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序章
木々の葉が触れ合う音。
小鳥たちの囀り。
温かな木漏れ陽。
柔らかな草の絨毯に、横になっている心地良い感じ。
土と緑の香りが鼻をくすぐる。
目をゆっくりと開けると、巨大な楠がそびえている。
楠公墓地の楠の巨木が、静かな時を刻んでいた。
シャン・・・シャン、シャン・・・・
境内の社殿から、巫女の華麗な神楽舞いを演じる鈴の音が聞こえてくる。
シャン・・・シャン、シャン・・・・
巫女が黒柄の鈴を鳴らしている。白衣緋袴の巫女衣装に、黒い柄の神楽鈴。
奇麗だと素直に感動した。
時折柔らかい風が、髪をなびかせる。
頭の上にチョコンと乗せた髪飾りには、小さな漆黒の珠が付いていた。
女の子は、他にお洒落をしていない。
近所の子が、やって来たという格好だ。
女の子は、昨日この町に引っ越してきたばかりだった。
境内を通り抜け、商店街へと続く道。
その先には大きな神社が、山麓に鎮座している。
今、女の子はこの四条畷市で未来に向かって、大きく一歩を踏み出した。
