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私達の王さまになりなさい!  作者: 宇井琉尊
第四章 真の力
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シルクの開放そして

「・・・っと、ここが目的の場所だ」


リアラと話していたら何時の間に目的地に着いてしまった。


「ここは・・・・」


そう言ってリアラは周りを見渡すが、そこには何もない。少し開けた平

地。周りには木も無かれば大きな岩も転がっていない。ただ、所々に何

かに斬られた跡が地面に残っているだけの場所だった。


「ここなら手加減なく戦えるだろ」

「えぇそうね。ここなら人目に着かずに戦う事が出来そうね。それで、

これから何をすればいいの?」

「取り敢えずシルクを結晶の中から解放する。その後は・・・多分あい

つ等が来るからこのまま倒す」

「えぇ・・でもどうしてここなの?」


リアラは自分の武器を顕現させて首を傾げる。


「まぁ理由は三つ」


俺はリアラに向かって三本の指を立てる。


「一つは、まぁ今からする事は一応そっちの一族の秘密と言う事になる

はずだから人目が着かない場所が良いかなぁと」


結晶に囲まれている龍人族の姫とその宝剣。どちらもあまり人目に着か

ない方が良い。


「二つ目、ここなら無茶な戦いをしても周りに被害が広がりにくい。今

までの戦いをみていて気付いたけど、リアラは本気で戦っていなかった

だろ?」

「・・手を抜いていた訳ではないけど・・・私が本気だったら周りの建

物なんかすぐに吹き飛んでしまうからね」


リアラは苦笑して頷く。


「命のやり取りの最中に・・・優しいのな。でも、ここは何をしてもい

いから本気で戦ってくれよ?それで最後三つめ」


立てた最後の指を折りながらリアラをみる。


「これはけじめだ。シルクの事、宝剣の事、クロムの事。全部数年前の

俺が関わっている。だから・・・・・」


この場所は、儀式に失敗してからそれでも強くなろうと幼馴染達と一緒

に修行をしてきた場所だ。だから、この場所で・・神鳴家の次期当主と

言う夢を潰され、地道に修行してきたこの場所で決着をつけたかった。


「・・そう」


ここまで歩いて来るまでにリアラには全て話している。リアラが何を思

ったのか分からないけど特に何も言わすに頷いただけだった。


「・・それじゃぁ、シルク様をお願いします」


そう言ってリアラは剣を構える。徐々にその剣が光を帯びて行き


「・・はっ!」


剣を振り降ろせば空間に亀裂が入った。そしてその中から結晶に覆われ

ているシルクが出てくる。


「・・・確かこうだったか?」


出て来たシルクの前に立ち、水晶に手を当てる。そして、自分の神気を

水晶に流し込むように向ける。

すると、自分の身体の中から何か温かいものが水晶へと吸い込まれてい

く。

“中々楽しい時間でした。いつでもあそこで逢えるのもいいですが、や

はりちゃんとお話がしたいです”

“同感だ”

温かい何かが完全に自分の身体から出ていく瞬間に聞こえて来た声に苦

笑して頷く。


パキッ・・・・パキッパキ


すると水晶があちこちからひび割れていく。


「あぁ・・・」


その光景をリアラは涙を流しながらみている。そして


パリンッ!


最後に大きな音を立てて完璧に水晶は壊れた。そして


「・・改めましてご挨拶を・・・・龍人族の姫として宝剣の守り手の一

人、金龍の血を引き継ぐ者。名をシルクと申し上げます。・・・どうぞ

よろしくお願い致します」


結晶から出て来たシルクは綺麗に着地してスカートの裾を軽く上げ頭を

下げる。それは、本当のお姫様みたいで呆けてみていたが、すぐさま頭

を振ってこちらも頭を下げる


「・・元神鳴家次期当主候補、今は神楽家の居候の神鳴進一。今回の件

、足手まといにならないように善処は尽くす。こちらこそ宜しく」


お互い顔を見合わせてくすくすと笑う。と同時に


「感動のご対面も済みましたし、今度は私との再会も喜んで下さいよ」


パチパチと拍手が聞こえて闇の様な黒い鎌を持ったクロムがすぐ近くに

立っていた。


「ッ!」


慌ててクロムから距離を取って腰の刀、ここに来る前に父さんから渡さ

れた“紅姫”記憶があまりない母さんの形見の刀を抜いた。抜いた刀の

刃は少し紅く染まっていて何処か不思議な感じがした。


「ほぅ・・その刀、魔剣とは違いますが何やら違った反応がありますね」


クロムも何かに気が付いたのか目を“紅姫”に向けるがすぐにシルクへ

と視線を戻した。


「ですが、今回の仕事はこちらなので」

「今度は負けない」


シルクを庇うようにリアラが前に出て剣を構える。そしたら、手や足や

胸とかに銀色の何かが集まって弾ける。すると、今までの服装じゃなく

て最初リアラと逢ったあの騎士の姿になっていた。


「龍化の鎧ですか・・・ギリエがいれば簡単だったんですがねぇ・・こ

れは少し厄介ですね」


そのクロムの言葉に首を傾げる。確かに、クロムの隣にギリエがいない

。油断なく周囲を探っているとクロムがおかしそうに笑った。


「大丈夫ですよ。ギリエはなぜか“飽きた”と言って先に帰りましたか

ら」

「なぜだ」


もし本当に帰っているとしてもバカ正直に教える筈はない。こちらを混

乱させる為かと思うが


「だって最高じゃないですか!数年前とほぼ同じ状況!あの時死んだは

ずの少年がまた私の前に現れる。くくっ!あの時は余裕がなくて見逃し

ましたが、さぁ今回はちゃんとお姫様を守れるでしょうか?」


その言葉を聞いてギリッと奥歯を噛む。あの時よりも身体も大きくなり

修行のお陰である程度は戦えるようになった。でも、使える神気は極端

に少なくなった。あの時使えた神気を使う技は今は使えない。数年前の

自分と今の自分ではどちらが強いかと言われれば正確には分からない。

でも


「・・守ってみせるさ。俺自身も死ぬわけにはいかない。それが約束だ

からな」

「えぇ期待していますよ」


そう言って、クロムが徐々に自分の影に沈んでいく。

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