19話 パーティーを組むそうです
リリス達が出発してから俺はルナとパーティーを組む件について話していた。
「パーティーとは呼ばれているけど基本的には経験値の共有みたいなものなの」
「なるほど、で?どうやるんだ?」
「まず専用の魔石が必要になるんだけど、ギルドでパーティー申請しておいた方がいいわね」
「なんで?」
「その方が安く魔石を買えるのよ」
「そっか、取り敢えず申請しに行くか」
さっさと、ルナと申請しに行くことにした。
「申請を受付ました、魔石の件ですが、魔王様、今回のことのお礼で暗黒騎士様には今後、無料で魔石が提供されます」
「ありがたいな」
魔石を手にいれたあとは、加工する必要があるらしく、俺達は宝石屋に来ていた。
「どれがいいんだ?」
「一番人気なのは指輪ですね、邪魔にならないし、一生のパーティーという意味で婚約指輪にする人もいますね」
なるほど……ここで指輪を選ぶのは軽率すぎるし、かといって他のにしてその気がなかったのかと言われても困る。
ならば……
「ルナ……」
「どれにするか決めた?」
「魔石は貰えるみたいだし、今回は試しに腕輪にしてみようか、き、気に入らなかったら変えてもいいしさ」
とルナに小さな声で聞く。
「そ、そうね、別に私は、貴方がそれでいいならいいし、指輪が良いって言うならそれでもいいわ」
結局どちらを選んでも正解だったみたいだな……
「これで頼む」
「分かりました、それではまた一週間後にお越し下さい」
「分かった」
一週間後か……ぎりぎりといったところか……
転生してからろくに働くようなことをせず、しかも色々の事件とと共に出費が加算し、魔王から貰った金は、わずかとなっていた。
「ルナ……金がない」
「そろそろ、言うと思ってた……」
「なぜ分かったんだ!?」
「そりゃあからさまに最近、食事が一番安いのだったし」
バレていたのか……
「そういうお前は大丈夫なのか?」
「私は大丈夫よ」
「お前が働いているところ見たことがないんだが?」
「前に俺にお金持ってるって言ったじゃないか」
「それは来たばかりなのにって意味よ」
「そうだったのか……」
「だったら依頼でも受ければいいでしょ、色々教えてあげるから」
「頼む」
俺達はギルドに向かい依頼の確認に行った。
「ギルドってランクみたいなのはないのか?」
「どういうこと?」
「いくつか依頼を受けて経験を積まないと難しいのは受けられるようにならないとか」
「基本的にはないわね、全ては自己責任、でも依頼を何個も受けるとギルドから臨時報酬がでたりはするわよ」
この世界のギルドは俺の思っていたギルド構成とは違うようだ。
それに依頼は討伐依頼や素材採取の他に臨時アルバイトを募集しているようなものもあった。
「さっきから不思議そうに見ているけど、貴方の世界にはなかったの?」
「あるにはあったが少しちがってね」
俺にだけ聞こえるように聞いてくるが、まぁ確かに、俺の二次元世界にはなかったな。
他にも色々な依頼を見てみたがこの世界のギルドはほぼ人材派遣会社の様なものなのかもしれない。
「貴方の世界のギルドがどんなものなのかは知らないけど、ここのギルドは人材を派遣するのがメインよ」
「なるほど」
そのまんまだった。
「どれがいいか決まらないなら討伐依頼が楽よ」
「討伐依頼が出るくらいなら、危険なやつじゃないのか?」
「危険やつなら、ギルド総出で討伐に行くわよ」
「どういうこと?」
「前にも説明した魔力溜まりってのは、魔物が溢れて出ているわけではないけど、定期的には出てくる、だからギルドメンバーが討伐して、ギルドに報告、それで報酬を貰うの」
危険なやつに関しては見つかりしだい、ギルドで呼び掛けるらしい。
報告に関しては魔物の体内にある魔石や素材で証明になるらしい。
「俺はいいけどお前の装備……」
「大丈夫よ、装備に頼らなくてもある程度戦えるし、いざとなったら……貴方が助けてくれるでしょ?」
ルナは俺に信頼仕切った眼差しを向けている……止めとくれ……
「それはそうだけど」
「ならさっさと行きましょ、場所は案内するから」
その場所というのはこの国の外で、魔物が現れる森や洞窟がある近くの村に泊まるらしい。
「いや、君にもしものことがあるといけないから、準備はできれば万全の方がいい」
「あ……え……そうね……」
もじもじしているルナは置いておき、仕事の話をする。
「だから、このパン屋の開店セールの一週間アルバイト募集に参加しようと思う」
「貴方がいいなら、それでいいわ」
その後、店に話を聞きに行くことになった。
「助かりました~」
「俺達だけか?」
依頼を受けて来たのは俺とルナだけだった。
「今回は臨時なんで給料も少し高いですけど、基本的に戦闘力が高い人は、魔物を討伐した方がお金になるんですよ」
「ん?だったら君は参加しなくても良かったん……いやなんでもない……」
「別に、貴方と一緒だからとかじゃないから、たまにはこういうのもいいかなって思っただけだし」
ツンデレ有り難うございます。
俺達の仕事は基本的には接客だけだったので覚えることもなかったが、セールとは恐ろしいものだ……
等と考えていたらあっという間に一週間が過ぎていた。