外伝 とある勇者一行のお話[sideエミリー]3
最近ずっと同じ人の事を考えている……今までそんな事なかったのに……
これまで近づいてきた人達は、顔だけの男とか、金だけの男、または両方を持った男……皆数少ない、聖剣に選ばれた女である私の中、血筋が欲しくてどうにか囲いこもうとしてくる。
決闘に挑んでくる連中もそう……結局は体が目当てだったりする……
でも彼は違った、顔を隠してるし、強さもまだ隠してる。
女として見られてないような気もするけど、彼といる時間はすごく楽しかった……
「今日は宿まで行って驚かせようかな」
用事があって今日は会う約束をしてなかったけど、午前中に終わったので、会いに行ってみることにした。
「え……どういうことですか……」
「そう言われてもね……私としても急なことで分からないんだよ」
店主によると、ついさっき彼が騎士団に連れてかれたと言うのだ、彼と出会ってからほぼ毎日会っていたから彼が何か悪いことをすることなんて出来なかった。
でもその時私は、もしかしたら、ドラゴンを討伐した表彰とかそういうのかと思い、あまり気にすることがなかった。
「ここで待っていてもいいですか?」
「もちろん構わないが……そう言えば二刀流の可愛い女の子が来たら部屋に上げといてもいいとか言っていたけど……もしかして君のことかい?」
「か、かわ……えと……そうかもしれません」
「鍵は預かってるからこれで入りな」
「有難うございます」
一体どんな部屋で生活していたんだろうと思い、ワクワクしながら部屋に入ったのに、部屋にはなにもなかった。
まるで誰も借りてないような部屋だった、ベットやソファー、備え付けの最低限の物はあるが、私物と思われるものが何一つなかった。
特に気にも止めずソファーでゆっくりしていたら、眠くなってしまったのでベットを借りることにした……少し匂いとか嗅いじゃったけど、最近とある勇者とその仲間のせいでゆっくりと眠れた事がなかったのですぐに眠ってしまった。
「ん……まぶし……え!?」
カーテンの隙間から入る日差しに眩しさを感じながら朝まで寝てしまっていたことに気づいた。
しかし彼が帰って来た形跡もなく、何故か不安になった。
「あの彼はまだ……」
「ああ、昨日は帰っ来なかったな……」
「そうですか……」
店主に聞いてもそう答えたので本当に帰ってこなかったのだろう。
何かあったんだろうか……
昨日、私も家に帰ってないので心配をかけてしまったと思い、取り敢えず帰ることにした。
「あ、お帰りなさいエミリー、心配したんですよ?」
「ごめん……ちょっとね」
家に入るとちょうどルーシーと会った、心配をかけてしまったのは申し訳ないと思ってる。
「ちょうど朝ごはんも出来てますし、皆で食べますよ」
「うん」
昨日は夜ご飯も食べずに寝てしまったので結構お腹が空いていた。
「エミリー、あんたどこ行ってたのよ、用事があるって午前中、出たっきり帰ってこなくて」
「午前中に用事は済んだんだけど、例の冒険者に会いに行ったら宿にも居なくて、色々あって昨日はそのまま彼の宿を借りたの」
「そう……」
先ほどからカイトはずっと黙っている……怒るかと思っていたのにどうしたんだろう。
「そう言えば彼が騎士団に連れてかれたって聞いたんだけど、誰か彼がドラゴンを討伐した、とかって報告したの?」
「あ、カイトが報告しに行くとかって言ってたっけ?」
あのカイトが?決闘に負けて彼を認めたってこと?
「ああ、アイツなら国を追放されたぜ」
「え……」
一瞬何を言っているのかわからなかった、追放?どういうこと?
「なんだっけな?勇者に手を出した反逆者としての罪により追放だってよ」
「え、彼はそんな事してないでしょ?」
「何言ってんだよ、ドラゴン討伐の時に手を出してきただろ?」
「それは貴方が……」
「勇者の邪魔を時点で反逆者なんだよ、王様に言ったらそう言ってたぜ」
違う……カイトは有ること無いこと彼が不利になるように王様チクったんだ。
「な……何でそんな事したのよ‼あり得ない……私はここを抜けるわ‼」
「な、おい‼待てよ‼」
バンッ
ここまで最低な人間だとは思わなかった、ちょっと性格が悪いくらいだと思っていたのに……二人には悪いけどこんなところでやっていけない。
私は家を飛び出し、少し離れた広場までやって来ていた。
「追放なんて……どうして」
しばらくうつ向いていると不意に話しかけられる。
「どうしたのかな?急に飛び出してきたところを見たんだけど」
「貴方は……確か……」
確かもう一人の勇者の……ハルトとかいったような。
「春人だ、前の召集の時以来だね」
「どうも……」
今は誰とも話したくないんだけど……
「良かったら相談にのるけど?」
親切心で話しかけてくれたわけだしむげにするのも……
「実は……」
私は起きた出来ごときついて話した。
「君も……その冒険者に負けたのかい?」
何でそんな事を聞くのか気になったけど……あれはどうなんだろう。
「えと……まあ、負けたようなものかな」
「そうなんだ……う~んそうだな~、もしその人の事が気になるなら追いかければいいんじゃないかな?門番に聞けばもしかしたら行き先も分かるかもしれないし」
今さらあの家には戻りたくないし、この国に彼がいれないなら私がこの国から出ればいいんじゃん。
「それいいかも‼そうと決まれば今から…
「ちょっと待ってくれ‼」
「ん?なに?」
まだら何かあるのかな?
「君に勝ったからそいつが気になってるんだったら、僕と決闘しないか?それで僕が勝ったらそんなやつのこと……」
「少し前の私なら……喜んで受けたかもしれないけど……もう止めることにしたんだ……そういうの……」
そういう風には見えなかったけどこの人も私が目当てだったのかもしれない。
でも今の私は……
「え……」
「今は……その人事が心配だし、それしか考えられないから……」
「そうか……」
「それじゃあ、私……行くね」
今は彼と一緒にいたかった、そしてもっと知りたかった。




