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第三部 一章 楽しい楽しいお茶会

 View 美奈

 (今日はお茶会当日…ついにこの日が来た)


 View Change アイシャ

 (この服には慣れたけれど…場違いな服だよなぁこれ)


 View Change レイラ

 (わぁ、みんな綺麗だなぁ…女になった影響か、肌が白い人がいると、なんかもやっとして…嫉妬心かな?)


 View Change リラ

 (おぉ、列を乱さずに綺麗に列に並んでいる、これがお嬢様、さて、姫たるもの誰よりも早くついていなければ)


 時刻は9時45分予定時刻より15分前に馬車や同伴者と手を繋いでいる綺麗なフリルのドレスを召しませて、城門の正門に長蛇の列が出来ている。


 View Change 美奈

 (少し、早めについちゃおうと思って来たのに、もうこんなに並んでいるのか…少し近いからって徒歩で来たのは間違いだったかも)


 「…んー」


 横を見るとサリアちゃんが何かを探しているみたいに、後ろの列と前の列を交互に見ている。


 「サリアちゃんどうしたの?探し人?」


 「あっ、はい。4つ上のお姉ちゃんを…」


 そう言うサリアちゃんは落ち着きが少し欠けているような、まるで大好きなお菓子を探している子供のような顔をしていた。


 「でも、同伴者は一人だから、来てない可能性もあるからね」


 「そう、ですね…うん、今は私はお嬢様をお守りするボディーガードですっ、他の事に気にするなんて、どうかしてましたね」


 「えっいや、そこまで言っていないんだけど…」


 View Change アイシャ


 「馬車を使ったのに、結構後ろになっちゃったな」


 「お嬢、あまり外に顔を出さない方がいいです。危ないですから」


 「ん、分かっているよ、ランク、この服をあまり見られたくないし」


 まぁ、どちらにせよ、お茶会の時にはこの服で、いなきゃいけないわけだし、もう、覚悟を決めるしかないんだよね。


 「えーっと馬車は城門を潜った後、水桶場に行くからその前に降りればいいわけか」


 ランクがお茶会のパンフレットをペラペラとめくりながら呟いている。


 「パンフなんてあったんだ、というか、なんでそれを僕に見せなかったの」


 「聞かれなかったので、それに、言うと思った日には、頬が腫れてしまったので」


 あぁ、ジェシーママの超必殺か


 「それに、お嬢に読めるとは思いませんし」


 一応読み書きは出来る方なんだけど、スラスラ出来たらイカサマとか言われそうだな。いや、年上にイカサマとか言われても何とも思わないけど、もし、そう言われたらイカサマってなに?と言えばなんとかなりそうだし。


 View Change レイラ

 「…はぁ……はぁ……」


 今、俺はどんな顔をしているんだろう。


 右を見ても左を見てもキラキラのドレスの素敵なご令嬢がいて、馬車からも笑顔が眩しい少女が手を振っている。


 やっばい呼吸が出来なくなりそう、いや、そもそも平民のレイラがいるのが間違いだけれど、学園に入るために、愛想笑いをずっと貼り付けているのも限界が来そう。顔の頬が緩みきってしまうそう。


 「……」


 ゲンブは顔色一つ変えることなく、前をただただ、見ている。


 すごいなぁ、こんなに若い娘がいっぱいいるのに、真剣な表情でただ立っているだけで存在感の塊って感じだ。


 それに比べて俺は情けないなぁ、いや、そもそも、小さい女の子との接し方ってマンガやアニメでしか見たことないからって風に乗って甘い良い香りがするぅぅぅ理性が崩れるぅぅぅぅぅ!!


 それぞれの思いが渦巻く中、城門が徐々に開いていき、門番が手でどうぞ、とジェスチャーをする。すると、戦闘の馬車が次々と入っていき、城の案内人である兵士についていく。


 View 美奈

 どうしよう…ただ流れに任せて移動しているけれど、サリアちゃんも同じ方向に向かっているみたいだし、これで正しいんだよね。


 あれ、今、前の人から何かが落ちて、ハンカチ?とりあえず、届けなきゃ。


 「あの…!」


 「はい?…っ!あなたはっ!!」


 ?どこかで、会ったのかな?いや、家からほとんど出た事も無いのにあっているはずないか、恐らく相手にとっては他人の空似だろう。


 「ハンカチ、落としましたよ」


 ハンカチを差し出すと、慌ててドレスのポケットを探って、咳払いをした後、手を伸ばす。


 「はいっ、もう落とさないように気をつけてくださいね」


 「~~~~~っ!あっありがどうございますっ、それでは!」


 ハンカチの持ち主は両手でハンカチを持ったまま、同伴者の手を引いて前の人たちを抜かしていく。


 (思わず、両手で握手するように、手渡しちゃったけど、少し馴れ馴れしかったかな、反省、反省っと)


 View Change ???

 何よ、何よ、何なのよっ!!千麟美奈!!この鬼灯家の秀才である優菜を見て、何も思い出さないなんてっ!


 あなたは、いえ、あなたの家系はわたくし達と因縁の相手でしょう…っ!


 最初にあった時も、互いに子競い合いをしないと、いけないくらいだったのに、何よ、記憶喪失してわたくしを忘れるなんてっ…それに、親切にハンカチを届けるなんて


 …なっなんで逃げちゃったの、どうして、からかう事ができなかったの、どうして…


 こんなに、顔が、熱いの?


 でも、何か、嫌な感じがしない、むしろ、高鳴る感じがして、溢れる気持ち…何なの?これは…こんな気持ち…初めて…どうしちゃったのかしら、わたくし


 View Change リラ

 おや、どうやら、着いたみたいだね。さて、後は適当に席に座らせるようにして…今更だけど、姫である私の隣や対面に座るとか随分勇気いる行動だけど、そんな行動できる人がいるのか?提案した俺自身が孤立するってどうなんだろう。


 予め手前に陣取ったけれど、目があっただけで避ける人が多いな、やっぱり恐れ多いと思われているのかな。


 「すみません」


 不意に対面にいる人に話をかけられた。


 サラサラな髪、薄い茶髪は栗を思わせるその人は見覚えがあった。


 「対面、よろしいでしょうか?手前の方が気楽に話せそうで…」


 「えっ、あっ、どうぞ、席は決まっていないので、どうぞご自由に」


 この声、それになびく茶髪、しかも、この面影もしかして…


 「自由なのでしたら、お…僕はお隣に座らせてもらいますよ」


 後ろから声をかけられて、反射的に振り向くと黒いタキシードの姿に身を包んだ少女が立っていた。


 少女は特に何でもないかのように、堂々と隣に座る。


 「あ、あの…」


 「ん?」


 タキシードの少女の対面に少し弱気な雰囲気の少女がいる。気分が優れないのか、緊張しているのか、少し猫背になっている


 「こ、ここ、いい…ですか?」


 「いいよいいよ、先程この方が席は決まっていないと言っていたので、どこに座っても文句は言えませんよ、僕もその言葉を聞いて座っただけですし」


 あれ、栗色の髪の少女にボクッ娘、弱気な猫背の娘…まさか、この娘達は…


 『えー、それでは皆さんが揃ったようなので、今から親睦会を開催したいと思います』


 司会者が、拡声器で声が辺りに響く。開催の宣言の後、拍手をする。


 『今回の親睦会では、翌年の春、皆さんがヴェルスター学園の生徒になります。そのことについての説明などをさせていただきます。

 では、まずヴェルスター学園の学園長様である、ニスタ・ホールカー様どうぞ。』


 ニスタと言われて、台に上がった人は白いスーツに黒のローブを羽織った美しい女性だ。


 『皆様、初めまして、この度、我がヴェルスター学園の案内説明をさせていただきます。ニスタ・ホールカーです。』


 そう言うと、懐から、紙を幾つか取り出し、話を続ける、説明は歴史から、システム、伝統などを話してくれたが、辺りを見渡すと、途中から飽きてしまったのか、紅茶や菓子などに手を伸ばす人も出始めた。


 『さて、最後に補足と皆様に希望していただく事についてお話しします。

 まずは皆様にはヴェルスター学園に通っていただく通学手段です。こちらは寮通い、もしくは、自宅通いのどちらかにしていただきます。

 寮からの方はそれぞれの寮、第一から第五寮まであります。学園は寮から徒歩三分で到着できます。これはどの寮でも共通です。

 自宅通いを希望される方は、特に説明はいりませんかね。自宅から学園まで通っていただくことになります。今日の帰りに、そちらの希望用紙をお配りしますので、ご家族の方とお話しして学園の方まで送るようにお願いします。


 次に、皆様は従者を連れていってはいけない、というわけではないのですが、基本的に授業中に、近くに従者、及び使用人を置くことは禁止です。後、使用人は一人でお願いします。

 勉学を学ぶ皆様の為に、そのことについてのご理解をよろしくお願いします。使用人の事も用紙の方に名前、年齢などを書いて学園に申請していただければ、学園への通行許可証を発行いたします。

 以上で私の説明を終わらせていただきます』


 ふむ、随分と長話になったようだけれど、最後の二点については重要視しておくべきだろう。学園は家柄や階級の関係は無く、全員が一生徒として平等として扱われる。つまり、政治家の息子がそれを利用して脅すなんてことは出来ない。

 

 それを見越しての措置なのだろう。


 『続きまして、ギルド会からギルドの仕組みについてです。レイラ・オーガスタ・キャロル様どうぞ、前へ』


 View Change レイラ

 うわっ、いきなり、呼ばれるとびっくりするな、一応、紅茶飲んで落ち着いたけれど、そんなに緊張することでもないな。


 あっ、土台もないんじゃマイクも取れない…あっ、ニスタさん、取ってくれた。


 お礼のように少しお礼をした後、渡される際に、指がマイクに当たりハウリングが響く。


 「っ!」


 ハウリングの音に気付いた人が一斉にこちらを向く。


 『……コホン』


 気持ちを落ち着かせるために、咳払いをする。


 (大丈夫、エイラと一緒に何回も練習した。長すぎず、短すぎずの三分、練習したあの時を決して無駄にはしない)


 『まず、こちらの、グラフをご覧ください。

 こちらは過去のギルドに来る依頼の割合です。ギルドは、薬草や、鉱物の納品、異常現象の原因解明、及び解決、そして、魔獣退治や、猛獣の撃退を主に活動内容としています。

 ギルドは冒険者としての働きを胸に多くの冒険者が所属しています。しかし、その内容は決して楽なものではありません。


 過去のデータでは1000人を超える極悪犯罪者の討伐により、その作戦に参加したおよそ800人が重症や大怪我により冒険者稼業が出来なくなったり、最悪、死に至る者もいました。

 そのような、者を少しでも減らす為、ギルドではこの様なシステムを用意しました。


 場所や生息する動物の脅威度などによる適した強さの冒険者を選別するクラスシステムこの様なシステムにより、死者や重傷者は格段に減りました。このギルドはそのような、市民だけでなく貴族の買い取っている高価な物品の取引を陰ながら手伝っているのです。

 是非、これからも、良い品質や、高価な納品物を見た時、冒険者の方々が一生懸命、頑張ってくれた事を胸に刻んでくれると嬉しいです。ご清聴ありがとうございました。』


 時間は…三分ジャスト!やった!ありがとうエイラ。


その後、他の人の商業や、研究の発表などのプログラムは終わり、後は夕暮れの少し前までアフタヌーンティーを楽しむだけとなっていた。


 時刻は午後1時。ケーキスタンドにはサンドイッチなどの軽食もある。


 遠くを見ると、城門の前で見た初老期の執事が、同伴者達を集めている。


 「気になりますか?ご心配なさらないでください、私たちの親睦を深めるため、水入らずにするため、別室に移動するだけです」


 声の主は斜め右側の対面、柔らかな笑みを浮かべ、心が安らぐ。


 「そうなんですね。ありがとうございます、あっ、まだ自己紹介がまだでしたね、では、ここで、軽い自己アピールなども…」


 咳払いをして、一呼吸おいて、辺りの視線を集め、口を開く。


 「私はレイラ・オーガスタ・キャロル、先程のギルドの仕組みの説明を担当したものです。本来はギルドマスターの私の母であるアリア・オーガスタ・キャロルが説明する予定だったのですが、ギルドマスターであるが故に多忙で、僭越ながら私が説明させていただきました」


 「まぁ、なるほど、だから、あのような歴史にも詳しいんですのね。私、感動しちゃいました」


 View Change アイシャ

 「軽い、小言くらいは言ってもいいとは思うけれど、名前くらいは名乗っておかないと不便でしょう。というわけで、次は僕からだよ。僕はアイシャ・ハーン、こういう恰好しているけれど、女だからね、タキシード着てるけれど、これ以上服の事にツッコミ禁止、後、自己アピール…気孔が使えるくらいかな、一応、言っておくけれど女性だからね、気孔使えるのが男性のみっていう理由で、僕を男と勘違いしないでよね。

 あー、変な視線感じるー、じゃあ、れっきとした女の証拠に今、これを脱いで…」


 「分かった、分かったからそれだけはやめましょう。ね?お願い、お願いだから」


 脱ごうとする手を対面側にいた栗色の髪の少女がいつの間にか、すぐ近くにいて手を掴んで制止していた。


 「大丈夫よ、そんな感じの目で見ないから、むしろ、女性なのに気孔を使えるなんてすごいじゃない。可笑しいとは思うけれどそれは悪くない事、お庭で可笑しな形の石を見つけると喜ぶでしょう?それと同じ」


 子供みたいなこと言うな、いや、子供なんだけど、でも、なんか、精神が体に引っ張らせそうなんだよな。男として見られるのが少し癪に障るというか…


 「と、ともかく、次は私が自己紹介をさせていただきますから、席に戻りますね」


 View Change 美奈

 あっぶなかった~あのまま見ていたら、流石の俺も、冷静でいられる自信がないよ。そもそも、こんな場所でもっと他に証明する方法あるでしょう。浅はかな考えって帰って黒歴史になることが最も辛いんだからな。


 「え、えっと、ハプニングを回避したところで、んっんん、初めまして、私は千麟美奈、千麟家の令嬢をしております。この度は、このような、素晴らしい場に招待してもらって恐悦至極です。大した物品も何も献上するものを持ってくることはできませんでしたが、せめて、この美しい日を心に残る出来事にしたく思います」


 「まぁ、あなたが、美奈様なのですね、噂はかねがね聞いております、何でも魔法が得意だとか」


 対面のウェーブをかけているやや長髪の少女がとても楽しそうに私たち、三人を興味深いと言わんばかりに、大きいリアクションを取ってくれる。


 「そんな、私はまだ、火炎魔法しか使えなくて、制御も上手くないので、まだまだですよ」


 View Change リラ

 火炎魔法使える時点でめっちゃ有能なんだけどな、神童と言っても過言じゃないほどなんだよな。

 少なくともこの国では


 「おや、そうでした、私だけが驚いてばかりで、ごめんなさい、最初に私が自己紹介をするべきでした。皆様とても、個性的で、うっかりしていましたね。では改めて、自己紹介をさせていただきます」


 「私はリラ・エンジェルス・シャリア、この国の姫君であり、本日の親睦会の発案者です。ようこそ、皆様、よくぞ、いらっしゃいました。楽しんで下さいね。このお茶会を♪」


 「へっ?」


 「えっ」


 「なっ」


 「「「えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!??」」」

次回7月末予定

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