16 話 この世界の闇を知るそうです
「今の人の色も見たことない色だった……」
ルナの魂の色か……
エミリアの話を聞く限り種族ごとに同じような色なんだろうな。
「どんな色なんだ?」
「白に近いピンク色……」
……サキュバスですもんね。
「さっき村に来た人って言っていたけど、エミリアは村から逃げて来たのか?」
「そうなの……」
「そっか……色々あったんだろうけど、今は休んで落ち着いた方がいいかもしれないな、ベッド使っていいから」
良く見ると服はボロボロだし、足も汚れている。
ちゃんとベッド綺麗の清掃頼んでおいて良かった……。
「一緒じゃだめ?」
「一人で寝れないのか?」
「お兄ちゃんと寝てたんだけど……グス……お兄ちゃんはもう……」
しまった。また女の子を泣かせてしまった。
たしかにまだ小学校低学年位の歳だろうし、家族と一緒に寝ていることもあり得るかを
「一緒に寝てあげるから、ほら、涙拭いて」
「……うん」
・・・・・手は出さないよ?
「エミリア起きてるか?」
「うん……」
エミリアはその小さい腕で俺の腕でにしがみついている、相当寂しかったのだろう。
「俺も、色々あって家族はいないんだ」
「そうなの?」
「だからエミリアは一人じゃない、俺と同じだから」
「じゃあ、お兄ちゃんって呼んでもいい?」
「いいよ、俺達は今日から家族だ‼」
きっと実の兄と重ねているのだろう、こんなに小さい子が、何があったのかは、大体予想つく、辛かっただろう。
「……お兄ちゃん……おやすみなさい……」
「おやすみ」
安心できたのかな、すぐに寝てしまった。
エミリアにとって兄という存在はとても大きなものだったんだろう。
リリスさんは他国の相手をする仕事をしているらしいけど、もしかしたら人間界に行くこともあるかもしれない。
人間であるエミリアには魔界で生きて行くのはつらいだろうし。
そんなことを考えながら俺は眠りについた。
隣から少し声が漏れていたけど気のせいだろう。
次の日、俺は朝早くにリリスさんの所に行った。
エミリアを部屋から出すのは、危ないかもしれないからね。
鎧には驚いていたけど、魂の見分けが出来るらしく、たいした問題ではなかった。
一応喋り方についても気にしないように言った。
「リリスさん今、空いているか?」
「あら~暗黒騎士君じゃな~い、どうしたの~」
「素でたのむ、俺はその方がいい」
「あらそう?じゃあ貴方もさん付けなんてやめてよ~」
「わかった」
俺は人間界についての話を聞きに来た、もし方法があるならエミリアを返してあげたい。
「で?何の用なのかな?」
「人間界に行くことはあるのか?」
「あるって言ったら?」
「相談したいことがある」
「ふ~ん、その相談を聞いてからかな~」
そう簡単には話せないことなのは分かっていたが、エミリアの反応を見てからかな。
「わかった、まず俺の部屋に来てくれ」
「え~朝からそういうお誘いなの?嬉しいけど夜の方がよくない?」
「……」
姉妹揃って同じようなもんだな。
「無視されたらお姉さん泣いちゃう~」
「……」
なるべくリリスの話をスルーしながら歩いているのすぐに部屋に着いた。
「ここで待っていてくれ」
「え~焦ら……」
バタンッ
さっさと部屋に入った。
もうエミリアはリリスの存在に気づいているかもしれないがこの望に賭けたいから、エミリアにはリリスと話をしてもらいたいな。
「ん?エミリアどうした?」
「……」
部屋で待っていたエミリアは、目を見開いて固まっていた。
「エミリア!?」
「……あっ、お兄ちゃん‼」
「どうしたんだ?」
まさかリリスさんの魂は、おかしかったのか?
ルナと同じような色なんだと思っていたが。
「いま部屋の外にいる人の魂、すごいの」
「何がすごいんだ?」
「真っ白なの、すごく輝いている様に見えるの‼」
何がすごいんだか俺には分からないが怖がっていないならいいか。
「この人は信用できると思うか?」
「逆にこの人を信用出来なかったら、誰も信用出来ないの」
魂様々ですな。
「リリス、入ってくれ」
「も~、このまま放置プレイかと思っちゃったよ~」
「で、この子のことなんだか」
「また無視!?ってこの子もしかして」
なんだ?見た目じゃあ分からないもんかと思っていたがもう人間だとわかったのか、まぁリリスのレベルは高いしな。
「そう、人間なんだ」
「もうルナとの子供ができたの?」
「「は?」」
この人がルナの姉であったことを忘れていたよ。
「じゃあこの子が昨日の夜の」
「そうだ、そしてどうやらこの子の村を襲ったのは魔人らしくてな」
「嘘……でしょ……だって人間界にはそう簡単には行けないし」
「では人間であるこの子がこの城にいた件については?」
「まさかこの城に転移門があるとでも言いたいわけ?」
「その辺については、俺の予測でしかないからな、本人に聞いてみることにしよう」
「そうね」
エミリアには辛い話をさせることになるかもしれないが、更なる被害を防ぐ為に協力してもらわなければならない。
「エミリア話貰えるか?」
「……うん」
エミリアは見たことを全て話してくれた。
「じゃあ城の中にそれがあるってこと?」
「そういうことだろうな」
「てことはギルドに……」
「ああ、不可侵条約を破っているやつがいる」
少しでもこいつの妄想やばいなwと思ってくれたら幸いです。
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