エピローグ
自分がシルク達の王さまになると決まったからと言って、生活がガラリと変わる事はなかった。”斬気”からメンバーを決めないといけないし、王さまって何をするかもよく分かっていない。だから、取り敢えずは、神鳴学園に通いつつ、少しずつ仕事を覚えて行く。長期の休みには龍人族の国へ行って現地の人達と交流をする事が今の所決定している。
「シンイチ様!どうして日本の制服はこんなにも可愛いのですか~!」
龍人族の現状を知るために、父さん達が纏めてくれた資料を読んでいるとシルクがノックもなく部屋に飛び込んできた。
「シルク様・・・落ち着いて下さい」
振り向く暇さえなく、シルクに肩を掴まれている状態から脱出しようとした時にリアラの声が聞こえ、シルクの手が肩から離れて行った。
「いてて・・・そんなに慌ててどうしたんだい?」
やっと落ち着けてシルクに振り向く事ができた。そして、シルクを見た瞬間言葉を無くした。
シルクとリアラは神鳴学園の制服を着ていたのだ。
「シンイチ様どうですか?似合ってますか?」
「先程、制服が届いたので試しに着てみたのですが、シルク様が突然走り出してしまって・・」
金と銀髪を同じ髪型に揃えており、姉妹の様に見える二人。何故か興奮しているシルクをリアラが落ち着けそうとしている。
「え?・・うん。似合っているし凄く可愛いんだけど・・・なんで二人共うちの制服着てるの?」
てっきり、数日間滞在して国に帰るのかと思っていた二人が制服を着ている姿をみて色んな意味で動揺してしまった。
「聞いていないのですか?私達の役目は宝剣の管理と王の補佐です。シンイチ様が学園に通われているなら、私達も通うのが必然!ってことでお願いしたら、入学試験を受けさせて貰いました。流石有名校、凄く難しかったです。後、何故か生徒会長さんが面接に乱入してきて困りましたけど・・」
「・・・・全部初耳なんですけど・・それと、雫さん何をしているんですか・・」
落ちこぼれと言われ、家を追い出された。それでも、幼馴染やクラスメイトはそんな自分を受け入れてくれた。徐々にだが、”斬気”のメンバーとも笑って話せる様になってきている。今までも、辛い事が多くあったけど、楽しい事も多くあった。
王さまになって、色々考える事があるけど・・・
まずは
「・・・雫さん達に何て説明しよう・・・」
シルク達が帰ると思って、雫達に何にも説明していなかったツケが返ってきてしまった。
シルクが実は可愛い物に目がないという新事実をリアラから聞きながら、今まで見ていた資料を片付ける。
「・・・よしっ!色々頑張るか」
取り敢えずは、未だに興奮しているシルクを落ち着かそうと思う。
第一部はこれで終わりとなります。拙い文章でしたが今までありがとうございました。一応第二部の構成は考えていますが、この第一部の評価をみて考えたいと思います。