39話 お酒は怖い……ようです
今日は一人でギルドの酒場に来ていた、酒場はギルドの食堂の奥にあってちょっぴり大人の雰囲気だ……
何故一人で来ているかというと……二十歳になったのでなんとなく。
特に意味はないです、はい。
「あ、暗黒騎士さんじゃないですか?」
何処かで聞いたような……
「セリカだったか……」
「覚えててくれたんですね?嬉しいです」
「ああ」
絶賛堅物モード‼
「珍しいですね、こちらに来るなんて」
「まあ、色々あってな」
『お酒、タバコは二十歳になってから』を楽しみにしていたなんて言えないし……
「女ですか?」
「……そうかもな?」
「ふ~ん」
「……」
このまま喋ってるとボロを出しそうだな……
「まあ、取り敢えずこれは私のおすすめです♪」
「いただこう」
正直に言わせてもらう、この後何杯飲んだかも覚えてないし何があったかも覚えてない。
多分調子にのってどんどん飲んだのかもしれない。
「ん?ここは……」
「あら、やっと起きたんですか?でももう少し寝顔を見るのも悪くもなかったですけど」
ん?この声は……
「セ、セリカ‼なんで!?」
「私も驚いたんですよ、普段クールぶってると思ったら中身は獣だったなんて……」
マジですか……もしや……ヤっちゃってる☆
笑い事じゃないけど……
「俺は何を……」
「そんな!?覚えてないんですか?嫌がる私を無理矢理ベッドに押し倒したのに……」
「え……マジですか……」
「ふふ、冗談です、素顔が見たくて勝手に鎧とか外したのは私ですけど、後は何もしてませんし、されてませんよ」
助かった……のか?
「……貴方からされないと意味ないですし」
「何か云ったか?」
「い、いえ何でも……」
「そうか……ここは君の部屋かい?」
「そうです」
「色々と迷惑かけたみたいで……」
まさかここまで一人で俺を連れてきたのか?
さすがに……
「いえ……私もおすすめとかいってめちゃくちゃ強いお酒飲ませてたんで……」
「え……」
「あ、いや別に酔ってる間にあわよくばなんて考えてませんよ?」
「……」
「すみません……でも暗黒騎士さんすぐに寝ちゃうんですもん」
「悠人だ……こうして顔も見られたし、普通に話しちゃったし、その暗黒騎士って言いづらいだろ?」
「あ……そ、そうですね、では二人の時にはユートさんとお呼びしますね」
「呼び捨てでもいいけど……まあそれで良いなら構わないよ」
「そうさせていただきますね」
あれ、もう朝ってことは……ルナ……やばいかな……
「このお礼は今度するんで一回帰ります」
「そうですか……ではお礼を楽しみにしてますね」
俺はそのままセリカの部屋を後にした、幸いにもギルドの宿だったので迷うことはなかった。
「これなら10年なんてあっという間ですね……」
その時セリカがそんな一言を言っていたことを俺は知るよしもなかった。
とにかく急いで家に帰らねば……
全力ダッシュした俺はものの5分程で家に着くことができた。
「朝帰りとはね」
「これはですね……」
まあ、間に合うことはないんだか……
「今度は何?レイラは真面目だし綺麗な人だからまあ良いかなって諦めたけど?ギルドの受付嬢にでも手を出したの?」
「……それは」
「え……マジ?」
「それが本人は何もなかったって言ってたけど、俺はお酒のせいで何も覚えてなくて……」
「最低……」
「申し訳ない」
「昨日は貴方の誕生日だったから私がどれだけ準備していたか、貴方にはわからないでしょうね?」
去年は気が付けば過ぎていてルナはすごい残念がってたんだっけ……しまった。
「ごめん……折角色々準備してくれたのに……」
机にはケーキやら豪華な食事が準備されたままだった……
「何か……私だけ本気になっちゃってたのかもね」
「な、違う‼それに昨日お酒をのみに行ったのも理由が……」
「もういい……」
「ちょっとまっ……」
バタンッ‼
ルナは家を出ていってしまった……
すぐに追いかけようとも思ったが……本能が言っていた……今は何をしてもだめだと……
「本当は昨日渡すつもりだったんだけどな……」
俺の手には指輪が握られていた……別に結婚指輪にするつもりはないけど……日頃の感謝を込めて一番喜びそうな物をと選んだんだけど最悪の状況になってしまった。
「やっぱり……追いかけよう」
そう思い返し、家を出たが既にルナの姿は何処にもなくすぐに見つけることは困難だろう。
「ルナ……一体何処に行ったんだ……」
「あれ?暗黒騎士さんじゃないですか?……ちゃんとした状態で会うのは久々ですね……」
「リリス……」
「ちょっと話さないか?」
「もちろん良いですよ」
タイミングが良いのか悪いのか……でもルナを見つけるヒントにはなるかもしれない。




