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敗戦  作者: 肉球
1/1

クーデター

新聞に首相襲撃のニュースが乗っている。

軍人が首相官邸に乗り込み首相は殺されたらしい。

「阿呆な。」

憂国龍彦は呟いた。

我が国は2度の外国との戦争に勝ち磐石たる自信をつけていた。しかるにアリカ国を始め列強諸国はここにきて我が国を恐れだしたらしい。

補助艦保有量が制限されることになった。

我が国を恐れている証拠だった。

しかし首相が襲撃されるとは前代未聞である。

新聞記者の憂国龍彦はさっき入った情報に何度も

「阿呆な。」

と言っている。

「呟いとる場合じゃないやろ。」

横のデスクの立山が言う。

立山金光とは同期だった。

「しかしやな、首相が殺されたてこれ。」

そう言って憂国はそう書かれた紙をひらひらと目の前で回す。

「どないなんねんこれから。」

「知らんがなそれより早う記事を書くんや号外やぞ。」

立山は言う。

憂国は急ぎデスクに向かう。 記事を書きながらこれからの我が国の行く末が不安になってきた。


それから軍部は力を持つようになった。

誰も面と向かって軍部に物を申せなくなった。

新聞も同様軍部の意向にそったことを書かなければいけなくなる。

「こんままじゃ戦争になるんじゃないんか。」

憂国は言う。

立山がおいという。

「めったなこといいんな。」

今はどこから軍部に会話が伝わるとも限らない。

生きにくうなった、たまらなかった。

なんで新聞記者が好きに物を言えんのや阿呆かいな。

そう思うがさすがに誰にもそれは言えなかった。

今日も政府を誉めちぎる記事ばかり書いている。 内心戦争になるのではと不安で仕方ない。


街は不穏な空気に包まれている。

「おい、お前身分証明書を見せろ。」

憂国は家に帰る途中軍人に声をかけられた。

「はい。」そう言って今年から携帯を義務付けられている身分証明書を見せる。

「日売新聞の記者か、我々のおかげで飯が食えてるんだしっかりお国のために励め。」

「はい。」


家に帰ると新井がいる。同居している住人だ。

彼は空軍に入っていた。

「あー、疲れた。」

憂国は帰るなりそう言って倒れこむように畳に横になる。

「なんだ帰るなり。」

新井駅はそう言って読んでいた本をおいた。

「生きにくうなったなあ。」

憂国の実感だった。

「新聞記者になんてなるんじゃなかったわ。」

憂国は言う。

「なに読んどんねん。」

「夏目漱石だよ。」

新井駅はそう言う。

「軍人は小説なんて読んだらあかんの違うんか。」

「なりたくてなったわけじゃない。」

そう言って新井は笑う。

「親が軍人になること願っとったんやったなあ。」

しかしそれには新井は答えなかった。

「もうすぐ戦争になるかもしれん。」

新井は呟いた。

「ほんまか。」

憂国は驚き起き上がる。

「どことや。」

「アリカとだ。」

アリカは世界最強の国家だった。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

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