔法は現在確認されている中では火、水、風、土の4種類が何よりも多く確認されている事から、親しみのある魔法として認識されている。しかし、極稀にその4種類の派生として、珍しい魔法が発現されるケースが存在する。それが、亜種魔法、現在確認いる亜種魔法は雷、氷、草、鉄の4種類、それぞれ派生理由は様々な仮説が立てられているが、現在最も有力な説は魔力が暴走を起こし、それを抑えるために凝縮することで、特殊派生を生み出すという説だ。
火や水などの魔法は形が変えられる魔法、しかし、亜種魔法は一定の形を常に保っている。雷なら静電気のパチンッという感覚、あれに発生する電気の形は毎回形が変わっているように見えるが根本的に調査したところ一定の形が大きさを違えているため形が変わっているように見えるだけで実際に変わっているわけではないという亜種魔法論文などがこの世界に存在する。
形を変えられる一般魔法、形をある程度保った亜種魔法、この関連性は未だに明かされていない。ただ、一つ確かに言えることは、亜種魔法は特異環境で目を見張るような成果を上げるアビリティだという事だ。
「草や鉄は使えないのですが、この前、遊んでいる時に何故かレベルが上がってその時使えるようになったんです」
(まぁ、多分リエラと遊んでいる時、服を脱がそうとして転ばした時に経験値が上がったから、あれなんだろうなぁ…SRPGみたいなレベルアップがあるから、ないとは言い切れないし)
たしか、ある層ではその仕様についてプチ炎上があったらしいけど、実際そこまでゲーム影響がなかったから、そのままになったけど遊びが、戦闘扱いとなっている現実は個人的に批判したい。
(たしか、10前後のダメージだっけ…最大HPが30でよかった。あんなことで物言わぬドロップ品になったら発狂してたかもしれないし)
「そうだ、実は私、美奈さんに言いたいこと、というか、聞きたいことがあるんですけど」
「うん、なに?」
「お茶会のトラブルの時デュアルフレアを使ったと聞きましたが、それ、本当にデュアルフレアだったのですか?」
「…どういう意味?」
「魔法の描写が一致しないんです。私はパソコンなどでいくつもの魔法を見ました。デュアルフレアは対象の周りに火柱が立ち上がり、その後対象に向かい焼き切るという効果のはず、しかし、証言では複数の火球が対象に飛んだとありました」
美奈は顔を逸らし目を泳がせる。
「私が考えるに、あの魔法はデュアルフレアではなく…」
「アクセルファイア!」
「その通りです。レイラさん。普通のファイアやファイアボールと違いファイアより高威力、ファイアボールより低威力の初級魔法の応用魔法でも、多分、美奈さんは…」
「…恥ずかしい、それ以上は正直に話しますよ…あの時確かに、デュアルフレアを唱えました、しかし、魔力制御がうまくいかず、デュアルフレアどころか、ファイアボールすらも制御が届かず、アクセルファイアになってしまった、それがリラが聞きたいこと、でいい?」
「いえいえ、こちらこそ、過ぎた事に傷口に塩を刷り込むようなことを」
「それを言うなら傷口に塩を塗るだぞ」
「いや?一応すりこむもあるよ」
「どうでもいい上にそういうことを言ってるんじゃないんですけど」
「「ごめんなさい」」
話をしている内に外の景色が変わり、大学のような多くの学部が並んでいる景色が見えてくる。
「おぉ…」
「ここって確か学園側が所有している土地なんだよね。一応規模としては世界有数の超巨大学園なんじゃない?」
「地図をみると分かるんですけどちょっとした街くらいはあるらしいね、あぁ、レイラ、胃が痛くなってきた」
「大丈夫?下見に来ただけだから、ちょっと初等部の小学生の校舎見ただけで終わるだろうし、もう少し、がんばろっ?どうせ、入学した後は滅多に教室を移動したりしないだろうし」
「はっ、そうだね、6年間も過ごすんだし、そうそう移動教室なんてないよね」
余裕ができたのかレイラの顔色は通常通り白い肌に綺麗な二次元特有の半ビジュアルの可愛い顔に戻ってきた。
「…そう言えば、皆さまはまだ、入学していないのに移動教室や初等部など学校の仕組みや用語をよくご存じですね」
「あ、あー、うん、これから長い期間学校で過ごすんだしねー、あ、あはは、はは…」
「そ、そうそう、大学まで併設されているんだから、僕も少しだけ、それなりのよく使うような、へ、へへへ…」
「レイラもよく使うものしか専門用語とかはまだまだからっきし全然、森羅万象、一切合切、有象無象など全く知らないし」
レイラの発言は真逆の時に知っている人のことを指す言葉だと思うのだが、まあ、いいか。
「でも、本当に大きい学園だよね。由緒ある学園というのもあるだろうけど、ここに入学する生徒や学生はみんなエリートなんでしょう、私がここに入学して少しでも劣等生みたいなことになったら、いじめとか受けちゃったりするのかなぁ?」
「あはは、美奈ちゃんは心配性だなぁ、俺たちはそんなことはないと思うぞ、なんせ、美奈ちゃんは高位精霊使いでレイラは究極奥義の使い手リラは亜種魔法を使えるし、俺も女性で初の気孔使い、逆に優等生過ぎて浮いちまうかもな」
「でも、上には上があるもの、私たちはクラスが分かれるでしょう、特待生クラスに入れるなんて全体を通してその上位の人たちで構成されるんですもの、それに家柄も立場も関係なし、その人の能力、アビリティ、体だけでなく筆記試験も含まれるんですから、私達は一般クラスに分類されるでしょう」
「もしもレイラ達が違うクラスになっても昼食は一緒に食べようね」
「そうだね、と言っても学食があるから、意図せずとも同じところで食べることになりそうだけどね」
「学食…」
学食って、あまりいいとは言えないんだよな、美味しいものもあれば、口では言わないけれど不味いやつもある、この世界ではどうかは知らないけれど少なくとも前の世界ではそういうので何回か貧乏くじ引かされていたから、学食って聞くと少しビビッてしまう。
「リラ?どうしたの?もう着いたよ」
「えっ?あぁ、すいません、ちょっと考え事してました」
車から降りて、数分歩くその時、私達は窓から見ていた建造物はそれが、学校だと認識していなかった。
「これが…学校?」
目の前に広がっていたのは円状に立っている超巨大な建物、その構造を見るに必ず何回か前の世界で写真越しや海外旅行でも見たことがあるかもしれない、その光景は…
イタリアのコロッセオと酷似していた。違う点があるとするならば、ガラス張りになって、そこから見える室内は美術館や絵画が飾ってあるような歴史を感じさせる木造の恐らくは教室だろう部屋、まさしくそれは、一生生きていてこのようなものが実際にあっていいものかと自身の目を疑ってしまうほどの、インパクトを持ったそれが、今、目の前に立っているのだ。
「うわぁ、うわぁ…」
「開いた口が塞がらないというのはまさにこのことか」
「…ダメだ。レイラ、これを言葉にすることができない。相当する語彙力が見つからないよ」
「そうだろうねぇ、由緒正しい学園だろうとここまで衝撃を与えるものはそうそうないだろうから」
「でも、他の建物も構造がすごいけど、同じようなものが一つも経っていない、学校一つに相応の予算があるのか?」
「予算…そうだなぁ、貴族の方たちから援助金は結構もらっているよ。卒業生の人からも感謝の意とかそんな感じのお金ももらったりしているからこれからも、大きくなっているんじゃないかな?」
(ってあれ?声色が増えていないか?)
その事に気づいて振り返るとスーツ姿の女性が立っていた、凛々しい顔立ちで眼鏡から見えるその瞳は全てを見透かしていそうな眼が、自分たちを見下ろしている、その顔は見覚えがあった。
「二スタ…理事長?」
お茶会の学園案内の説明で事細かく学園についての説明をしていた二スタ・ホールカーがそこにいた。
「やあやあ、こんにちは、千麟 美奈ちゃん、アイシャ・ハーンちゃん、レイラ・オーガスタ・キャロルちゃん、リラ・エンジェルスちゃん、ようこそヴェルスター学園へ歓迎しましょう。私は、二スタ・ホールカー、この神聖ヴェルスター学園の理事長さ」
「…ええ、存じております、お茶会での説明とてもわかりやすかったです」
「おやおやおや、一国の姫様にそんなことを言われるとは、嬉しい限りだな。しかし、君たちはとっても優秀な人材になり得る。他の子供には無いような才能が眠っている。さながら宝石の原石のような…ね」
「ははっ、ありがたいお言葉って言いたいけれど、褒めて伸びるタイプは僕たち以外にも多くいる。そう考えると、理事長サマは誰にだってそういうことを言っているんじゃないかい?」
「ほう、ほうほうほう、いいねぇ、いいねぇ、理事長として話しているのに君たち4人、いや、3人は対等に接している。いや、レイラちゃんは人見知りでネガティブになっているだけなのかな?さて、誰にでも言っているだっけ?確かにそうかもしれないね、でも、それとは違うものを感じているんだよ。私は」
レイラの方を見ると初対面と同じような思考が追い付いていなくて、頭の中がショートしたような顔になっている。
「っと、そう言えば君たちはどうして学園に来たんだい?入学にはまだ、一年あるぞ」
「そんなわけないでしょう、それに、そろそろ、夏になる、半年はあるけれど下見くらいは済ませておこうと思ってね」
「勤勉で素晴らしいね。やはり生徒はそうでなくてはならない。やはり君たちはいい生徒になりそうだ。来年の入学式が楽しみで仕方ないよ。でも下見だけではつまらないだろう、どうだい?せっかくお散歩していたら、運命的な出会いをしたんだ。学園の案内をしてあげようか?理事長、直々に学園案内の誘い何てそうそうないぞ?」
「ありがたいけど、いいの?理事長って結構多忙なんじゃない?」
「さっき言ったけれど、散歩してただけだからね。それに、今日は休日だけど、寮に住んでいる人や勉強したい人達ように図書館やグラウンド、委員会で使う教室は開放しているのさ、授業で使う教室は滅多にそれ以外では使わないし、学園生活で使うことになるから、案内しなくても慣れていくだろう」
そう言うと理事長は背中を押して急かすようにグイグイと押す。
「さあさあ、楽しいお散歩の時間はいつまでもは続かない。せめてこの短い時間の間、お互いにとっても楽しい時間を過ごそうじゃないか」
それから、しばらくの間、学園の中を案内してもらった事で、いくつか分かったことがある。この学園は規模が規模なだけあって、学園側だけでは対処しきれない所が多々あり、その為、警備局員などを夜勤という形で雇っているらしい。しかし、それだけの人員を雇うには馬鹿にならない程の金額が必要だ。一般人とは違う生活時間を仕事に使っているわけだから、相場より高い金額とは言っていたが、学園側としては特に問題ないらしい。
理事長が言うには警備局以外にも学生側が寮や委員会活動で取り締まっている所もあるらしいので、そういうところで助かっているとの事、しかし、これだけ大きい学園だ。年間維持費だけでも、多額の資金が少なく見積もっても5000万は下らないだろう、もしかしたらもっと、億を超えてもおかしくない、一体それだけの額を何処から出しているのか、それについては質問してもことごとく躱す。
「おっと、気がつけば、日が沈みそうじゃないか、そうだね…最後にはとっておきの場所を紹介しようじゃないか」
そう言って理事長に連れてこられた場所は学園の外れに位置する山、その頂上、緩やかな坂が少し続くだけで私服でも特に問題ないくらいに上れてしまった。
その時には夕焼けがよく見えて、暗い海の影に太陽がもう少しで完全に沈む直前だった。
「この時間帯の夕日は本当に綺麗だ、最近は来れていなかったが、たまにはこういうのも悪くない、夜空に浮かぶ星々も中々いいものだが、私は今の時間で見れるこの光景だ好きだな。太陽あっての月であり太陽あっての星々の光だ」
そういう理事長の髪は優しく吹く風に溶けるようになびく。
「さて、そろそろ、戻らなくちゃね。君たちも、よい子はお家へ帰る時間だよ」
スッと理事長は右手を上にパチンッと鳴らすと私達の視界は暗転して気づいたら、車の前に戻っていた運転席にはエリックが既に待機しており、「お待ちしておりました」と言った後、別邸で馬車に乗り換えた後、それぞれのみんなを家まで送ったあと、城に戻る。
その後、また一日中おいて行かれたリエラの機嫌を取るのに少しばかり苦労したが、最終的には明日から、一日の半分、つまり12時間遊ぶ時間に付き合う事を条件に許してくれた。
そして、それは、私だけではなく、美奈さんはサリアという専属メイドさんに、アイシャさんはランクという執事に、レイラさんは妹さんにべったりとくっつかれて、大変だった事に気付いたのは、後のパソコンメールで愚痴と共に送られてきた写真で察した時だった。
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