表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/94

~番外編~クリスマスのお嬢様

 ピポピポピッポーン!と、急ぎすぎですねと言いたくなるようなインターホンの連打に、誰が尋ねてきたのか大体想像がつきました。


 しかし土曜日の午後八時という中途半端な時間です。今から何の用事でしょうかと不思議に思っていると、さらにヒートアップしたチャイムの音が鳴り響きました。

 生憎と家にはインターホンにカメラもマイクもついてはいませんので、そのまま玄関へと向かいます。

 そうして最近少し建付けが悪くなったかなと思っている玄関の扉に手をかけた瞬間、暗い夜道を背景に、息を真っ白に吐き出している雫さんとばっちり目が合いました。


「クリスマス会をするわよ、うらら」


 決定事項のように言われました。相変わらず唐突なのが雫さんらしいと言えばいえるのですが、はて?今日、雫さんは下弦さんとデートではなかったのでしょうか?


「でえとぉー?っは、何それ」


 いえいえ、ごまかしても無駄ですよ。金曜日にあれだけ私の前で二人、いちゃいちゃしながら楽しそうに話していましたよね。


 私の言いたいことをわかっていながらも、それをきっちり無視されて、リビングへと入っていく雫さんです。


「あ、雫ちゃん!いらっしゃーい」

「きらら、元気だった?」


 私とはあれだけ色々とあってから、ようやく名前を呼びあうお友だちになれたというのに、雫さんときららちゃんは紹介したその日からあっという間に慣れ親しんでいます。

 なんでしょうか、少し嫉妬しちゃいますね。


 でもそれを部活の時に湖月さんにお話したら逆に、「俺が隣にいるのに他の子に嫉妬するの?」と言われて皆さんの前でぎゅっと抱きしめられてしまいました。


 しばらく拗ねてしまわれ、大変恥ずかしい思いをしたので、その話は二度と口にしないことにします。そもそも、自分の家族と友だちの仲がいいということは良いことですものね。


「それで、クリスマス会とは一体どういうことでしょうか?」

「そのまんまよ。ケーキ食べて、チキン食べて、プレゼント交換するの」

「……確かにそのままですね」


 私のイメージするクリスマス会そのものでした。

 けれども私の記憶が確かならば、雫さんは今年のクリスマスイブは、恋人の下弦さんと一緒に過ごされると言っていたと思うのですが?


 あと、申し訳ありませんが、私の方も、その……湖月さんと約束がありまして、ですね……


「流石にイブにやろうだなんて思ってないわよ。終業式の日、23日にするから」

「ああ、そうですか」


 少しホッとしました。でも23日といえば、もう明後日ですね。まあ私が考えるようなクリスマス会ならば、準備もなんとかなるでしょう。

 でも突然どういったことでしょうか?ちらりと上目でうかがうと、雫さんは憮然とした表情で語り始めました。


「見解の相違ってヤツね。大体、朧くんにはいまいち庶民ベースのイベントってのがわからないのよっ。もうね、正装してパーティーの連続に飽き飽きなのぉ!」


 はー……、確かに湖月さんや下弦さんといった上流のお家の方々は、未成年とはいっても社交のお付き合いが必須なようで、私も湖月さんと一緒にパーティーに参加することもあります。

 大変美しく洗練された場でのそれは確かに堅苦しいもので、前世(ラクロフィーネ)を思わせるものですからあまり出ていきたくはないのですが、そこはやはり大好きな人とそのお家の方と上手にやっていきたいという思いもありますので現世庶民の私ですが頑張っています。


 しかしそんなことをいっていますが、雫さんは大きな会社の社長令嬢、充分にお嬢様育ちなのです。

 庶民生まれの私とはほど遠くパーティーには慣れていると思うのですが、どうでしょう?


「言っとくけどねえ、私のお母さんは未だにバリバリの庶民感覚だし、私だって前世じゃあ庶民中のド庶民よ!あんたみたいに根っこがお貴族様とは違うんだからねっ」


 庶民生まれを全否定されてしまいました。

 余程ストレスが溜まっているのでしょう、随分と息も荒いようですので、ここはできるだけ望み通りにして息抜きをさせてあげた方がいいと思います。なんといっても、私の一番のお友だちですものね。

 それでは、と早速口にしようとしたところ、やっぱり台詞を取られてしまいました。


「じゃ、雫ちゃん。家でやる?クリスマス会」

「お、いいの?やるやるー!」

「23日から25日はお父さん出張だし、お母さんも遅番で夜遅いからちょうどいいよ。あ、っと、はる兄もその日は高校の推薦面接日だから、いないじゃん」


 壁にかかったカレンダーをチェックしながら、きららちゃんが楽しそうに予定を並べていきます。

 雫さんもそれに呼応するようにふんふんと頷いて、じゃあさ、と続けて言いました。


「それならクリスマス女子会ってことで、女だけで楽しむわよ!男子禁制ね、うらら、きららっ!」

「いえーい!お姉ちゃんケーキ作ってね。私、飾りつけするー」

「私は料理持ってくるかー。あ、プレゼント交換は気持ちだから何でもいいわ、特にきらら、お金かけなくていいからね。さー、そうと決まれば早速準備しなきゃ。じゃあ、またね!」


 そう私の口を一切挟む間もなく一気に捲し立てられ上げ、あっという間に雫さんは去って行きました。

 恋人ができて少しは落ち着くのかとも思いましたが、雫さんは相変わらずです。

 でも元気があるのはいいことですし、何よりお友だち同士でのクリスマス会には私も憧れがありました。ケーキを作るのも久しぶりですので、明日には材料も買ってきましょう。

 あら、なんだかとてもウキウキしてきます。そうして明日の予定をたてながら、もう一杯と紅茶を淹れなおすことにしました。


***


「は?」

「だからー、今日はうららのところでクリスマス女子会だから、じゃあね」

「え、ちょっ……何、聞いてないんだけど、雫」

「今言った」


 それはそれはつれなく、デレもなく、雫さんは下弦さんへと向かい言い捨てます。

 私たち三人は同じクラスですので、わざわざ会おうと思わなくても教室で顔を合わせることになるわけです。どうも、土曜日に雫さんを怒らせたという自覚のある朧さんは、今日なんとしてでも機嫌を直してもらおうと意気込んでこられたようですが、あっさりと切り捨てられてしまいました。

 ちらりとこちらを窺ってこられましたが、私のせいじゃないです。


 ちなみに私はこのクリスマス女子会のことは、すでに湖月さんに連絡済みです。

 なんと例のあの儀式後に私もスマホデビューをしたのですが、そのスマホでメンバーが私と雫さんときららちゃんだと伝えると、「楽しんでね」と、それは気持ちよく言っていただけましたよ。


 金曜日の夜から、今日まで湖月さんは月詠家のリゾート事業の為に、望月さんと一緒に北海道へ行ってらっしゃいます。そして帰りは午後になるということですから終業式には間に合いません。その為、久しぶりに離ればなれの週末となりましたが、電話は毎日していましたのでその時にお話ししたのです。


 そんな訳ですから下弦さん、こちらへ向かいすがるような視線を向けられても非常に困ります。


「いいじゃない、明日はちゃんと約束通り朧くんとこのパーティーに顔を出すんだから、今日くらいは好きに遊ばせなさいよ!」


 それでも食い下がる下弦さんにとうとうキレた雫さんが、最後通牒を突きつけ私の腕を取りました。

 ああ、どうやら二人で過ごすはずのイブに、無理矢理お家からパーティーを入れられたのが雫さんの癇に障ったようなのですね。これは雫さんの気持ちもわかりますが、流石に下弦さんも可哀想な気がします。


 色々とやりたい放題の湖月さんでも、最低限すべきお家のお付き合いなどは眉間に皺を深めつつもなんとかこなしています。今回の北海道行きもその一つでしたが、これからも何度かそういったことはあるでしょう。

 その都度お話をしていって、相互理解を深めていけばいいのですが、やはり今回はお付き合いしてから初めてのクリスマスということですし、このまま嫌な気分でイブを迎えるのもつまらないですよね。


 ですから、雫さんが席を離れた時に、彼女には内緒ということで下弦さんに一つ提案をさせていただきました。

 私の話を聞くや、大きく目を見張ると少しだけ考えるような顔をして、「うん」と小さく頷きます。ご本人にその気があれば、まあなんとかなるでしょう。

 それでは私も家に帰り次第クリスマス女子会の準備を頑張りましょう。金曜日に終業式を終えたきららちゃんは、朝からすでに飾り付けをしながら待っています。


***


「イエーイ!ハッピーメリークリスマース!」

「メリクリー!」

「メリークリスマス」


 パン、パン、パンッ、とクラッカーの音が自宅のリビングに鳴り響きます。

 きららちゃんが頑張って飾り付けたという高さ五十センチのクリスマスツリーが窓際に置かれ、折り紙で作った赤と緑、金と銀輪っかの飾りがリビングの壁や天井からぶら下がっていました。

 これはクリスマス会というよりもお誕生会のようにも思えましたが、雫さんには妙に大うけしていました。


 私の手作りケーキはイチゴのあまりの高さに躊躇した為、缶詰のフルーツ仕様でデコレーションが少し歪み、雫さん手製のチキンはなんと中華味の唐揚げ。

 クリスマスとは?と、思わず少し考えてしまいましたが、美味しければいいよねとの満場一致でクリスマス女子会はスタートいたしました。


 ちょこちょこと唐揚げやサラダを食べながら、最近観たドラマやら読んだライトノベル、遊んだ乙女ゲームについてなど感想を入れつつ話しました。これについては、自分でオタクだと宣言するきららちゃんと前世でやりこんだ雫さんの間に入っていくのは私には無理そうです。


「前世で入院してた病院のクリスマス会を思い出すわ。あれはあれで楽しかったけど、やっぱり友だちと一緒のクリスマス会は格別よね」


 そう言って笑う雫さんはとても楽しそうですが、ほんの少し物足りなさそうです。

 わかっていたことですけど、下弦さんが気になっているのでしょう。本当に、気が強くて意地っ張りですが、とても可愛いところのある私の大事なお友だちですから。


 そうして、そろそろケーキを切り分けましょうかというところでインターホンが一つピンポーンと来客を伝えます。


「あれ、誰だろう?」

「そうね、きららちゃん、雫さんと一緒にちょっと見てきてもらえるかしら?」


 ケーキ用のナイフを持った私がそうお願いすると、元気よく「はーい」と返事をして廊下がパタパタと鳴りました。雫さんは、「もー、インターホンカメラくらい付けなさいよ」と文句を言いつつも、きららちゃんの後ろについて行ってくれます。


 そうですね、誰か知らない人が来るかわかりませんし、防犯上インターホンカメラをつけた方がいいとは思います。思いますが……まあ今回はそれがなくてよかったかもしれません。


 一人、クスリと笑いながら、さあケーキは何個に切り分けましょうかと考えたところ、廊下の向こうで大きな笑い声が弾けるように響き渡りました。

 バタバタバタっ、と廊下を走る音が聞こえたかと思うと、リビングの扉がバンッと大きく開きました。


「っく、ぷ……。うららぁクリスマス女子会(・・・)へのお客様よっ!ちょっと、ほら、シャンとして!」

「や、待って、雫……このスカートってのが、歩きにくくって、さあ……」


 雫さんに腕を取られて私の前へと引きずり出されたその人は、茶色のふわふわの髪を後ろにながし、長い睫毛に艶のあるピンクのリップを塗った、赤いワンピースドレスの可愛らしい女の子……の格好をした下弦さんでした。


「いらっしゃいませ、下弦さん。お似合いですよ」


 ニッコリと笑って歓待すれば、「やだー、違うわよ。うらら」と恥ずかしがる下弦さんの隣でにやにやと笑顔を見せながら雫さんが言いました。


「今日はね、朧ちゃんよ。それか、朧子(おぼろこ)さん?そう呼ばないと、仲間には入れてあげられないわよ。だって、女子会だもの、ねーっ」


 あら、困りましたね。自分から提案したとはいえ、そこまで徹底しなければいけませんか?


 雫さんのお怒りをあまり長引かせてはいけないから女装して家にきてください。そうすれば雫さんのことですから、「女子会」への参加は絶対に断りませんよ、と。

 顔をヒクつかせた下弦さんですが、実行されたのですからやはりここは皆さんに倣いませんとね。


「では、朧子さん。今日はお一人でいらっしゃったのですか?」

「……いや、えーと……実は、」


 雫さんに腕を取られたままの下弦さんは、恥ずかしそうにスカートを気にしながら後ろへ顔を向けました。


 そこには、流れるような光沢の黒髪、切れ長の涼しい目元をした美しい人が立っています。

 潤んだ黒い瞳を縁取るように覆う睫毛がゆっくりと私に向けられると、それだけで胸がいっぱいになってしまいました。


「蝶湖さん……いらっしゃいませ」

「うらら、お邪魔するわね」


 その一言とともに、すっと手が差し伸べられます。私は躊躇なくその手の中に飛び込みました。


 湖月さんはあれから順調に身長が伸びていて、最後に蝶湖様として会ったあの時からするとさらに3センチは高くなっているようです。

 肩幅もがっしりとし始めていて、こうして蝶湖様の格好をしていても、随分と体つきが変わってきているようでした。


 それでも、以前と変わらない蝶湖様の笑顔に、ぽーっと見とれているとさらにその後ろから、何故ここに?と思う人の声がかかります。


「おいおいおい、その格好でラブシーンってのはやめとけよ」

「え?」


 蝶湖様の後ろに目をやれば、そこにはスーツにベスト、そして白手袋といった格好をした望月さんがいらっしゃいました。そしてその腕の中には一つの毛玉が――いえ、猫?


「女子会だろう?うちのお嬢様を連れてきた。ああ、俺は彼女の執事なので気にするな」


 そう言って、そのお嬢様、ベルガモット嬢をこちらへと向けました。

 ええと、写真はみせられたことがありましたが、実物はそれをさらに上をいく大変個性的なお顔立ちのお猫様ですね。


***


 ベルガモット嬢を「ブサかわーっ!!」と言って、大変可愛がっているのはきららちゃんです。

 きららちゃんの膝の上で撫でられ続けているベルガモット嬢も、そして何故か望月さんも、当然だといってはばからない態度は凄いと思いました。


 六つに切り分けたケーキを手渡しながら、雫さんと下弦さんを窺うと、なんだかもうすっかり仲直りしたようです。

 とはいえ、いつもの姿ではなく可愛らしい女の子の格好をしているため、なんとなく不思議な感じもしないでもありません。私のそんな視線に気がついた下弦さんが、照れたように笑いながら話しかけてきました。


「女装して来いって天道さんに言われた時には、どうしようかと悩んだけどよかったよ」

「雫さんは頑固ですから、そのままでは絶対に女子会の中へは入れてくれませんからね」

「頑固って……まあそうだけどさー」

「それに、下弦……いえ、朧子さんがこういったことをお願いするとなると、誰になるかはほぼ決まっているでしょう?」


 ちらりと蝶湖様の方へ視線を向けました。

 同じ年で、古くからの友人で、そして私たちの事情を全てわかっている人。すると、きららちゃん以外の皆さんがびっくりしたかのように大きく目を見張ります。


「……え?」

「まじか」

「あんたはー……」

「うらら……?」


 はい。きっと、下弦さんは湖月さんにお願いすると。そうして、きっと蝶湖様として一緒についてきてくれるものと思ったのです。


「だって、今の一番のお友だちは雫さんですが、私が一番にお友だちになったのは、蝶湖さんですから。どうせなら、一緒にクリスマス会をしたいなって思ったんです」


 恋人は湖月さんです。

 けれども私の最初のお友だちは蝶湖様でした。


 アメリカに留学されてしまったということになっていますし、そろそろこの格好も体格的に厳しくなってきているでしょうから、最後に一目でも会いたいと思ってしまったのです。


 雫さんに便乗してしまいましたが、そこは許してくださいね。そんな気持ちを込めて、軽く舌を出すと、雫さんは大きく吹き出しました。


「やっだ、うらら。あんためっちゃ強くなったわよねー」

「まさか、僕らのケンカを逆手に取られるとは思わなかったよ。まいりました」


 バンッと背中を思い切り叩かれました。少し痛かったですが、これくらいは仕方がありません。

 望月さんは両手を上に上げて笑っています。


 そして蝶湖さんといえば、私の横に座ったままじっとこちらを見つめています。

 まるで睨んでいるのかと間違えてしまいそうなくらいに、真剣に、強く。それから一つ息を吐き出して、私の頬に手を当ててくれました。


「うらら、好きだよ」

「ええ、私も好きです」


 湖月さんも、蝶湖さんも、大好きです。


「ずっと、これからもずっと俺の側にいて」


 勿論です。でも……

 近づく唇に、ぴとっと手のひらを当てて止めさせていただきます。人前でキスはダメですよ。それに――


「蝶湖さん、お友だち同士ですることではありません」


 ぐう。と、唸り声を飲み込む音が聞こえてきました。ちょっと着替えてくるという蝶湖様の言葉も、雫さんの「着替えたら入れてやんなーい」の一言に押し切られました。


 せっかくですので、このまま女子会を楽しみましょう。

 恋人の時間は、明日ちゃんとやってきますからね、湖月さん。



 ~番外編~クリスマスのお嬢様 お終い


 以下、その後のお話。



「ただいまーって、おいっ、何このカオス……うえぇ、マジか、女装湖月くん……」

「うるさい、はると。それより面接はどうだった?」

「あ?なんかもう即合格内定出たんだけど、いいのこれ?」


 ぴらりとはると君が一枚の紙を私たちの目の前に出しました。

 そこには確かに『合格』の文字が大きくのっています。今日推薦の面接で、合格通知とは確かに早すぎますね。


「よかったな。これでお前も来年から聖デリア学園の生徒だ。全国大会優勝なんだから、学費免除も当然だろ」

「いや、デリアって剣道部ねえじゃん」

「作るんだよ、来年から。だからお前を入れるんだって」


 望月さんまで参戦してきましたが、剣道部がないって初めて聞いたのですが、はると君もよく受けようと思ったものです。

 というか、なんだか作為的なものを感じてしまうのですが……


「ま、ただで剣道できるならいいか」


 そんな呑気に答えるはると君です。けれども、ふっと思い付いたように「そういやー」と言い出しました。


「なんかめちゃでかいリムジン?っての?その真っ白い車がさっき家の周りうろついてたんだけど、あれって湖月くん家のヤツ?」

「いや、一旦帰した。どうした?」

「なーんか、すごい高そうな女の子が乗ってて、こっち見てたから気になった」

「知らん。俺にとっての最上は、うらら以外にないしな」


 家族に向かって惚気られると何気に恥ずかしいですね。

 うーん、と顔をそらすと、妙な顔をした雫さんがその言葉に引っかかったように呟いていました。


「白いリムジン?」

「どうか、されましたか?」

「あ、ううん。なんか、思い出したようなー……まあいいわ」

「……そう、ですか」


 不思議とその雫さんの態度が気にかかりましたが、せっかくはると君も帰ってきたことですし、そのままクリスマス女子会は合格祝いも兼ねたパーティーへと突入していったのです。


***


「ふふふふふ。はるとくーん、待っててね。わたくし『太陽小町~エンジェルビートでつらぬいて~』の世界で、絶対にあなたを落としてみせる、か、ら、ね!」


 新しいアプリゲーム、『太陽小町~エンジェルビートでつらぬいて~』をダウンロードしますか?


 YES OR NO



***


 ……………… to be continued?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 相変わらずの面々で元気がでます [気になる点] NO、NO、NO、NO…あっYes押してた! はると君の未来に幸あらんことを祈ります [一言] なんか百合とかトランスとか付きそうで 全然そ…
[良い点] また蝶湖さまの姿を見れるとは! しかもうららちゃんとラブラブの蝶湖さま。 倒錯的で好きです! 雫ちゃんの発案の女子会からの展開に感動。 メリークリスマス!
2019/12/24 22:25 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ