148 馬車改造
翔達がかき氷などの新作料理の試食をした数日後、黄昏の彗星では新しいのぼりやポスターが掲載された。内容は
『新作お菓子試食実地中。今日から一週間、何か料理を注文していただいたお客様に無料で新作お菓子を1品お付けいたします』
その文字を見たお客は今までの黄昏の彗星の料理がおいしかったことから続々と新作お菓子を食べていった。新作お菓子を食べたお客は全て期待以上の味に余韻を楽しんだり、料理人などは味を盗もうと追加に注文してたりしていた。また商人は儲かる匂いを感じたのか食べている間キッチンの様子やお菓子の材料を考え、食べ終わるとすぐに店を出ていった。
そんな中翔はガルズ、エリザベート、シーラの大工3棟梁と共にメルトホルン国立研究所にいた。研究所内に入ると早速所長のフウマが話しかけてくる。
「翔さん、全研究員集まっております。今日は一体何をするのでしょうか?」
そのあまりの熱意に翔は冷や汗をかきながら
「いや、そこまで人数はいらないんだけど」
「いえ、これは全研究員の総意で翔さんが何かを作るときは全員で見て学ぼうと決めているのです」
「わ、わかりました。じゃあ今日は馬車を改良しようと思ってるんです」
翔はカバンから一般的な馬車を取り出した。そして一枚の設計図を出す。
「まずタイヤ部分。この設計図のように車輪部分は金属で地面と当たるタイヤ部分はゴムで作りたいんだ。車輪部分についてはいろんな素材を使って強度、重さの軽量化、サイズを作ってほしんだ、ガルズ達、お願い」
「おう、任せな。そうだな3人なら1時間くれればある程度の数は用意できるぞ。あと見た感じタイヤの部分と触れる溝の大きさは変えない方がいいな?」
「うん、それでお願い。溝については後で調整するから今回は揃えて。次のタイヤ部分だけどさっき言ったようにゴムで作りたいんだ・・・・」
翔が設計図を見せながら構造について話すとフウマはフムフムと理解を示しながら内容をまとめる。
「つまり外側には厚いU字型のゴムを円の形に作って、その中に丸い筒上のゴム、チューブをいれてそのチューブの中に空気を入れるんですね。最近はゴムの襲撃吸収性に目が向けられ装備とかにも使われるようになりましたがこんな使い方があるとは。さすが翔さんです。よしみんなとりあえず一時間以内に試作品を作りますよ」
そして一時間後タイヤ部分が出来上がった。取り合えず従来の馬車のタイヤと変えて敷地内を走ってみる。すると
「すごい。衝撃が少なくなりました。タイヤ部分をゴムに変えるだけでここまで変わるとは」
「ああ、それに木材から金属に変えたから耐久性も大分伸びている。それにまだ改良する点はあるからすごいものができるぞ」
フウマとガルズは新型の車輪について意見を言い合う。周りの学者や他の棟梁たちも活発に話し合っている。しかし何回か乗ってみると
パンっ
とゴム部分から破裂音が聞こえ空気が抜けていった。それを見たフウマは破裂した内部のチューブを見ながら
「これは内部のチューブにまだ改良の余地がありますね。三日ほど待ってください。仕上げますから」
「だったら車輪以外の部分でまだ改良したいとこがあるからガルズたちはそこをお願い」
「ああ、任せな」
そして三日後翔が考えた新型の馬車が完成した。そして乗ってみると
「これはすごいな。一度乗ったら今までの馬車じゃ物足りなくなるぞ」
「じゃあ、明日早速みんなに見せようか?」
フウマとガルズたちが完成品に納得していると翔が今後の予定を話し出す。
「皆って誰ですか?翔さん」
フウマの質問に翔は何人かの人物の名を話し出す。
そして翌日首都メルトホルン近くの広場に人が集まっていた。そのメンバーは翔と懇意のあるメルトホルン、シグル、アージェンダイル、ゼルドロス、マーシャル、オオエド大陸の各王族と各ギルドマスター、ベルマン商会や他の商人など。ちなみに周囲には聖が結界を張っているため安全性は折り紙付きである。
早速翔が話し出す。翔の後ろには布がかぶせられた新型の馬車がある。
「みなさん、お集まりいただきありがとうございます。今回は俺、ガルズ・エリザベート・シーラの各建設会社の職人、フウマをトップに置く研究所の皆さんで新しい馬車を作りました」
と翔が合図を出すと布が外され新しい馬車が現れる。その姿を初めて見た一同はおおーと感嘆の声を上げる。タイヤ部分にはゴムが、車輪部分には金属、実際に人や荷物を積み込む部分には金属と木材を組み合わせた素材が使われていた。
「今回作ったのは人が乗ることを考えた型と荷物のみを乗せる方です。詳細な説明は後でするのでまず乗ってみて乗り心地を確かめてください」
そして一通りみんなが乗り終わったあと
「「あれ欲しい」」
全員が新馬車の魅力にメロメロだった。翔は皆を落ち着かせると説明を続ける。
「あとで注文は受け付けるから先に解説だけさしてください。まずタイヤをタイヤ部分を金属、ゴム製にすることで耐久性、乗り心地をよくしました。さらに人や荷物を乗せる部分にサスペンションと呼ばれるばねをつけることで皿に衝撃を吸収しやすくなってます。さらに馬車の付属品として」
翔は地面に溝を作るとその場所へ馬車のタイヤを脱輪させた。
「ふつうこのままでは車輪を溝からどけるのは大変ですけどこの道具を使うと簡単に取り外せます」
翔は棒状の道具を取り出し、車輪が落ちたほうの車軸に立てかけ道具の下についているフットペダルを踏み始めた。すると棒状の部分が伸び馬車の車体が上がり始め車輪が溝から外れた。翔はすぐに溝の上に板をはめ込み、道具についているボタンを押した。すると棒状の部分が縮み車輪が地面におりた。
「この道具もセットで販売したいと思います」
昨日pv:1521
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