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幕間 一章 インタビュアーナレーターちゃん

~???~


 「はいはーい!皆様いかがお過ごしでしょうか?私は寒い日でも暑い日でもエアコン常につけっぱで電気代が高くなったことに顔を冷たく青くする毎日で暖房にする頻度が上がってきました」


 そうひらひらと手を振るような声をしている私はニコニコ笑顔で何もない空間に語りながら話を続ける。


 「私のことはそうですね…声(脳内)と文字しか伝わらないようなので、ナレーターとでも呼んでください。もしくは愛らしくナレーターちゃんでも構いませんよ」


 今回このような事をしたのは他でもない。それはこの世界を、私たちを見ている人がいるから。


 「普通に物語を進めてもつまらないもの、物語は考察をするのも純粋に楽しむのも間違いではない。だけどね、その中の1つに感情移入というものに私は眼をつけたの」


 皆様ははるか遠い世界でもあり、限りなく近くでこの世界を見る事が出来る。それがただ数人ではなく何十人、何百人はたまた何万人という人々がこの世界を見るかもしれない。


 「幻想という箱庭で自分達の幻想で出来た人形はいつの間にか誰かの人生を変えたりしたかもしれない。その誰かが成功するか失敗するかは話が別だけど、その人生を変える事象が感情移入だと私は考えている」


 私もそうだったように誰かが作った世界が広がり、紐解き理解する。そうすることで私は全能感を感じる事が出来た。それと同時に自分でも同じようなものを作りたいを思い始めた。


 「そこから私の世界創造は始まった、イレギュラーが飛び込んでくるのを仕組み、敢えて表立った行動をせずに箱庭を眺め続けて、イレギュラーがどんな行動を起こすのかを観察するだけの存在としてこの箱庭を愛する者として居続けようと思った」


 だけど、少し思った。その箱庭で1つの終わりを迎えたらその後はどうなるのか、そう考えると私は今まで感じた全能感を失い、虚無感が自身の身体に穴が開いてそこから今までの満ちた感情が一気に噴き出すのを感じた。


 それを埋めるために考えたら、ある一つのものが見えた。それは本当の最終回。言葉で言うのは簡単だけどそれに重点を置いてみると興味深い事だと思う。


 例えば昔から始まった大人気ドラマが最終回を迎えたと思ったらその後に真の最終回と表示されるとそのドラマのファンは沸き立つ、そしてその真の最終回が終わると更に真の最終回が続く、最終回が終わると新たな最終回が注目を集める。しかし、それが多くなるとややこしくなる。


 「例えばAさんが「○○の最終回よかったよね」というとBさんは「うんうん特に△△の場面が良かった」と言ったとしようけれどそこでAさんが「あれ?そんな場面あったっけ?」って言ったら話の食い違いが発生するでしょう?それはAさんが言った最終回とBさんが言った最終回は全く違うことが分かるんだよ」


 最終回という言葉でワクワクするのは理解するけれど、それに囚われて最終回、最終回と言われるとどれが最終回なんだよと文句が出てもおかしくないでしょう。


 「20作の作品が5作で終わるはずなのに大好評で15個以上の最終回があったりしたらどう思う?これは今まで感情移入する事はあっても最終回で今まで以上に気合が入った感情移入が次の最終回ではそれの下位互換にしかならないと思わないかな?」


 そう考えると大体の人はその続きを自分が作ればいいと思って世界観を捻じ曲げて自分が見たい作品と展開を幻想として描き、奏で創造する。


 「でも、私はそのお話がどうかではなく、その前にその作品で出てきた人達がその後どうなったかがとても気になる。その作品が小説であれば読者がドラマであれば視聴者がその物語をどう捉えるかを委ねるような事をするのが多いけれど、私はそれが嫌いだ。もしそれで的外れな考察をしてそれが最悪な結末として終わってしまったら、救いがない。もしも私が描くのならばハッピーエンドがいい。バッドエンドも嫌いじゃないけれどそれも作品としての意味と作中としての真実は全く違う事で頭がどうにかなっちゃいそうでバッドエンドは書けなくなるのは困るから、末永くお幸せにで終わるのが一番いい、そして私は初めて続きを読むことが出来る」


 「はいはい!小難しい話しはここまでにして!今回の本命は箱庭に出てきたイレギュラー達にアンケートをしたいと思います!ご安心ください彼らの記憶にこのドリームランドの記憶は一切残りません!あっ、このナレーターの記憶は残りますよ、そうじゃなくちゃこんな事始めからしませんもの、それでは最初のゲストはこちらの方ですどうぞ!」


 そう言うと空間から電子の海のようなプログラムから美奈が出てきた。


 「えっ、なに!?ここどこ!?」


 「あーめんごめんご♪教えてあげてもいいけど、話すと長いしいちいち質問に答えるのも面倒だから頭に一方的に直接教えるね」


 そう言うと美奈の頭の中「何か」が流れ込んでくる。それは何なのか理解することが出来ない。ただ一つだけ理解したのは今の状況で美奈は何をしたらいいのかと言う事だけだった。


 「うっ…き、気持ち悪い…うぇっ」


 「おぉー、中々メンタル強いねー!普通の人なら正気をスライサーかおろし金でスパスパザリザリ削り切れるはずなんだけど、やっぱり一度死んだ人の精神ならこんなの少し気持ち悪くなる程度で済むんだねー、すごいねー!この後君以外の何人にも同じ様な質問とアンケートをするから頭の中に直接教えたら廃人になるかもしれないって少し心配だったけどその必要は無くなったねー」(手加減してたし)


 「でも、手加減してくれているんでしょ?あなたの心の声も文字として浮かび上がってるよ」


 「もっちろん知っているよ。どういう反応するのか知りたいから敢えてナレーターとしてこういう空間に呼び込んだわけだし」


「でも、こういうのってナレーターと言うよりパーソナリティがやるものじゃないの?」


「はいはい、そういうマジレスはポイポイ皆様お待ちかねのQ&Aをはじめましょー」


Q この世界に転生して来て始めて思ったことは?


A 「えっ?これって言ったことがそのまま文字になってるの?…ってこれも!?えっとちょっと待ってね。心の準備もしてないから…思ったことは意外と頭が冴えていて女の子()の姿になった事に戸惑いしかなかったかな、それからつい記憶喪失って噓ついちゃったけど、何かと便利だからね」


Q その姿をどう思う?


A 「…一言で言うなら可愛いと思うよ?でも、自分がそれをやっていると思うとこれじゃないって感じ、演技には自信がある方だけど演技じゃないと思うと振り返って自信喪失しちゃいそうで…ハァ」


 「突き詰めすぎて逆にどの目線から見てもイタイという黒歴史になってしまうと」


 「YES、我に返った後誰よりもメンタル削れるのは自分ってわかった後は簡単、男らしくも女らしくもあってそうでない喋り方、つまり丁寧な言葉を使えばいいってこと、友達としてしゃべる時も無駄に「よろしくな」じゃなくて「よろしく」だけの方が自然だし誰でもいう事なら気持ち悪くならないでしょ。今も「だろう」じゃなくて「でしょ」もね。それと1つのAに割り込んで話さないでよ。そんなんじゃいつまでも続かないよ」


Q その姿でいいと思ったのは?


A 「いいところ?…パッと思いつくのが髭を剃る必要が無くなったところかな、よくうつ伏せで寝ることがよく合ったんだけどその度に髭がチクチクして寝心地がよくなかったりしたから昼夜口や顎に手を当てて少しでも伸びてると思ったら剃るようにしたもん」


 「永久脱毛は?」


 「そんなのにお金かけるならゲーム買う方が俺には合ってる」


Q 他には?


A 「他に……やっぱり、魔法が使える事かな?ファンタジーと言えば誰もが魔法って思う人が多いし使い方次第で日常生活も楽になるから重宝してるよ。この身体、魔力量が多いし最近魔力制御も上手くなったからいろんなことに時間短縮出来て快適で楽しいし」


Q 更に他には?


A 「何その女子高生が恋バナにグイグイくるムード…家族がとても賑やかな事かな、前世は一人っ子の3人家族で両親も共働きだったからそんなに一緒にいる事がなかったんだよ。育児放棄とまではいかなかったけど必要最低限の関わりだったんじゃない?物心ついた時にはとっくに新庄とは親友だったから、前世の記憶があっても今の家族も俺にとってはかけがえのない大事な家族だと思っているよ」


Q その姿で不便なところは?


A 「それは色々思い当たるけれど、最初こそちょっとどころかすごい精神的なダメージがあってね…肉体年齢のせいで上手く体が動かないことからメイドたちと一緒に入浴する事になっているから女体に囲まれて前世の精神を持っていることからダメージが…不幸中の幸いと言えるのは自分の身体には興奮しなかったことかな」


A2 「あっ、Qつけるの面倒になったの?うーん、性的な事はさっきのでいいかお手洗いの事とか具体的に言わんでもいいだろ。それで不便な所と言えばやっぱり身長の事だな、ドアノブにはギリギリ手が届く高さなんだけど、いちいち手を肩より上に伸ばすのはもう運動なんだよね。俺はそんな運動大好き人間じゃないからさ」


A3 「身体的から繋がる事で言ったけど明らかにこの身体は平均より体力や筋力が少ない。キャラクタープロフィール見たら分かるんだけど魔力に能力が持っていかれてバフをかけてようやく物理のステージに立てる程度、殴り魔法使いとなるには更に装備をがっしりしたものにやんなくちゃな。いや、そもそも体術を覚える機会があればの話しだけど、細かく言えばまだまだあるな」


 「もういいよ。流石にそこまで細かく言わせて変なこと言われても次の質問に移れないから」


Q 前世で後悔したこと、やり残したことはある?


A 「む。難しい事を言うね…やっぱり一番に思うのはこの世界の製品版をプレイできなかった事かな…親や友達の事と言えば新庄の事だけ、親が嫌いってわけじゃないけれどやり残してないとか後悔していないと思うのは十分親孝行をしたと思ったからじゃないかな、診療所のお手伝いが親孝行ってどうなの?って思うかもしれないけれど、少なくとも俺からしたら仕事の手伝いも親孝行の1つだと思うよ」


Q 好きな魔法とかある?


A 「好きな魔法?あえて言うならやっぱり火属性かな、複合は扱いが難しいからポンポン出せるものじゃないんだ、発動や魔力の流れ全部やるのに1秒かかるんだけどこの1秒が本当に致命的になっちゃう。1秒もあれば刀を振り下ろすことも、拳を突き出す事も出来るでしょ?こっちは準備の段階で1秒使うから複合魔法よりは4属性を使うことがいいかな…って、つい魔法の説明みたいになっちゃった。とにかく質問の答えは言っているからこれでいいかな」


Q これからやりたいことある?


A 「どうだろう…そう言えば最近新しいスマホゲームが配信されるらしいんだけど、それが待ち遠しいかな、縦横無尽に駆け回る事が出来るオープンワールドゲーム、3人もダウンロードするらしいから協力プレイしたいなぁ、俺の運的にガチャ回しても最低ランクのやつしか当たらないし、弱いってわけじゃないんだけど、推しを手に入れることが出来ないってのは精神的にもお小遣い的にも…ね?はははっ…はぁ」


 「一定回数回すと確定で最高レアが出る機能あればいいね」


 「…うん」


 「あの…なんかごめん。そんなつもりじゃなくて、そこまでゲームやりこむタイプじゃないから私…というかレア度とか関係ないゲームしかやらんし」


 「次の質問行っていいよ」


Q 今世の友人の事について


A 「それって他の攻略対象の3人と優菜の事だよね。一言で言えばいい子達だよ。やっぱりゲームの世界だからかなプレイヤーの理想をキチンと反映しているのは幼少期から変わらないと思うのはそういうふうに作られたからって思えば何の疑問も思わないね。でも、なんとなくシンパシーを感じるというか…なんだろう思考が似ているというか…まるで鏡に自分じゃない自分が映ってるような、そんな経験無いのにそれが自覚出来る気持ちになるんだ…どうしてだろうね?」


A2 「え?他に?友達と言えるのはその4人だけでサリアちゃんは侍女だけど、どちらかとお姉ちゃん属性みたいだから、4人の事だよね。アイシャの事なんだけど、もし転生するならアイシャが一番よかったかな、一人称としては「俺」歴には劣るけれど「僕」は子供の頃に使っていたんだし「私」よりかは幾分かボロが出にくいんじゃないかな、まぁ、前世に戻れないし戻り方が分からない以上、一人称に固執する意味はあまりないから少しだけ前世の気持ちを保ちやすい人生になれるのかなって思っただけ」


Q この世界について詳しく考えてみてどう思う?


A 「っ…!またこれ?頭に何かを流してくるのやめてよ…でも、考えてみると少し…いや、結構おかしいよね。ゲームの世界だからと言って何回も同じセリフを言う人がいないし、そもそも同じ人に友達でも何ともない人が話すこと自体変なのはゲームだからの許容範囲として置いとくとして、この世界はそもそもゲーム制作をした会社の企画部の誰かでしょ?それの制作に一つの会社だけじゃ無理があるから同じゲーム会社で有名な2社が作り出したもの、それが実在する世界が元からあるような感じって…考えを流し込まれなかったら疑問を抱くことも出来なかったよな…あれ?でもそういうのを考えなかったのって何でだ?そういうのを考えようとしたのは何回もあったのに、すぐに「まぁいいや」ってなぁなぁにしてたような…?なんか誰かによって考えを遮られたような…なんでだ?」


Q 最後にあなたにとって人生とはなんですか?


A 「…こういう質問は本当に嫌いだなぁ…人生は人生、それ以上でもそれ以下でもない。よく人生は、○○だとか言う人はいるけれど、その答えは当たり前なんだよな。その○○は人生から生まれたんだからさ、正直言って犬も猫もはたまた鳥でもその生き方は人生だと個人的には思っているよ。そもそも人生は命の母ですある水のように心の母だと思うんだよね。当然のようにあるから感謝もしないけれど、それでも、人生はなんだと疑問に思ったり質問するのは嫌いだな。それに真剣に考えて自分にとって答える人も、少し自己中心的な事を言うけれど、俺が言ったこの答えは模範解答だと思うよ。それ以上でも以下でもないのは、他に例えようがないってことだもん、人生を人生とは思えないからそういう事を考えるのは当たり前だけどキチンと向き合えばその答えは意外とあっさり見つけられるんじゃないかな。答えがない疑問かもしれないけれど、答えが出るといいね」


 「ありがとうございました!」


 それではあなたのインタビューは以上になります。現在の身体に送り返すのでしばらくお待ちください。


 「えっ、来るのも帰るのもそんな急にするものなの?ってうわっ!」


 美奈の姿は再び電子の海に溶けるようにその場から消えた。


 「さぁさぁ!一旦休憩を挟んで次のゲストをお迎えするとしましょー!」

次回11月中旬予定

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