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第五部 一章 レッツショッピング

 View アイシャ

 「ウィンドウショッピンーグッ!!」


 「テンション高いね」


 「アイシャさんはこういうの初めてですか?」


 「うん、特に服とかには無頓着だったから、自分で選ぶのなんて初めて」


 男の頃から特に服なんて落ち着いた色だったら何でもいいと思っていたけれど、この姿になってから、自分でも驚くぐらいオシャレに気を使うようになったんだよな。


 でも、それ以上に家にいる期間が多かったから、こういうのは少し気分が高揚する。


 「取りあえず、中に入りましょうか、まずは…」


 そういいながら、中に入って最初に向かったのは


 「…」

 

 「あー…」


 「…」


 「…」

 

 ランジェリーショップ、つまりは下着専用の店だ。


 「ジュニアの奴でもここが最適みたいで…」


 美奈は、スマホとショップを交互に見ながら、頬を真っ赤にして言うが、動揺を全く隠せていない。


 (なんでだろう?俺はともかく他の人もあんな顔をするなんて、もしかして初めての買い物だから緊張しているのかな?よし)


 「さあさあ、早く入りましょう?皆に似合うもの僕が見繕ってあげるから、すみませーん!今の流行聞きたいんですけどー」


 こういうのは男の姿だったらセクハラをだのなんだの言われるところだが今の姿なら天真爛漫の無邪気な少女だという事で自然な流れでリードできるだろう。


 最初は戸惑っていた三人も、少しずつ緊張がほぐれていき、全員でそれぞれのセレクションで下着を選んでいく。


 最初のターゲットは美奈になった。


 アイシャセレクション


 「どう?」


 「うーん、布地か少なくて、あまり落ち着かない感じ…」


 「色はもう少し薄いのがいいと思います…」


 「エイラさんの言う通り、純色よりも薄い方がいいと思いますよ」


 「うーん、青色が結構映えると思ったんだけどなぁ」


 レイラセレクション


 「こ、これでどうですか?」


 「スタンダードな感じですね。白一色なのがとてもいいです」


 「でも、柄が何もないのは、少し寂しいんじゃない?それに、もう少し露出が少ないのにも手を伸ばしたら?まるで、タイツ姿に見えるよ」


 「白はいいと思いますよ。それに上からも着るんですから、そうしたら意図的に見ようとしなかったら見えませんよ」


 リラセレクション


 「これを付けて、出来た!」


 「ふ、フリフリ…」


 「わぁ、すごい…」


 「色もピンクで似合ってます!」


 「そ、そう?」


 「じゃあ、次はアイシャさんで」


 「僕?うん、いいよ。じゃあお願い」


 ViewChange 美奈

 「では変わりますね」


 今までの服をたたみ、かごに入れてアイシャちゃんに似合う服を探す。手ごろな服を掴み、試着室に入る。


 「これはどうで…す?」


 「あ…」


 試着室に入って目に入ったのは下着姿のアイシャ…ではなく、その胸の膨らみ


 (な、何で既に下着で、というかデカすぎる…どういう事なの?元々大きいサイズだったって事?でもさっきはそれ程変わらないサイズだったのに)


 思考している最中、アイシャの手からサラシがシュルシュルと滑り落ちる。


 (サラシ…!胸を押さえつけているの!?だからサイズが変わらないと思ってたのに…でも、なんだこの敗北感は…!)


 「あ、あの…」


 「ハッ!」


 「そんなにジロジロ見られると、流石に恥ずかしい…です」


 自分でも気づかないくらい凝視していたみたいだ


 「ゴ、ゴゴゴゴ、ゴメンナサイッ!そんな既に脱いでいるとは知らなくてっ!」


 「い、いや謝るような事じゃ…ただ、胸を見られたくらいで」


 「で、でも、そんなに大きい…あっ、い、いやえっと…!」

 

 ダメだ。弁明が何も思いつかない。というか、胸の存在感で思考が飛ぶっ!


 「あっこれ、美奈ちゃんが選んだもの?早速来て見るね」


 「はっはい失礼しました!!」


 逃げるように、勢いよくカーテンを閉じる。


 「はぁ、はぁ」


 「あら?美奈さんはもう選んだのですか?」


 リラが下着を持ったレイラと一緒に来た。


 「う、うん」


 さっきの光景と自分たちの胸部を比べてみるとやはり、何か心の中から憧憬と対抗心がこみ上げてくる。


 美奈セレクション


 「さっきのフリフリと似ているけど、いつも着ている奴に似ているから、落ち着くよ」


 「そうですか?先程純色のを選んでいたので、完全というわけにはいきませんが…」


 「でも、似合ってますよ、綺麗なイエローグリーンが森を思わせるようで…」


 「…(ぽー)」


 「レ、レイラちゃん!?どうしたの!?」


 レイラセレクション


 「黒に紫の装飾が目立つな…質は…絹?」


 「これは…」


 「俗に言う勝負下着ってやつですね、似合ってますけれど」


 似合うというよりかはヤラしいと口に出しそうだったが堪えた。


 リラセレクション


 「布地多すぎねぇ!?」


 「下着というよりはキャミソールに近いやつですね…」


 「肌に張り付いているように見えるけど、多分動きは服の翻りで鈍くなりますよね」


 「確かに、そうですね。言われて気づきました。しかし、アイシャさんお胸が大きいんですね」


 (直球ーっ!姫様なのにいう事はスライダーでもストレートでもなくチェンジアップでボールを投げちゃった!!)


 「あぁ、これね、普段ならサラシを巻くんだけどこれはスポブラやインナーで胸抑える方がいいかな?それも買おう」


 いいなあいいなあ、そんなこと言って良いことないなんて言って持たざる者の気持ちを分からずに大きくなっていくのはいいなあ、恨やましいなぁ羨ましいなぁ!


 「じゃあ、次、ささ、レイラちゃんの番だよ」


 「お、押さないでください、自分で入りますから」


 一応アイシャの反省を生かしてリクエストを聞いたが普通のでいいと言われたが、普通と言われると、純白か黒しかないので、一色だけどそれに同じ色の装飾があるのを選んだ。


 美奈セレクション


 「うーん、なんかごわごわしてあんまりいい心地じゃない」


 「あれは俺も嫌だな硬い生地でしょ、あれ」


 「でも、ウケはいいと思いますよ。殿方が決まっているなら、の話ですが」


 正直悪いと思っている。


 アイシャセレクション


 「く、黒タイツ…」


 「うん、自分用にも買おうと思っていたものだけど、レイラが着ても似合うね」


 「これなら、あまり下着の色も気にしないでいいし、足を綺麗に見せるいいチョイスじゃない」


 「謙虚なレイラさんに大人っぽさが強調されて、とっても美しいですよ」


 リラセレクション


 「わ、わぁ…」


 「ブランド物を端から選んだものなのですが、如何でしょう?」


 「絹が端から端まで丁寧に織り込まれている…とてもいい職人さんが作ったものだろうに」


 「ツルツルだぁ、これ着てたら、包まれる感覚が気持ちいいだろうなぁ」


 「っ~~~!!も、もういいですからっ!!次、どうぞっ!!」


 「はい、交代です」


 さて、最後は姫様のものだ。上着に隠れるからと言ってあからさまに高価な物を選ぶ必要はないだろう。しかし、素材は面ではなく絹に統一すべきだろう。絹はどれも高価だが、それを覆い隠すような質と価格…これはどうだろう。


 美奈セレクション


 「しましまの柄ですか」


 「はい、リラは多分白物が多いと思うので少し色を足した方がいいかと」


 あまり、女性がどんな下着がいいとか今更だけど分からないから及第点と思うものを選んでみたけど、普通なのかどうなのか。


 レイラセレクション


 「…くまさんがプリントされていますね。かわいい」


 「それ、この前にエイラに上げたものなんです、姫様には何が似合うか分からなかったので…あ、あのお気に召さなかったら、返してきますので…」


 「いえ、嬉しいですよ」


 アイシャセレクション


 「…これは」


 「マジカルルミルミドリームの奴だね、結構人気なアニメらしいから、持って来た」


 「ごめんなさい。そのアニメ見ていないです」


 まぁ、引きこもっているならそうだよね。


 「取りあえず、皆さんが選んでくれたんですから、これらは全部お買い上げにしましょう」


 その後、自分用のを少し選び、一人あたり6着ほど買った。レジで合計金額が10万超えていたのは気にしないでおこう。ちなみに支払いはそれぞれ二万円ずつ支払った。


 「次はようやくお洋服を選べますね」


 「下着だけでも結構時間を取られるとは思わなかったな、僕はまだ体力あるけどみんなは?」


 「ま、まだ大丈夫です…」


 「私も、リラやみんなのお洋服をちゃんと選ばなきゃ申し訳ないから多少無理しても大丈夫だよ」


 そう、談笑する。4人を陰から見守るのが二人いることに彼女達は気づかなかった。


 ViewChange サリア&ランク

 「お嬢様…このサリア、例え地獄の果てでもお嬢様をお守りいたします…!」


 「旦那様に言われて、後を辿ってみたが、無事に打ち解けているみたいで安心した。後は、このまま何事もなければいいが…」


 「「ん?」」


 その時、二人の目が合った。


 「なるほど、アイシャ様の従者ですかそういえば、同行者の集まりで会いましたね。ありがとうございます、気孔で隠密を上げてくれて」


 「それを言うならお互い様です。私は気孔は触り程度しか使えませんから隠密魔法をかけてくれてありがたいです」


 「でも、どうしてそちらの旦那様はアイシャ様の行動を?」


 「旦那様はアイシャ様を溺愛しておりまして、昨日も別邸にに行くとき、俺も一緒にいくーって駄々っ子みたいな事をして、私が行くことで何とか仕事をできる状態なのです。ちなみにこれでライブ映像のようにリアルタイムで見れますよ」


 そう言ってランクはネクタイピンについている小型カメラを見せつける。


 「…それ、犯罪では?」


 「何を言いますかこれぞ、執事秘密道具その①小型フェイクカメラ、傍から見れば留め具と何ら変わりないです」


 「捕まらないように祈ります。アーメン」


 「そんなことより、行動を始めたようです。追いますよ」


 ViewChange レイラ

 うぅ、さっき買った下着を履いたままだから、黒タイツが肌に張り付いて落ち着かないな。


 でも、肌触りがいいから落ち着く。まだ上着は来ていないからそんなに変わりはないけれど、女の人はこんなのを履いたりしているのか。


 でも、大丈夫かな?実際、姫様は今も注目の的、顔というよりあんな綺麗なドレス目を引かない方がおかしいっていうものだよ。その為には服で可愛く尚且つ一般人と親しみやすいコーデを選ばなきゃ…出来れば不敬にならないように、社会的に殺されないようにっ!!


 「うわぁ…ここはここで、色々な種類がありますねぇ…目移りしちゃいそうです…」


 「まぁまぁ、レイラはそこまで考えなくてもいいんじゃない?さっきみたいに僕たちが選んだ服を着て後は自分が選べばいいだけだからさ」


 アイシャさんはそう言ってくれるが、ハードル自体はそう高くもない。さっきのランジェリーショップと比べれば遥かに簡単だろう。だけど、ここで一番の悩みはどの様な服が似合うのか、それが自分が着ようと誰が着ようと、可愛さを引き出せるものかカッコよさを引き出せるものか、はたまた美しさを際立たせるものか、それを選べるかどうかだ。


 「じゃあ、さっきと同じ順番で美奈さんから試着をしてみましょう。いいですか?」


 「分かりました、じゃあお願いしますね」


 アイシャセレクション


 「これは、着物ですか?」


 「和服のイメージが合うと思ったんだけど、うんうん、綺麗だね。赤色にオレンジ色の蝶が見事にマッチしているよ」


 「…厚着に見えますけど」


 「その点は心配ないよ。確か寒暖の差を無くすために素材に特殊なものを使っているって、多分リトルウーズじゃない?」


 リトルウーズ、人の2~3倍の長さを持った腕の魔物、素材として温魔石や冷魔石を落とす。


 レイラセレクション


 「ちょ、ちょっとスカートが短すぎます!下着が見えちゃうよ!」


 「女の人はオシャレのために冬でも足を出すって書いてあったんですが…」


 「部屋着でいいんじゃないか?それに、膝より1㎝くらいちょっとした誤差みたいなものだよ」


 「でも、似合ってますよ。スラッと伸びた足が魅力的です」


 リラセレクション


 「ないないない!!着てみたけどこれはない!」


 「ゴスロリ服…しかもブランド物?」


 「素材的に結構な値段だな…試着はただだけど、これは…」


 「これくらいは私が払いますよ」


 そう言って髪を払うリラさんはとても美しかった。


 「じゃあ、次は僕が…希望は動きやすい服装で頼むよ」


 美奈セレクション


 「ジーパンかでも、上半身のこれは?」


 「タンクトップですね。動きやすい服装で一番に思いついたのがこれでした」


 「タンクトップってランジェリーショップにはなかったのにここにあったんですね…」


 「それってメンズじゃないんですか?レディースのなんて初めて見るんですけど」


 「レディースにあったので女性用でしょう」


 「ほえ~くびれ綺麗…」


 「まぁ、動きやすいからいいけど、ジーパンには合わないかな、短パンなら合うだろう」


 レイラセレクション


 「ジャージって、直球だな。まぁ、動きやすいけど」


 「シンプルイズベストだから、いいけど、だからこそ似合うなどの言葉が見つからないね」


 「ドキドキさせておきながら実は何もありませんでしたっていうオチか」


 リラセレクション


 「これは腰と足にゴムがあるからずり落ちないんだ」


 「動きやすいってわけじゃないけど、これなら、激しい動きでも大丈夫かなと思いまして」


 「上は私服っぽいな深紫である事を除けば」


 「ただでさえ珍しい色だから、面白いと思いました」


 「うーん、着せ替え人形とは違う扱いなんだろうけど何なんだろうな」


 「じゃあ、交代しましょうレイラさん、どうぞ」


 美奈セレクション


 「どう?ロングスカートを選んでみたんだけど」


 「お母さんが着てた冒険者時代の服に似てますね。とても落ち着きます」


 「元冒険者の間に生まれると、服の印象も変わるのか?」


 「そうかもしれませんね。でも気に入ったらそれで、いいじゃないですか」


 アイシャセレクション


 「これ、少し派手すぎるんじゃ」


 「うーん、可愛いね、ピンク色のドレスにメイドカチューシャがセットしてあったから気になって取ってみたけどこれは流石に」


 「ええ、先程の美奈さんのミニスカとは違うベクトルで外では着れないやつですね」


 「でも、謙虚なレイラだからこういうのに似合うのも中々乙なものでは?」


 「違いない」


 リラセレクション


 「…これは」


 「これ…なんでしょう?コスプレ?」


 「ハートのボタンにポケットに病院の白い十字の刺繡、空色の色…リラ、これどういうものなの?」


 「お二人が落ち着いたものを選びそうだったので、あそこから持ってきました」


 「あぁ、キッズスペース…それで、魔法少女みたいなものになったんだ」


 「え、ええと…あ、あはは」


 「あっごめんなさい、では変わりますので」


 「はあい…」


 美奈セレクション


 「ワンピースですか」


 「ええ、やっぱり車の中で言ったものは一通り試してみたいのですが、まずはこれかなって」


 「白い帽子も似合うな、笑顔だと絵になるぞきっと、いや、そうに決まってる」


 「美しいです。ひ…リラ…さん」


 アイシャセレクション

 

 「うん、会心の出来だな、夜に似合う」


 「そりゃパジャマですからね」


 「これがパジャマですか、初めて着ました」


 「え?それじゃあ今まで何を着て寝ていたの?」


 「そのままドレスか、お風呂上りにそのまま裸で寝ていましたけど?」


 「だ、大胆…」


 レイラセレクション


 「これは普通の私服ですね」


 「普通の面生地なのですが、ぴったりとフィットするのがいいでしょう?」


 「うん、せかっかくだからこれ着て行こうか」


 「じゃあ、僕たちもここで買ったやつで出ようか」


 「そうですね。その前に他にも自分用のを自分で探しますか」


 その後それぞれ思い思いの考えでショッピングを続けた。

次回11月中旬予定

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