18話 魔王の強さを知るそうです
「それは本当かい?」
「ああ、この子が魔方陣があった場所まで案内できる」
あの後、リリス一緒に魔王のところに来ていた。
「案内してくれるかい」
「うん……」
エミリアは、あまり怖がってないなら大丈夫だろう。
おそらく奴等は戻ってくる。
もしもギルドのメンバーならば依頼も受けていないのに何日も居なかったら、怪しまれるからな。
「ここです……」
「なるほど、宿の部屋を改造したって訳か、確かにこれだとバレることはないね」
エミリアの案内した部屋には確かに魔方陣があった。
するとタイミングが良いのか悪いのか、魔方陣が光だした。
「これは転移してくるみたいだね」
すると光の後に影が2つ見えた。
「いや~久々に楽しめたな」
「金目のものもあったし、あれが全部魔物の仕業で済ませられるからな」
ギルドで見たことのある連中だった。
これは決まりだな。
「あれとは何のことかな?」
「ん?だから村を襲っ‼魔王様‼何故ここに?」
「風の噂を聞き付けてね」
「あの、待ってください、違うんですよ、これは」
「いや、確証が欲しかっただけだから」
そういうと魔王は腰の剣を抜いた。
「憤怒の剣よ、罪ある魂を無に還せ」
「「待ってく……ださ…………」」
魔王はその言葉を発しただけだったが、それだけで二人の男は消えた……文字道理、無に。
「驚いたかい?」
「少しな」
「この憤怒の剣はね、罪を犯した自分の配下を強制的に殺すことができるんだ」
罪を犯したらという制約があったとしても強すぎるな。
「でも六魔将には聞かないから、罪を犯しても大丈夫とは言わないけど、安心して六魔将は配下ではなくあくまでも、助け合う友人として見ているからね」
「そうか」
「後のことは任せてくれ、ついでにこの魔方陣も破壊しておくから」
「そうか悪いな」
「いやいや、配下の管理がなっていない僕の責任だからね」
俺達はその場を魔王に任せて、もう一度俺の部屋に向かった。
「あっ‼部屋にいないと思ったらお姉ちゃんと会ってたの?」
途中ルナに会った。
「ああ、ちょっと相談したいことがあってな」
「相談?と言うかその子は?」
エミリアが怖がってるからやめてくれ。
「まさか……お姉ちゃんとの」
「……」
無視しよう。
「え、ちょっと、スルーしないでよ‼」
「部屋で話す」
まずは部屋に入る。
そしてルナに状況を軽く説明した。
「私が寝てる間に色々ありすぎでしょ!」
「ルナちゃんはたまにお寝坊さんなところがあるものね~」
「なっ!子供扱いしないでよ!」
「リリス本題に入りたいのだか……」
「あら、ごめんなさ~い」
今回の件については魔方陣の方を先に対処しなければならなかったが本題はエミリアを人間界に戻すって話だ。
「で?どうなんだ?」
「まあ、正直なところを言ってしまうと、一週間後に行くわ」
「本当か?」
「さっきの件があったしね」
どうやら魔人が人間界に行っていた問題について、大きな問題になる前に対処するらしい。
「できるのか?」
「出来ると言うか、せざる終えないわね~少しでも相手方の怒りを静める必要もあるし、魔王と襲撃については関係ないって」
なるほどエミリアを保護していたってことで少しでも信憑性を高めるわけか……戦争にならなければいいが……
「エミリア、これで人間界に帰れるぞ」
「え……」
「この女が色々手配してくれる、だから向こうでも安心して暮らせるはずだ」
「やだ!お兄ちゃんと離れたくない、もう一人にはなりたくない」
「エミリアが、魔界で暮らすのは、きっと不便だ、人間界の方が安全なんだ」
「でも……」
「すぐてはない、一週間後だからな、良く考えてみてくれ」
ここは人間のいない世界、女神様も言っていたけど、やっぱり暮らしにくくなるはずだ。
その後エミリアと話がしたいといって二人には帰って貰った。
「エミリア……」
「……」
「いつかは俺も人間界に行くから、それまで我慢してくれないか?」
「本当に?」
「ああ」
不老な訳だし、いつかは人間世界にも行こうとは思っていたが……
「それからなら一緒に居てくれるの?」
「そうだな……エミリアが可愛いくなっていてしかも、強い人間になっていたら、俺は魔界に帰れなくなってしまうかもな……」
エミリアはまだ子供だか、とても顔立ちは整っている。
後10年もすれば、美少女になるはずだ。
とにかく今は、エミリアに人間界に行ってもらう決断を、してもらわなければ……
それからの一週間はあっという間だった。
エミリア怪我を見てもらったり、服を探したり、『お兄ちゃんと同じがいい』なんて言うもだから剣も買ってやった。
といってもほとんどルナとリリスに任せてしまったけどな、俺は俺で探しものがたったから。
「……えぐ……え゛み゛り゛あちゃあ゛ん~」
ルナはさっきからこの調子……
「お前が泣いてどうする……」
「だって妹欲しかったんだもん!」
それについては激しく同意するが……
「エミリア……大丈夫か……」
「うん……でも約束忘れないでね?」
あの約束か……
「分かっている、これを持っていけ」
「これは……」
俺が渡したのはペアリング近くにあると光る魔石が付いている。
しかも魔法で伸縮自在、エミリアが大きくなっても付けられる。
「大事にする……」
「お姉ちゃんはいつ頃戻ってくるの?」
「そうねぇ、エミリアちゃんの環境を整えて、少しは見守らなきゃいけないし、色々な問題も解決しないといけないし、しばらく戻って来れないかもしれないわねぇ」
「そっか……」
「それまでに……彼との中を深めるのよ……ボソッ」
「わ、分かってるわよ!」
「じゃあお別れも済んだことだし、そろそろ行くわね」
「気を付けてな」
「行ってらしゃい二人とも」
「お兄ちゃん……またね……」
「ああ……」
それは一週間という短い間だったけどもエミリアは確かに俺の妹だった……