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私達の王さまになりなさい!  作者: 宇井琉尊
第二章 金髪少女の探し物
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探し物は向こうから

朝食を食べて腹が膨れたら眠たくなったが、そこは我慢して門の前でリ

アラと二人で立っている。


「それで、これからどうするのですか?」

「取り敢えず、今はその姫様が宝剣を無くしたと思われる四五年前の事

を調べる。宝剣というほどだからすごいんだろ?そんな宝剣がこの土地

で無くした若しくは盗まれたとしたら事件になっていてもおかしくない」

「・・確かに」

「その男の子探しはその後だ」


今は平日で普通に学校がある。話しに聞く限りその男の子は、姫様と同

じような歳。俺か上下二歳差ぐらいだという。だから、今近所の家に行

っても意味がないのだ

門の前から図書館へと歩き始める。図書館で何もなければ役所で聞いて

それでも無い場合は、一応“斬気”の所まで行くつもりだ。


「分かった。シンイチの言う通りにします」

「・・・なぁ一つ良いか?」


歩き始めたリアラをみて一つ質問する事にした。このまま何も喋らない

よりはましだろう


「なんだ」

「それだよそれ・・多分まだ日本語に慣れてないからだと思うけど・・

・会話の所何処で口調が変わるんだよ。昨日の夜みたいに砕けた口調で

も構わないんだが?」


芽衣さんとの謁見を終えた後リアラは、俺にも昨日みたいに砕けた口調

じゃなく芽衣さんに話していた口調で喋り出しのだ。


「すみません・・・さすがに協力してくれる相手、しかも、さっきの場

の雰囲気から貴方も身内なのでしょ?普通に話す事なんてできません」


確かに、身内といえば身内なのだが・・・


「なら、使いやすい方はどっちだ?」

「・・・それは・・昨夜の方が話しやすい・・けど・・」

「そしたら、そっちで良い」


なら話は簡単だ。リアラが一番使いやすい喋り方をすればいい。こっち

も急に畏まった話し方をされるよりはましだ。


「・・分かった」

「よしっ!なら、目的地に着くまで俺の話し相手になってくれ。無言で

歩くとすぐに睡魔にやられてしまう」

「いいでしょ。私日本は初めてだからここの事を良く知りたいし」


さっきの話で、リアラ達の事は聞く事は出来ない事は理解している。だ

から、自分の事、学園の事、幼馴染の事をリアラに話す。最初はリアラ

はただ聞くだけだったが、徐々に質問や自分の事や姫様の事を言える分

だけ言うようになった。その行為は、夢の中で初めてシルクに会った時

の様な懐かしい感じがした。



昼食を近くにあったコンビニですまし、一日近く使って過去の事を調べ

た。新聞や雑誌の記事、役所に行って神楽家の使いとして話を聞いたり

したが全然手がかりが出て来ない。そして、最後の希望として“斬気”

の施設に行ったが、いくら神楽家の人間だろうとおいそれと資料を見せ

る訳にもいかず、正式な手順を踏んでも数週間後になってしまうと言わ

れた。


「ケチケチしないで、見せてくれてもいいのに!」

「・・・さすがに、政府と絡んでいるから神楽家の名前だけじゃどうに

もならないか・・」


施設から出た瞬間、文句を言うリアラをみてもうちょっと粘れば良かっ

たかなぁと思うが、これ以上は神楽家に迷惑が掛かってしまう。


「それで、今度はどこに行くの?」


ブツブツと文句を言っていたリアラが近付いてくる


「もう、学校は終わった頃だから、あの男の子を探してみよう」


もう学園も終わって部活をしていなければ帰ってきている筈だ。俺と似

たような歳で昔からここに住んでいる男性は非常に少ない。しかも、強

い奴を探すとなれば必然的に神楽家分家の男達という事になる。若しく

は、神楽家とは全然関係ない一般人かもしれないが、その時はまた別の

方法を考えれば良い。


「まずは・・・やっぱり健一の所かな」


健一はあぁ見えて神楽家分家の中で飛び抜けて強い。しかも、あかねと

同様困っている人がいれば放っておけない性格だから十分考えられる。


「こっちだ」


健一の家に向かうように歩き出すとリアラは何も言わずに後ろから着い

て来る。


「・・・・ねぇ」


“斬気”の施設から離れて少し歩いた時、後ろにいたリアラが声を掛け

てくる


「・・分かっている」


リアラに言われる前から気付いていた。今歩いている道やその周辺に誰

もいないのだ。もう夕方で昼間より人通りは少なくなる時間だけどそれ

でも、人の気配が全くしないという事は考えられない。


「・・結界か」


大規模の結界が張られたらすぐ近くにある“斬気”に気付かれるから、

考えられるのは“おまじない”程度の結界だろう

目的の人を閉じ込めるのではなく、目的の人以外を排除する方法。人間

の無意識の所に「ここにいたらダメだ」とか「ここから離れなければ」

など植えつけるのだ。分かりやすい例で言えば、扉にお札が沢山張って

ある所には誰も近付かない、近付こうともしない。扉の向こうは何もな

いと説明しても、沢山のお札がそれを邪魔する。そういう心理的なもの

を利用するのだ。


「・・・心当たりは?」

「ある・・というより、昨日私を襲ったあの二人組しか考えられないで

しょ」

「やっぱり・・・だよな・・」


少しの希望を持ってリアラに聞くが、帰って来たのは想像していた通り

の答えだった。


あの二人組は強い。存在そのものが奇妙な男。最後リアラに向かってど

ういう攻撃したのかも全然分からない。そして、影から突如として出て

来た男。自分の身体より大きな鎌を持って攻撃してくる。どちらも自分

より強い事は確実だ。


「・・私から離れないで」


本当は男である自分が言いたい台詞だけど、今の俺じゃ足手まといでし

かないから素直に聞く。


「・・・またお会いしましたね」


どこからともなく落ち着いた男の声が聞こえて来た。

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