36話 やられたようです
「ここは……」
気がつくとそこは俺がこの世界にくる前に目が覚めた真っ白な場所だった。
「なんでここに……」
「お久しぶりですね」
「貴方は……女神……」
「一年ぶりですけど覚えててくれたんですね」
「こんなにも美しい人のことは忘れたくても忘れられませんよ」
「そういうとこですよね……」
「ん?なにか?」
「あ、そ、そんなことよりも貴方には第二職業を授けるために来てもらいました」
第二職業?あ、そうだった、俺はどうしてここにいるのかそれを説明するには少し時間を戻しました方がいいかもしれない。
俺は今、レイラとともに魔王城の地下の魔物の殲滅に来ていた、今ではこれが収入源になっている。
レイラの収入が半減するのではないかと心配したのだが、一人でやるよりも楽しいし、そもそも使わないけど使っても余りあるほど稼いだらしく、その辺は気にしてないらしい。
俺としては、収入も安定して、なおかつ強くもなれるので一石二鳥だ。
「今まで人をやっていたが、誰かと一緒にやるだけでこんなにも変わるもんなのだな」
「そういってもらえると、嬉しいよ」
「そ、それに好きな人なら安心して背中を預けられるし……」
「な、何か照れるな……」
こんな感じでやっております。
話題を変えるか……
「レイラってこの仕事やってるわけだから、結構レベルも高いんじゃないのか?」
「そうだな、他の奴に比べれば高いかもしれないが、三階層まで行かなければここの魔物は対して強くない、70を越えた辺りからほとんど上がらなくなって、しばらくは75のままだな」
「な、なんだって?」
「ん?どうした?そこまでレベルが高いわけでもないだろ?」
「え、ああ、そうだな、ちょっと思うところがあって」
「ん?」
「レベルの上限ってどれくらいなんだ?」
「100って言われてるが、そこまで行くには一体どれくらいかかるんだろうな」
どういうことだ、上限は100以上じゃないのか?
じゃあこれは……
カゲヤマ ユウト
種族 人間
職業 暗黒騎士レベル99
俺はすでにレイラのレベルを越えていた、いやそもそも、リリスを越えた時点で不信に思うべきだったんだ。
早すぎるんだレベルが上がるのが。
このままではすぐに上限とされている100になってしまう。
「どういうことなんだ?まさか……」
「さっきからどうした……おい魔物が来たぞ、いくら弱いとはいえ、数が多いからな気を付けろ‼」
「え……ああ、背中は任せろ‼」
その後練習と共に何体か魔物倒した時だった、目の前が光の包まれ何も見えなくなる。
「うっ!?」
「ん!?いったいどうしたん……」
そうして今に至るわけだ。
「あ、向こうの世界は時間が止まってるんで安心して下さい」
「そんなことまで出来るのか……」
「これは特例ですね、レベル達成ボーナス的なものなので」
「やっぱり、なんかしましたね?」
「ぐ……いや、何もしてませんよ、貴方がたまたま制限値が入りやすかっただけで……」
「そのたまたまは偶然じゃないですよね?」
女神は初めて会ったとき言っていたことがあったが、このことだったのかもしれないな。
「そ、そんなことは……」
「運が良ければ会えるんでしたっけ?」
「あ……そ、そうですよ運が良かったですね」
「で?本題は?」
「その神様がですね、魔界は平和そうだし、人間界にも行かせろって言ってまして……あの……これは私が言ったことは内密にお願いします……」
「それはいい、どうせ言う相手もいない」
言っても信じないだろうしな。
「それで、人間界に行くにも生身ってわけにもいかないんで、第二の職業を授ける為に……ちょっと経験値をいじって……」
やっぱりな……
「ちょっとじゃないでしょ、たった一年でレベルカンストしてたまるか」
「こ、こうでもしないとレベル100なんて無理ですから」
「無理なのにそんなルールつくるなよ……」
「元はいたんですけど、初代魔王の時代が終わってから世界は平和になったので、全体的にレベル水準も下がったんですよ」
「それで今回も選べるのか?」
「二回目は女神プレゼンツです‼」
「……」
「何ですかその顔は‼」
不安しかない、職業によって能力が発動する装備や防具は決まっているので、使えない職業にされたら最悪だ。
「ちゃんとすごい職業にしてますから、安心してくださいよ‼」
「で、その職業ってのは?」
「騎士です」
はい?
「なんだって?」
「だから騎士です」
いや、今とほとんど変わらなくね?