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第一章 かっこかわいいを求めていたはずなのに

 かっこかわいいという言葉を聞いたことがあるだろうか?

 それは、男子なら一度は必ず憧れるカッコイイと女子なら一度は必ず憧れる可愛いを両方併せ持った、神が作りし、銀河の宝と言っても過言ではない。それに、俺は憧れ自分自身がなりたいと常に思っている。


顔、言葉、腕、足、胴体、首、思考だろうと何だろうと全てを自分が憧れるかっこかわいいを求めている。いわゆる、変身願望とでも言うのだろうか、とにかく俺はそれを目指している。


 しかし、銀河の宝であるからか、それを、たった一人の人物がもらえるはずがない。もし、そのような銀河の宝をもらえた人物がいたら生まれた時点で既に、その人生の、いや、来世、そのまた来世の運を全て使い果たしてしまっただろう。それでも、かっこかわいいに手が届く物を俺は見つけた。


 それは、ゲームだ。

あ、今「あ、こいつ二次元に逃げている関わっちゃダメな奴だ」と思われている視線を感じたぞ。ふっ、まぁ、その答えは少しは正解だ、だが、半分も正解ではない良くて20点いや、10点でも良い所だろうな。


 ゲームから、貰えるものは現実に戻った時に感じる虚しさだと?ふん、笑わせるな、そんな、逃げ込むためにゲームはあるのではない、ゲームは面白く、楽しく、そして、何より、憧れに近づける正に現代における隠しアイテムつまり、チートアイテムなのだ、しかも、公式のチートだから、バグが起こらない感じの!!おっと、危うくゲームの事について長々と語ってしまうところだった。


 だが、もう少しだけゲームの話を少しだけさせてもらおう。今、俺はある一つのゲームを予約している。


 そのゲームの名は「ストロベリー・ラブ&ゴッド・アドベンチャー」日本で幾つものRPGを制作して最近世界にも会社を構え始めたゲーム会社「テラキュア・パニックス」と世界遺産として、認定されるのではないかと、ニュースでも言われているギャルゲーなどを主に出している「ギガ・ソフト」の共同制作ゲームの記念するべき10作品目だ。


 俺は、ハードゲーマーで百を簡単に超えるくらいゲームを持っている、まぁ、親が金持ちだから将来ディレッタントとして生きていくようなものだが、とにかく、そのゲーム既にスレッドで「ストアド」と略されているが、今日はその発売日なのだ。

 まだ、20歳後半になったばかりにあんな神ゲーが発売されてしまうなんて何て幸運なんだ。


 え?なぜ幸運なのかって?聞いて驚けというか驚かないと人間性を疑う。


 そのゲームは一つのファンタジー世界で主人公は男性女性どちらも選べる年齢も全年齢の超大作同じ世界で10作も?と思う人がいるだろうが、続きものではないので、ただ初代から買った人はさらにゲームが楽しめる感じだ。そして、俺が心を奪われてしまったのが歴代の主人公だ。


 初代のゲームで男性主人公を見た時心が揺さぶられた、まるで、心臓を氷の手で強く握られたような感覚はいまでも、おそらく一生忘れる事はないだろう。そう、その感覚こそが「かっこかわいい」なのだ。


 そのゲームはRPGと攻略対象といちゃいちゃするのが目的としたゲームだ。


 その主人公は後の8作に負けず劣らずのかっこかわいさを持っていた、しかも、RPGにある主人公は選択肢以外に言葉が無いということは一切なく、かっこかわいい声つまり、フルボイス尚且つ銀河の宝の一部を持った声優が担当している。


だが、今作のストアドは今までの作品を遥かに凌駕した。


 今回の主人公の姿それは紛れもない、俺が過去からずっと追い続けてきたかっこかわいいがそのまま表現された姿だった。

 今まで、それをするためだけに生きてきたようなそれを感じさせる憧れの究極完成体なのだ。


 「はいはい、もういいよ、その話もう46回目だよ、しかも、聞くたびに10行も増える長ったらしいかっこかわいい美学を聞かされるこっちの気にもなってくれ…」


 「そして、そのゲームのルートを全部クリアした俺は」


 「はいはい、体験版を300回もやって主人公のかっこかわいさだけでなく、ヒロインのプロフィールを暗記できるようになった俺なら夏休みの宿題を終わらせた後に残りの夏休み期間で全てのルートで例え千回プレイしてでもそのかっこかわいさを取り入れてやる、と奮起しているんでしょ」


 「その通り、すごいな我が親友よ!なんで、言おうとしていた事が分かったんだ?」


 「同じ話を46回聞いたからだよ!!はぁ~、昔からかっこかわいいについて異常な執着を持っていて、成長してから考えが変わると思っていたけど、こいつに正気はもう残っていないのか」


 名乗り遅れたが俺の名前は五十嵐 響也だ響くに也と書いて響也、中々のカッコいい名前だが俺が目指している物には可愛さが無さすぎる。


 「はぁ、それにしてもなんだよ、そのマンガにあるような、説明文、まぁ、それに慣れちまった俺も、俺だけどよ」


 そして俺の、幼馴染にして、親友の新庄 直哉、家が近所というのもあって一緒にゲームセンターにも行くほどの仲だ。


 「それで、そろそろ俺が話したいお前にとっても俺にとっても朗報を言ってもいいか?」

 

 そうだ、確か、話を持ってきたのは直哉の方だった。すっかりかっこかわいいの話に夢中になってしまった。

 

 「そうそう、それを聞きたいんだよ。無駄な話はいらないからさ、俺も話が終わったら、すぐにストアド受け取りに行かなきゃ」


 「お前…どの口がそんなこと言うんだよ」

 

 「この、ストアドの3作前の主人公のような薄紅色の唇の近くの口だけど」


 「こいつ…まぁ、いいか、今に始まった事じゃないし、お前、最近のニュースで近くの神社で発売されている人生くじと人生賽銭箱聞いたことがあるか?」


 人生くじと人生賽銭箱、ニュースで確か三日くらい前から話題になっている話だ。確か、この学校からそれほど離れてはいない場所に割と大きい神社がある。


 今までは初詣以外に人が集まらない場所だが、その神社でくじを引きそのあとにお賽銭を入れるとその人の願いや人生が思いのままという、よくあるパワースポットの話だ。


 「それで、それが、どうしたっていうんだ?」


 直哉はふふんと見下ろす顔をして、立ち上がり、椅子の上に乗り実際にも見下ろした。


 「あれには、実体験をしたのは一人ではなくてなその神社に行った人たちはまさしく、その噂通りになったのさ、俺の親も、まるで、若返ったように綺麗になってさ、今日はいけないけど、明日から、夏休みだろ?どうだ?一緒に行かないか?」

 

 確かにその噂通りになっている人っていうのは聞いたことがあるだけど、今までずっと家に帰って今までのゲームで周回プレイしていてアウトオブ眼中だったんだよな。

 

 「でも、たしか、あそこって今も人がごった返しているんだろ?流石に夏の暑さに耐えられる気がしないんだけど…」

 

 「おいおい、俺の親父の元職業知らないってわけじゃないだろう?」


 直哉の親父さんの職業…今は公務員をしているが、元は眠らない町歌舞都町の情報屋、今でも、情報を求め、度々親父さんの元へ来る人がいるそうだ。


 「把握した、それで、何時から行けるんだ?」

 

 「そうだな…夜中の三時にはもう営業開始するらしいぞ、パワースポットっていうのは早ければ早いほど新鮮な運も寄ってくるってもんさ、それにその時間は神主や巫女さん以外にいないらしい」


 「そういうもんかねぇ…」


 「まぁ、信じるも信じないも自由だけどよ。時間はいいのか?予約したゲームが待っているんじゃないのか?」

 

 その言葉を聞いて顔が真っ青になっていくのを自覚できるほどに感じて、急いでカバンを肩にかけ、全速力で、走る。

 

 「俺のストアドォォォォォォォ!!」


 「…ははっ、ブレねぇの」

 

 急いで、予約した店舗に行って受け取り手続き完了させて、無事にストアドを手に入れる事が出来た。この中に待ち望んだ、あの神ゲーがあると思うと心が躍り、今にも、小躍りして喜びたい気持ちを抑え込んだ。


 「ありがとうございました」

 

 店内の機械音声にお見送りの言葉を言われたがそんなことはどうでもいい。それよりは今、手にぶら下げているこの、パッケージと中のディスクだよ。これから、俺がかっこかわいいの頂点に慣れると思うと、顔が歪んでしまう。


 そうして、家に帰るために帰路に着こうとした時、顔を上げると多くの人が並んでいる石段を見つける。例の神社の前だ、しかし、ニュースや話に聞いていた時よりも、人が割と少なく進むのがやけに早い。

 

 「人生が上手くいく…か」

 

 うーん、でも、直哉は夜中の三時に一緒にいくと言っていたし、でもここで願えばかっこかわいく、いや、かっこかわいく、かっこかわいく…一瞬頭の中で天秤がでたが速攻でかっこかわいくが天秤を揺らし、約束の重さはものともしないように天まで届いた。

 そして、結局並ぶことにした。


 「それにしても、本当に進むの速いな…」

 

 確か、くじを引いてから、賽銭をするって順番だったよな。順番とか決まっていたとか検証した人がいるわけじゃないけど、その順番でやった方が確立が高いんだっけ?


 あっ、もう境内が見えてきた。おみくじ売り場はあそこか、みんなシャカシャカの方をやっているな、その事もニュースで言っていたからな。


 でも、シャカシャカのやつ5人くらい一斉にやっているみたいだけど、シャカシャカって5個もあったっけかなぁ?ニュースでは中継のアナウンサーの時は進むのが遅くて運よくCMに入る前に買ってやっていたけどその時は一つだったような…気にしてても仕方ないか、おっと、列が進んできたぞ、そろそろ、俺の番か。

  

 「いらっしゃいませ。人生くじをご利用ですか?」


 「はい、500円ですよね」


 「はい、丁度頂きました、では、お隣の方が引くまで少々お待ちください」


 そういうと同時に隣の客がすみませーんおみくじの番号これだったんですけどー、と言ってその番号の棒の箱を開けておみくじを取り出して手渡した。そして、シャカシャカを渡してくれた。

 

 「あー、今更だけどドキドキしてきた」


 だけど、かっこかわいいを手に入れられるのならこんな気持ちに押しつぶされそうな事なんてどうってことはない。うおりゃああああぁぁぁぁぁぁ!!


 あっ出た。えーっと、二十六番か。

 

 「すみませーん、これでした」


 そういうと、巫女さんは棒を見て先ほどの客と同じように後ろな棚からおみくじを取り出し、手渡してくる。


 「さて、運勢はーっと」

 

 おみくじを開けてみると、運勢は末吉だった。まぁ、すごい地味だけどまぁ、凶じゃないだけマシか。


 あれ?運勢は関係ないんだっけ?そこらへんはニュースでも言ってなかったな。とりあえず、賽銭いれるか、えっと、細かいのあったっけ…あっ五円玉…まぁこれでいいか、さーて、賽銭箱はあの列だね。そんなに多くはないけど、あの、くじの行列に比べれば少なすぎるな。

 

 「…よし、それっと!」

 

 チャリンと軽い音が鳴るがその音は隣の人たちが次々と入れる小銭の音に飲まれていった。

 二礼二拍手一礼して…ストアドの世界にあるようなかっこかわいい人になりたいです。お願いします。


 あと、世界一かっこかわいい俺を認めて、憧れて、癒してくれて、愛してくれるような、そんなかっこかわいい存在にしてください。お願いします!


 「ぅし!これでよしっと」

 

 たった五円玉一枚だけど二つお願いをしちまった。ちょっと欲張りすぎたかな。いや、人生が煌めくのなら、二つの願いくらい神様が叶えてくれるだろう。


 柄にもないけど、結構信ぴょう性がある方が、夢が広がるし、その為にも、速くストアドをプレイしないとな。

 

 「ははは、楽しみだなっ」

 

 そういって、階段をウキウキしながら、降りようとしたら、後ろから声が聞こえる。


 「ドロボー!!そいつ、泥棒だ!捕まえてくれー!!」


 「どけっ!邪魔だっ!!」


 階段の手前で気持ちが昂った俺にはそいつに気付かずに逃走ルートを塞いでいたのだろう。泥棒は逃げるために、俺の背中を押した。

 

 「…えっ?」


 その時に俺の視界に入ったのは逆さまの景色、空が下にあって見るからに硬そうなごつごつした石段、その次瞬間体中が激しい音を立てて、俺の身体は色んな所がミシッゴリッバキッと鈍い音を立てながら、階段を転げ落ちる。

  

 「キャァァァァァァァァァァァッ!!」


 「あ、あんた大丈夫か!!だっ誰か救急車を呼べ!!早く!!」


 「やめろっ!むやみに動かすな!で、でも、出血が…」

 

 体からむせ返るような鉄錆に似た匂いを感じそれが、自分から流れている血だとすぐに分かった。

 

 「あぁ?なんだ、これ、血ぃ?おかしいな、体が動かない…ん?誰だ…?おいおい口をパクパク動かしているんじゃなくて、ちゃんと声をだせよ…ん?なんで、俺は声を上げているのに俺自身が俺の声を認識できないんだ?」


 手も、足も感覚も触覚も無くなっていく、なんだこれ、なんだこれ、嘘だろ?これで、死ぬわけないよな、ほら、ちゃんとストアドのパッケージは少し衝撃で開いちまったがディスクも無事だ…それで俺だけ重症なんておかしいよな…


 それに、俺は、明日から、いや、あの時から人生が変わると確信したんだぞ?それが?こんな今から始まるはずなのに?なんだ?目がかすんで…涙?なんで、痛いからか?それとも、悲しいから?


 なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで…………………

 なんで…こんなに、苦しくて辛いの?


 「…!……っ」


 いろんな人の声が入り混じっているその声を今の俺の聴覚は何も受け取らなかった。そのまま、俺の意識は薄れて消えて無くなっていく、正に消滅といってもいいくらいに消えていく…消 えて い   く


 「…………様っ!お嬢様のご容体は!?どうなの!!」


 ヒステリックな声が聞こえてくる。


 「とても、奇跡的ですね…それなりに大きな衝撃であったのにほぼ無傷です…おや、目を覚ましたようですわね」


 落ち着いた声の後に、抱きしめられる感覚。

 

 「お嬢様っ!!」


 



 ある豪邸では


 「お嬢!目が覚めましたか!待っててください、すぐに治療薬を持ってきます」


 綺麗な若々しい男性が両肩を掴んで来る


 



 またある、館では


 「姉様っ!起きましたかお父様ー!レイラお姉様が目を覚ましました!!」

 

 甲高い声が耳に響く

 





 そして、ある城で


 「姫様、ご無事ですか!?わたくしが分かりますか?」

 

 初老の歳でダンディさをもった人が安否を確認している。






 ………えっ?これは?まさか、まさか…


 手を握ってみる、ふにふにと柔らかい、顔を触ってみる、ぷにぷにとした感触とツルツルした肌を感じる、そして…このひらひらした服の下には…あるはずの物がない。


 「あ、あぁ…俺…俺…女の子の身体になってるぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!」

 

 ある国の四か所で大きな声が響き渡った。

初めましての方は初めまして、今も現在進行形で続いている小説から来た人はご無沙汰しております。

この度新しいTSFネタを思いつきこの事を作品にしたい欲求に駆られ、完結していない小説があるにも関わらず、思い付きで発車した小説です。今も連載が続いている「転生先は三代目魔王さまです」と違い月一投稿になりますが、落ち着いたりしたら、両方とも週一投稿させていただきます。

まだまだ駆け出しなんでアドバイスあったら大歓迎です(心が折れない程度に)


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