11話 夢ではなかったようです
この話に一区切りをつけたかったので昨日は一気に投稿しました。
今後は一日一回の投稿にしていくつもりです。
「朝か……」
昨日と変わらずの朝を迎える。
なんだ……夢だったのか。
ん?いつもよりベットの感触を直に感じる。
「ん?裸?」
ふにゃん
「んッ」
なんかとても柔らかい感触を腕に感じる……。
感触の方向を見てみると。
裸の女性がいますね。
「うわぁ‼」
「う~ん、ん?起きたの?」
夢ではなかったようです。
「夢ではなかったのか……」
「なによ?まだ寝ぼけてるの?それにしても……」
「どしたの?」
「昨日はすごかったね❤」
うん、君がね。
すごかったなんてもんじゃない。
きっと今まで我慢してきたことが爆発したのだろう。
お互い初めてのはずなんだけど……
「そうだね……」
「やっと心に空いていた穴が塞がった気がする」
「それはよかった」
「体の方も塞いでくれたけどね❤」
そう言ってベットから起き上がる彼女。
誰かこの子を止めて下さい。
第一印象と違い過ぎるんだけど。
「朝はどうする?食材もないしギルドでいい?」
「昨日の報告もあるし、それでいいよ」
「なら早く服を着てさっさと行こッ」
と言いながらビキニアーマーをさっさと着ている。
ここで無駄な雑学なんだが、ビキニアーマーは下着と一体化ではなく、中にはとても際どい下着を穿いていた。
その上からローブを羽織る、一瞬躊躇ったように見えたのは、気のせいではないだろう。
新しいローブが服をプレゼントしよう。
「なんでそんなに急いでるんだよ」
「え……だって昨日は……あんなに激しかったんだから」
「そ、そうだよね‼お腹も空くよね‼」
自分も、さっさと下着を穿いて上にはインナーを着た。
「鎧の中にはそんなの着てたんだ?」
「ん?これは」
今俺は全身タイツのような格好をしている。
タイツといっても厚みもあり頑丈で前の世界で言う合成繊維っぽい感じだ。
鎧を脱いでみたら、こんなのを着ていて驚いたけど、おそらく女神プレゼンツだろう。
「これを着ていると鎧でも少し動きやすくなるんだ」
「そんなのがあるんだね」
これにも自動修復と自動浄化が付いていたのは気のせいだろう。
あとはステータス画面で鎧を選択すればいいだけだ。
「え?今、鎧が一瞬で」
「え、と、特殊な鎧だからね」
急かされていたから何も考えずに装備してしまった。
「そんなの初めて聞いた」
「レア物だからね、お腹空いてるんでしょ早く行こう」
「そうだったわね、なに食べようかな~」
誤魔化せたので一件落着。
「あっ‼」
「どうしたの?」
「そういえば貴方の本当の名前知らなかった」
「今さらだね、悠斗って言うんだ」
「ユート?そっか、いい名前だね」
「そう?俺もルナって名前好きだよ」
「ありがとッ」
なんだか照れくさくなってしまうがよくよく考えるとまだ会ってから1日経っておりません。
「それにしても、私名前も知らなかった人に初めてを奪われちやったんだね❤」
「あはは……」
「悪い人だね❤」
間違ってはいない気がするけど、どちらかと奪ったというよりは貰われたって行った方が近い気がする。
「嫌な言い方しないでくれよ」
「ごめん、ごめん」
「行こうか」
「うん」
もう知られてしまったのでルナの前では普通に喋っているけど、ギルドでは暗黒騎士風(?)でいくか。
「ねぇ?」
「なんだ?」(暗黒騎士風)
ギルドに向かう廊下の途中。
「その喋り方さあ」
ギクッ!?
「実は昨夜言っていた理由じゃなくて、自分で格好付けてるだけじゃないよね?」
「ソンナハナイ」
「何かおかしくない?」
「ダカラ、ソンナコトナイデス」
「ふーん、まあそういうことにしてあげる」
ギルドに着くと、やはり昨日とは違った雰囲気だった。
なんというか、全体的によそよそしい感じだ。
とりあえず、受付嬢に話をするか。
「すまないが昨日の事件のことで話をがあるんだか……たしか」
「セリカです、それとその話は本当ですか?」
「ああ」
「では、左奥にある、部屋で待っていて下さい魔王様を呼んで来ますので」
なんで魔王がでてくるんだ?
確かにここはやつの城の中だけどギルドマスター的なのじゃないのか?
それにしてもセリカって名前だったか、最初会ったときは名前は聞かなかったからな。
「奥の部屋ってどれのことだ?」
「そこの部屋でしょ、多分、応接室のことでしょ」
話によれば、重要な話をするときや、他国の相手をするときに使うらしい。
今回は前者だろう。
それにしてもやっぱり国とかもあるんだな、あとでルナに色々聞くか。
「待たせたね」
「お、おはようございます魔王様」
応接室で待っているとすぐに魔王がきた。
ルナの態度を見る限り、やっぱり偉い人なんだなこいつ。
態度からじゃ創造できないが。
「いや、気にするな」
「ちょっと、いくらあんた六魔将でも態度でかいでしょ」
初めて会ったときに、気にするなって言っていたから大丈夫だと思うんだけど。
「僕は気にしないから大丈夫だよ、それに君もかしこまらないでいいよ」
「そ、そうですか」
「ギルドマスターは一緒じゃないのか?」
「え!?それも知らなかったの?」
「何がだ?」
ルナはなにやら驚いているが、もしかしてこの世界にはギルドマスターっていう概念がないのか?
「それじゃあ、自己紹介を改めてした方がいいかな?」
「ん?」
「僕は一応、魔界のまとめ役として魔王をやらせもらっているだ、そして、このギルド”サタンズ・クロニクル”のギルドマスターでもあるんだ」
なるほど、それでか、今は絶対ステータス見たくないな。
「で?昨日の話を聞かせてくれるかい?」
俺とルナは、互いに知っている話を魔王に話した。
「魔法が使えなくなる腕輪?聞いたことないな?」
「魔王様も知らないなんて……あ‼なんか実験が成功したとかどうとかっていってました。」
「そんなことを、分かった、その辺はこちらで詳しく調べよう、本当だったら犯人に聞きたかったんだけどね」
すみません。事故だったんです。
「その件だか、俺は処罰されるのか?」
「そうなるね」
「そんな!?待って下さい、それなら私が」
「本当にだったらね」
「え?」
通常なら例え正当防衛だとしても相手を殺してしまうことは罪になってしまうらしい。
逆に殺しさえしなければなんでもやっていいらしい、なんでもそれを正当化しないと情報のための拷問がしにくくなんとか。
それの方が怖くない?
「今回、ザコル達は皆、魔人化を使ったらしいし、僕も魔剣を手に入れたばかりの君に何も教えてなかったからね、差し詰、魔剣の能力の傲慢の剣を使って対抗しようとしたら、強すぎて制御できなかったってところでしょ」
「そうだ、能力のことも知っているのか」
「一応、魔王だからね、七魔剣の能力はすべて把握しているよ」
よく考えれば当たり前のことか。
「でも、ドアは壊す気でやったよね?」
「…………」
「盗難防止のための強化魔法、その手の魔術師に頼むから以外と金掛かるんだよね」
「弁償しよう」
「冗談だよww、状況が状況だからね、それについても不問としよう」
よかった。
「それに、ルナさんには本当に申し訳ないことをした」
「え?どういうことですか?」
「ギルドではね、ザコルが色々悪さをしていたのは分かっていたから警告はしたんだけどね、ギルドのメンバーたちは、すでにザコルに怯えちゃって、君には辛い思いをさせた、本当に申し訳ない」
「そんな、頭を上げて下さい、別に貴方が悪いわけではないですし、それに、今は彼が居ますので」
なんだかちょっと照れくさいな。
「そうか……でもこのままではギルドとしても魔王としても面子が立たないから、なにか願いがあれば聞くよ」
「そうですか、では何か考えておきます」
「そうしてくれ、それにしても暗黒騎士君は、たった1日で女の子をものにするなんて手が早いね~」
こいつ、いつか殴る。
「話は終わりだな、いくぞ」
「え、ちょっと待ってよ」
「照れなくてもいいじゃないか~」
俺は魔王の最後の話を無視して応接室を後にした。