第二十五部 参章 獣たちの愉しみ
View リラ
学園から出る手続きをした後、その場で解散となり、乗馬場でペガサスを迎えに行く。乗馬場の牧柵を通ると自分とジェバンニに気付いた馬たちが一斉に駆け寄ってくる。その中には自分の愛馬のペガサスもいる。
「よしよし、いい子にしてたかい?ミケ」
ミケは城の中にある牧場出身のペガサスだ。その時から乗馬で遊んでいた私に管理人がお世話にをしてみないかと言われて紹介されたのがこのミケだ。アリアさんに借りたペガサスも大きかったが、ミケはそれよりもやや小さくて恐らく、若いんだろう。
最初こそ、上手くお世話出来なかったが管理人さんに毎日のようにお世話の基本と教わり、今ではよく懐いている。頬に鼻を擦り付けるとミケはクルリと後ろを向く。これは乗ってという合図だ。ジェバンニが最初に跨り手を借りて、ミケの背中に乗る。
ミケは牧柵をかけて助走をつけるように掛けて翼を広げて空に向かう。この感覚はいつでも心地よい。飛行機やヘリコプターよりも風を感じて空気と一体化したような気持ちよさがある。
すぐに地面が離れて行って、ミケは翼を何度か羽ばたくと城の方向へ向き飛んでいく。正門に到着すると、既に城のメイドと執事が待っていた。ミケが地面に足をつけると短く鳴き声を上げる。到着したという合図だ。
「おかえりなさいませ姫様、我ら一同お帰りをお待ちしておりました。どうぞ、お荷物は私めがお持ちします」
ジェバンニはここでも手を貸そうとするが、降りるのは乗るより結構楽で簡単に降りる事が出来る。
(伊達にリエラと一緒に体動かして遊んでいた訳じゃないからね)
因みにリエラは神獣だから、学園側にも存在は秘密で普段は千聖の魔全で作ってある部屋で常にお留守番させている。そして、この使用人たちも秘密を持っている。
「ありがとう。どうですか?人化の術は慣れましたか」
「ええ、最初は脚の付け根など2本足に慣れるのに苦労しましたが、一度慣れると便利なことばかりで、普段からこの姿でいる事を好んでいる者もいるくらいです」
彼らは魔獣の者達、俺が学園に入る以前から人化の術を練習していたが、入学する前には多くの魔獣が人化の術を習得していた。
もちろん、人化の術を使用せずに手乗りサイズで踊ったりジャンプして職場の和みを与え続ける魔獣もいる。
人化の術を習得した中には仕事を手伝ったり、彼らのように使用人として私に仕えてくれたりして今では魔獣たちはこの城にいなくてはならない存在になっている。
因みに一番最初に人化の術を習得したのはハルで魔獣たちの統率を行っている。
「おや、こんにちは。あなたは初めて見る顔ですね。新しく人化の術を使えるようになった子ですか」
「ひゃ、ひゃう!おひゅじんしゃま!」
「すいません。まだ発声が未熟ですが、どうしてもお迎えしたいと本人の希望でして…この子の名はマホと言います」
「出迎えてありがとうございます。マホさん、これからよろしくお願いしますね」
「お、おひぎゃらもよろひいでしゅね!」
発声もそうだが、覚えている言葉もごく僅かなのだろう。「お日柄もよろしいですね」と言いたかったのか。
「ミケ、お疲れ様でした。今日はゆっくり休んで明日またよろしくお願いしますね」
ミケはブルルと鼻を鳴らすと再び空への駆けて行った。ミケは普段、馬小屋で飼育されて過ごすはずだが、あまりジッとしてはいられないらしく、いろんな所で自由気ままに過ごしている。
(とりあえず、荷物を置いてからお父様とお母様に挨拶して…せっかくだからウリエルとガブリエラと一緒に家族で一日過ごすかな、2人の予定が合えばだけど、リエラも呼ばないとね)
その日、その提案を受けた陛下と王妃は業務を全て丸投げして、家族全員で過ごしたという。
View ???
~バロックインセント付近 商店街~
「いらっしゃーい!今日はキャベツとネギがお買い得だよ!」
「壱加ちゃん、こんにちは」
「やあ!せっちゃん、いらっしゃいませ。どう?今日もお買い得商品盛りだくさんだよ!キャベツとネギは何と50円以下!品質はもちろん一級品!どうだい一本と一玉」
「ネギだけで十分さ、今日はまたお鍋で温まろうと思ってね」
商店街で談笑しているおばあさんと八百屋のエプソン姿で話しているお姉さんは毎日のように談笑する。
元々この商店街は貧しい人々がホームレスとして暮らしていた闇市だった。しかし、今では活気があり、平日休日問わずいろんな人が通る商店街だ。この八百屋だけでなく肉屋や魚屋はもちろん、ファーストフード店もちょっとこじんまりした居酒屋もある。
「いちねえちゃん、たまねぎくださーい」
「ゆんちゃん!1人でおつかい?えらいね~、よーしそんな頑張り屋さんにはお姉さんサービスしちゃうぞ」
はたから見ると、その光景は微笑ましく少し羨ましい光景に見えるだろう…しかし、それはその場にいるのが人族だったらの話しだ。
~水瀬モール 3階 アパレルショップ HYDRA~
水瀬モールのエスカレーターで登りすぐ近くにその店はあった。アパレルショップ HYDRA ショッピングモールで最も多くの衣服を取り扱っていると言われ女性向け雑誌などでも取り上げられたちょっとした有名店である
「すみませーん、いいですか?」
「はい、いかがなさいましたか?」
「これのLサイズってありますか?少し探したけど見つからなくて…」
「そちらの商品ですね、すぐにお持ちします。色はそれでよろしいでしょうか?」
「あっ、それと、春に向けてのファッションもあればそれについても知りたいんですけど…」
「分かりました、少々お待ちください」
店員が早歩きで店内を迷いない足取りで、歩きながらフックにかけられている服を数着持ってくる。
「お待たせしました、こちらがLサイズのシャツでこれらが春コーデで人気の高い商品です。いくつか合わせる物もあるので、試着室をご利用ください」
「ありがとうございました。弐藤さん」
~レストラン 九分九厘~
「オーダー、ハンバーグステーキ2皿、トッピング目玉焼き1つエビフライ2つ、100%牛ハンバーグ焼き肉盛り合わせ、オリジナルドリア1皿、小しらす丼そして最後に季節パフェ、すぐ取り掛かるわよ!」
『はい!』
レストランの奥の厨房ではそのような会話があるが、防音壁で客席までその声は届かなくなっている。
「参瑚さん、人参のストックが少なくなってますがどうしますか?」
「もし、補充が間に合わなかったら、別のもので代用して、栄養価が近くて食感とかも似ているもので代用できればなおよし!」
「流石にこの時間帯はラッシュがキツイな…!」
「口を動かすなら三倍速く手を動かして!」
「あの人が来たらその日の営業が出来なくなるのと比べたらこれくらいは慣れないとね、それにまかないと給料もいい、好条件につられて働いてみたけど有名店ってこんなに疲れるんだね」
「でも、今まで辞めた人はほとんどいないんだよ。辞めた人も辞めたくないって涙流した人もいるくらいだし」
「何か理由があるんですか?」
「参瑚さんの人柄の良さというか、とてもいい人だからそれに心地よさを求めたりする人が大半かな、店長もべた褒めで告白したみたいだよ。即答で玉砕したみたいだけど」
「うわあ…」
ご愁傷様という顔を浮かべた後、すぐに聞き流していた事を思い出す。
「あれ?さっきあの人が来たら営業が出来ないとか言ってましたけどあの人って誰ですか?」
「そうか、君はまだあったことがなかったか、来る頻度も多くないから仕方ないと思うけど、教えよう。名前は知らないが見た目はとても大柄な男だ、よくスーツ姿出来ているから体つきはよく見えなかったが、あれは結構筋肉あるに決まってる。顔は男前だけど…病気には弱いのかな?ずっと気分が悪そうで、今思えば来る頻度が多くないのもそれが理由なのかもな、でも、食べる量は半端ない。この前来たときはランチメニューでエッグサンドとチキンサンド、ミックスサンドを2つずつ」
「軽食とはいえ、よく食べる方ですね」
「コーンポタージュにコーンバターそれと、ピリ辛ミートボール、カルボナーラ、ボンゴレビアンコ、ローストビーフ」
「へ?」
「アクアパッツァに鮭とハマチのカルパッチョ、ザワークラウト以上が前菜、そして、次のメインは…」
「ちょちょちょっ…えっ!?今のが前菜?メイン?何がどうなっているんですか?」
「こんなのまだまだ序の口だよ。追加オーダーをしてレシートがメジャーの長さになったりして材料費だけじゃなくて洗い物の時間もめっちゃかかる。出禁も考えたんだけど、そこまでの迷惑行為をしている訳じゃないからね。よく俺たちに差し入れもくれるし…」
「差し入れ?」
「なんか参瑚さんは元々その人に仕えていたらしいよ。あまり詳しくは教えてくれなかったけど」
「追加オーダー、ソフトクリームイチゴバニラミックスと季節限定パフェお願いしまーす!」
「っと…これは口を動かす暇が無くなりましたね!」
「……………………………」
「もうモード切り替えてる…」
~カジノ ディスティニースペクタクル~
昼のカジノ、ここは昼も夜も華やかさと人の声、ルーレットの回転音、カードをシャッフルする光景が繰り返して行われる、そんなカジノの1つのテーブルにディーラーと客の1人がトランプを広げている。
「…ペレストロイカ」
「カチューシャです。それでは10倍の掛け金を貰います」
「やっちまった…」
「お客様にアドバイスしますが、慣れない博打に手を出すのはおすすめしませんよ。特にこのラビット・ナボコフは初心者だと2000万があったのにすぐに無くなったというのも珍しくないので」
「でも、このカジノ勝ち金がいいからどうも引き際が分からなくて」
「余計ダメじゃないですか…うちで稼いだり生計を立てている人は全員口を揃えて「ギャンブルのコツは勝っているうちに終える事だ」と言ってましたよ」
「なんのこれしき、もう一勝負!」
「…申し訳ございません。そろそろあちらのテーブルにいかなくてはいけないので、別のディーラーとお願いしますね」
「あぁ…」
名残惜しいような声を上げて項垂れた客にもう1人の客が話しかけてきた。
「懲りねーやつだなお前も…ほら、一杯だけなら俺が奢るから、少し休憩して熱を冷まそうぜ」
「はぁぁ~」
「お前の事だ、目当ては金じゃなくてあのディーラーだろ?肆喜さん。美人だよな、あんな人と夫婦になれたら毎日パラダイスに違いねぇ」
「…この前のバニー姿が最高だった」
「あれ、イカサマだーって人達が喚いてそんなことしないってその証拠でやった衣装だろ?俺はそこまで変態じゃないから、視界をカードだけに絞れば問題なかったぞ」
「それ試したけど何故か目をつぶろうとしても何故か見開いて顔が一点に集中したんだけど何でだろう?」
「お前一回精神科病院で見てもらえ。異常が見つかるからさ、な?」
「カット…Aか、ブラックジャック」
「私もブラックジャックですが、ここはあなたの勝ちになりますね、どうぞ」
「肆喜さんただでさえ運がいいから、いつかあいつ借金しそうで心配だな」
~コミックマーケット会場~
「こっちに目線くださーい」
「すいません、一枚写真いいですか?」
「あのあの、もしかしてコスプレイヤーの宇井イーツさんですよね!大ファンなんです!サイン頂けませんか」
「もちろん♪私なんかのでよろしければ…はい、書けましたよ貴方の名前も入れますか?」
「いいんですか!?ありがとうございますっ」
「すいません。写真撮影の続きをしたいんですが、よろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします」
「目線はこっちのまま振り向いて下さーい」
「っと…こんな感じですか?」
「あーいいですいいです!キレイに撮れました」
カメラを構えている人々の要望に応えてポーズを取ると360度どの方向からもシャッターを切る音が止まらない。
彼女は有名コスプレイヤーの宇井イーツ、本名は伍月現在フォロワーが100万人を越えて今も大人気の真っ只中、最近のコスプレは転生魔王系のヒロインをしている。
~マンションのとある一室~
「はろー!ロロチャンネルのメイン、ロロだよ。今日はリスナーさんとのコラボということで抽選で当たった3人のリスナーさんと対戦をお届けしまーす。このゲームはキャラの性能が尖ってたり、ジョブによって優遇されたり報酬が上下するから賛否両論だって噂のやつだよね…結局一番優遇されるパラディンが多くてそれ以外見なくなったけど、因みに私は序盤は少し足止めをくらうけど安定した報酬が約束されるヒーラーを使ってまーす。回復なら任せろやー!」
マシンガントークを何度も画面外のマイクに飛ばしているのはチャンネル登録者約9万人のロロチャンネルの編集者ロロ、最初はゲーム実況者としての活動のみだったが、興味で行った旅動画(顔編集済み)がバズり爆発的にチャンネル登録者が増加してから他の実況者とのコラボも多く行い今はリスナーとのコラボを多く生配信をしてる。彼女の本名は陸歌。
「あー、前に出過ぎそこまで回復の射程届かないよ!このキャラ、自分自身も回復できるけど持続回復の速度と回復量がイマイチなんだよね…その代わりに最大HPと防御力を底上げしているけど、攻撃力を上げてないから、前に出てアタッカーのサポートには向いてないんだよ。ちょっと待ってこれはヤバい流石にこれは退却しなくちゃダメだよ。負ける戦いをわざわざするほど愚かじゃないからって味方全員全滅しているから逃げるしかないんだけどね?ってダメダメ!猛攻撃で回復が追いつかな…ああああああああ!」
生放送の画面にはいくつもコメントが流れて今も生放送の視聴人数は増えつつある。盛り上がりは上がり続け常にコメントが次から次へと流れる。
~私立中学校~
「それでは、始めてください」
配られた問題集をめくる音とシャーペンやボールペンを押す音と共に多くの生徒が問題集に向かってペンを走らせる。最初は何の音沙汰もなかったが約10分以上経つと徐々にペンを走らせる手が遅れたり額や顎にペンを当てて、考えて何かを思い出そうとしている生徒が増えてきた。
そして、そのうちの生徒の1人が挙手をするとすぐに教師が挙手をした生徒の下に向かう。
「先生、ここはどうやったら解けるんですか?何度やっても計算が合わなくて…」
「ここはねぇ、少し引っ掛かりやすい人がいてね。一度それぞれの数字をキチンと整理してみて、マイナスをそのまま引き算しちゃってたりしてない?」
「先生っ俺も俺も!」
「先生!私の方を先に!」
「先生!先生!」
1人の生徒を皮切りに次から次へと挙手をする生徒が現れる。
「それじゃあ、分からないところがあったら何でも聞いてねっ」
その学校の教師名前は漆美は優しくて何度も根気よく教えてくれると評判がよく、教師の間でも気さくで話しやすいと人気の教師だった。
~住宅街 とある一軒家~
「…という事をしてほしくて、一通りこの紙に書いていたのですが、出来ますか?」
そう言って見た目20代後半の主婦は紙を対面に座っている女性に手渡す。それを見てそれに書かれているであろう事を自分が持っている手帳にメモする。
「これと、これ…これは……大分グレーに近いですが…他の方法としてなら大丈夫なのですが、もしこれを受けてくれと言うなら、少々難しいかと思います」
「私としては、それに書かれているものでそんなに細かく決めている物はないと思うのですが?」
「いえ、逆で大雑把過ぎて依頼と思ったのが違うという人が以前会社に苦情を入れた事でこのような物だと少し詳しく内容をご確認して了承頂いた上でご依頼を承るという形を取らせていただいているのでわざわざ紙に書いて貰って申し訳ないのですが、詳しく説明させてもらってよろしいでしょうか」
「そ、そうだったんですね。確かにそのような事を責められたらそちらとしてもご迷惑ですよね。ではこちらの項目は…」
主婦はそれぞれの項目について詳しい内容を聞く、それについて女性は何度も頷きながらメモを取る。そして、一通り詳しく話を聞いたあと女性は深く頷く。
恵
「分かりました。その要望に全て責任を持って私、捌恵にお任せください」
主婦は深々とお辞儀をして感謝の気持ちを言葉にする。
~繁華街~
「ん~っ…はぁ!」
繫華街の一角で1人の女性が身体を伸ばす。彼女の服装はラフな私服という言葉が適切だろう。平日であれば買い物をしている専業主婦とあまり変わりないと言えるが、彼女の服装はそれ以上にフリーダムと言えて、よく言えば個性的で悪く言えばだらしない服でその服は誰もが一度は眼を奪われる服装だろう。そして、女性が何かに気付いて、道の端によってスマホを取り出す。画面に表示された名前を見ずに、通話状態にする。
「もしもし、玖実ですが、どちら様で…?」
通話口からは彼女と似た声色が聞こえてくる。
『もしもし、玖実?今どこにいるの?』
「あ…肆姉…」
『「あ…肆姉…」じゃないわよ。今日は何月何日か言ってみなさい』
「えっと…9月9日?」
『お・お・ま・ち・が・い・よ!!3月24日!今日は私たちで夕飯を一緒にしてご主人様の元へ向かう予定だったでしょ!ちゃんと既読になっていたわよね!指定時間はとっくに過ぎているんだから!』
「3月24日…惜しいな昨日のゲームでの日にちだっけ…レアアイテムをやっとの思いでゲットしたからその印象が強くて…」
「無駄話はそれくらいで、今すぐに来なさい!参姉様がめっちゃ指で机をカタカタ鳴らして壱姉様と弐姉様が何とか宥めているけれど、そろそろ限界なのよ。なるべく…いや、全力で生命燃やし尽くす勢いで来なさいそうじゃないとマジで生命燃え尽きるわよ」
「はぁい…寝不足なのに人使い…いや、蛇頭使い荒いなぁ」
『だから、どこの所でも長続きしないのよ。一番最初に働いた病院でも数年で辞めることになったじゃない』
「そもそも人手が足りているのに出勤させる先生がおかしくない?勤務体制がおかしい所にいつもいると頭おかしくなるよ。そもそも病気とかそーゆーのあたしの細胞使えばすぐに治るのを無視して人間は自分の力だけでなんとかしようとするし…」
『あたしが言ってるのはそうじゃないわよ。出勤の度に看護師の服で外を出歩くのをやめなさいって何度言っても聞かないし、それで私達の職場で変な噂が出回って誤解を解くのに何年も掛かった事を忘れたとは言わせないわよ!それに遅刻とかなんだってご主人にも迷惑を掛けて……あぁ、もう!なんで元は同じ存在なのにこうも違うのよ!こんなのが私の別の側面なんて信じられないし信じたくない!』
彼女らは元は1つの存在だった。ガルド・ハーンが使役している幻獣ヒュドラ、九つの首を持ったそれぞれの頭の牙に猛毒そして、獲物を捉える為のブレスを吐くと言われる存在だ。過去の書籍にしか存在を記されていないが、もし今の時代に実在して討伐対象としていたのなら、それは脅威度は最大級に登録されていただろう。
しかし、彼女らは同じ顔、同じ仕草、同じ声、元々同じ身体を持っていたため同時に人間社会に魅了されて、自らの身体を分けて人の姿に化けて、それぞれの人生を楽しんでいる。この国の人々はそれを知らずに魔物や幻獣が人間の世界に紛れ込んでエンジョイをしている異端としか言えないがそれに気付かない国になっている。
次回5月末予定