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私達の王さまになりなさい!  作者: 宇井琉尊
第二章 金髪少女の探し物
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金髪騎士の目的

家の中に入ると女騎士を志乃に任せて着替える事にした。さすがに、汚

れたまま面会する訳にもいかず、身体を綺麗にしてからという事で今女

騎士は風呂に入っている。


「・・・お兄様、お帰りなさいませ。お風呂が空いたそうです。」


部屋の外から命の声がノックと共に聞こえて来た。普段なら部屋の中に

入って来るのだけど昨日の今日ではさすがに入りづらいのかもしれない


「分かったすぐに行く。それと、今日は学園を休むから・・・」


連れて来た女騎士の事もそうだが、昨日の二人組の男達の事も一応報告

をしないといけないから学園に行けたとしても午後からだ。それなら一

日休んだ方が良い


「・・・お話は聞いています。あまり無理をしないで下さい」


命は結局部屋の中に入る事なく去って行った。時計を見ると学園に行く

にはあまり余裕がない時間だった。


風呂に入り身体を綺麗にして、雷の形をした刀が二本交差している神鳴

家の家紋が入った羽織りを肩にかけて廊下を歩く。一応今から向かう先

は神楽家現当主としての面会の為、説明をするこちらとしてもちゃんと

した正装じゃなければならない。本来なら神鳴家を追い出された為、神

鳴家の家紋を羽織る事は許されない事なのだが、なぜか特別に神鳴家の

名前と家紋は許されている。この事があるから雫は神鳴家の当主の座を

譲る事を諦めていないのだが・・・・


「・・・・」


屋敷の奥に一番大きな部屋がある。そこが、神楽家としての行事の際に

使われる部屋だ。部屋の入口には大きな扉があり二人の守り人が扉を守

っている。


「・・神鳴進一だ。今朝連れて来た女騎士の事で神楽家現当主である神

楽芽衣様にご報告をしに来た・・・通してくれないか」


一応二人とも同じ屋敷に住んでいて顔見知りなのだが、それはそれ。し

っかりと身体を調べ刃物など危険物がない事を確認してから一人が部屋

の中に入っていく。


「・・芽衣様の確認が取れた。入って良し」


部屋の中に入っていた人が出てきて二人同時に大きな扉を開いて行く。


「・・・ご苦労さま」


軽く二人に礼をして部屋の中に入る。部屋の中は、宴会も出来そうなく

らい大きく、壁や柱に至ってもかなり豪華なものになっている。そして

その宴会も出来そうな大きな部屋の真ん中にその女性はいた。背筋をし

っかりと伸ばし、慣れないであろう正座をして綺麗な姿勢で座っている

。昨夜結んでいた髪は解いており腰まで長い金髪がすごく栄えている。


「・・・何んでいつまでも立っているの?」

「・・あぁすまん」


気配を察知した女騎士に自分の胸の動揺を隠す様に歩いて、女騎士の斜

め前に座る。


「・・・だいぶ雰囲気が違うな」

「そうなのですか?」


後ろを振り返り、改めて昨日の夜であった女騎士の恰好を見る。

所々破れていたドレスは修繕しているのか着ておらず、代わりに白いワ

ンピースに上着を掛けているという服装だった。それが、騎士の姿では

凛々しいかったのが可愛らしい雰囲気になっていた。本人はあまり自覚

は無い様だがこの姿で街中を歩けば誰もが振り向く事間違いない。


「・・進一。あまり人様をじろじろと見るもんじゃないよ・・確かに可

愛らしいお嬢さんだけどね」

「・・・そんなんじゃないよ」


自分が入って来た扉とは別の扉から入って来た父さんの声に動揺を抑え

ながら振り向く。


「そう言う事にしとこうか」

「・・・・」


ニヤニヤと楽しそうに笑っている父さんの顔を見てただ項垂れるしかで

きなかった。こういう姿を見るといつも床に臥せっているのは嘘のよう

に感じる


「神楽家当主、芽衣様のご入室!」


父さんが上座と俺らが座っている丁度真ん中でどちらも視界に収まる場

所に座ると守り人の一人が大きな声を出した。それと同時に父さんが入

って来た扉が開きそこから綺麗な着物を着た女性が出て来た。赤を基準

とした花柄の着物の上に扇を二枚広げた様な家紋が入った羽織りを掛け

ている。神楽家当主神楽芽衣の正装だ。いつもは優しいお母さんという

感じだけど、その雰囲気は一切感じられない。


「・・・ごほん・・それじゃぁ進一説明して貰おうかな」


芽衣さんが上座に座ったのを確認してから、父さんが合図を出して来る。


「分かりました・・・・」


昨日の夜の出来事から女騎士をここに連れてくるまでの事を詳しく説明

する。

「・・・・と言う事で現在に至ります」

「お嬢さんから何か付け加える事がありますか」

「いえ、この方が言っている事で間違いありません」


さすがに先程までの砕けた口調じゃなく、しっかりとした口調で答える。


「・・そうですか・・」


父さんは一つ頷いて芽衣さんに視線を向ける


「・・大体の事情は分かりました。・・・それで、私に用事とは何のこ

とでしょう」

「その前に一つ確認したい事があります」

「なんでしょう」


当主の質問に答えす質問で返すのは、失礼にあたる行為だが芽衣さんは

気にした様子もなく首を傾げる(この態度が既に当主としての態度では

ないが・・)


「・・ここ一帯で力があると言われる家はここで間違いないのですか」

「そうですね。私達一族が最強かと言われれば違うと答えるのですが、

この一帯を守るという使命はこの家系でしかやっていけないとも思って

います」

「・・そうですか・・・最後に一つだけよろしいですか」

「何なりと」

「ここの当主か当主候補の中に男性はいますか」

「・・いいえ、いません。この神楽家当主は代々女性が継いでいます。

それに、男女混合でも私の娘が最も当主の座に近いです。・・・少し親

ばかが入っているかもしれませんが・」


当主の顔ではなく親の顔に戻っている芽衣さんをみて納得する。確かに

、命でしかこの神楽家は継げないだろう。


「・・・よろしければ、理由をお聞きしてもよろしいですか」


女騎士は少し脱力していた身体に力を入れて姿勢を正す

「・・・すみません。自分の事ばかり・・・先程の無礼の質問に答えて

頂き感謝します。お話する事は可能なのですが・・なにぶんこちらも手

探り状態でして・・しっかりとした答えが返せるかどうか自信がないの

ですが・・」

「それでも、誰かに相談してみるのも一つの手ですよ。しかも、この家

は日本の三家と言われる家の一つである神楽家。この名前を使いようで

は十分役に立つ筈です」


あたふたと慌て始めた女騎士に対してもう完璧に当主としての顔じゃな

くて親の顔になっている芽衣さんが声を掛ける


「・・・それでは、最初から説明させて頂きます」


その芽衣さんの笑顔に何かを感じたのかぽつぽつと女騎士が話し始める。

数日前に“血刀の集団”と言われる集団に襲撃されたこと

その襲撃で一族は皆バラバラになってしまった事

命を掛けてでも守らないといけない人を守れなかったこと

そして、その一番大切にしていた人が良く話に出していた日本人の男性

の話


「その、男性がどういった男なのかが不明なのです。姫様は“あの方”

としか言われませんでしたし」

「それがどうしてここだと?」


日本は狭い様で広い。ただの日本男子というだけでは何日掛けてもみつ

ける事が出来ないだろう。でも、女騎士は迷わずこの地を訪れている。

その事を不思議に思ったのか父さんが質問をする。


「姫様が日本に来た事があるのは二回です。その内最初の一回目がここ

で、その後私達一族の宝剣を無くしています。その頃から姫様の口から

“あの方”の話が出てき始めたのでここに住んでいる男性だと思ったの

ですが・・」

「もう少し特徴は無いのか?」


あまりにも漠然としているので横から口を挟む


「外見的特徴は何も・・・ただ“優しくて、頼りがいのある方”だと常

に言われていました」

「成程、だから強い奴を探していたのか」


大体分かった。この女騎士は「頼りがいのある=強い奴」だと思ってい

るのだ。


「強い男の子というのなら、そこの進一君か健一君かな?」


芽衣さんがこちらを見てくるがすぐさま首を振る


「それは無いよ。だってここに住み始めたのは数年前だよ。流石にそう

言う出会いがあれば覚えている筈だよ」

「ちなみに、彼女が来たのは正確には何年前?」

「多分、他の人達はジュニアスクールを卒業する頃ですから、大体四、

五年前でしょうか」

「なら、尚更違うね。だってその頃はまだ、あっちに居たし」


四五年前と言ったら丁度“心刀の儀”に取り組む前だ。だから、その頃

はまだ神鳴家本家の方にいる。命達と幼馴染と言っても年に何回かある

会合の時に一緒に遊んだ程度だ。


「そうね。健一君については私に秘密ごとをすればどうなるか分かって

いる筈だから、隠す様な事はしない筈だし・・・」


・・・・何やら、聞いてはいけない事を聞いてしまった様な気がするが

、自分の身が可愛いので聞き返す勇気がなかった。


「ごめんなさいね、どうやらあまり力になれないみたい」

「そんな、こちらこそこの様な相談ごとに耳を傾けて頂いて感謝してい

ます」

「その代わりと言っては何だけど・・」


芽衣さんがなぜかこちらを見て来る。


「その男の子が誰だか分からない代わりに、目の前の“頼りのある人”

にその人を探すのを手伝って貰うのはどうかしら」

「・・目の前の頼りのある人?・・・・まさか」


女騎士は芽衣さんの視線をたどってこちらを見る。驚き半分、そして大

丈夫かよという心配そうな顔半分の表情だ。


「どう?こう見えて進一君は結構やる時はやるのよ?」

「芽衣さんそれ褒めている?それとも貶している?」

「もちろん褒めているわよ」

「そうですか・・・」


にこにこと笑う芽衣さんには敵う筈もない。


「ってことだが、どうする?断ってもいいが、右も左も知らない土地で

自分一人だけで出来るとは思ってないよな」


今だあの変な表情している女騎士に声を掛ける。正直、芽衣さんが言わ

なければ自分から手伝うように言ってた所だ。


「・・・少し不安はありますが、宜しくお願いします」


確かに、自分に何が出来るか分からないがここまでストレートに言わな

くてもいいだろうと思うが決して口には出さない。

女騎士が差し出した右手に頭を掻きながら握手をする。


「はい。その話はこれで終わり。進一君はちゃんとその日の報告はしっ

かりしてね」

「分かっています」

「まだ、いろいろ聞きたい事があるけど答えられる事はある?」


握手を確認した後芽衣さんが改めて女騎士に尋ねる。女騎士が全部を話

していない事を理解していながら話せる事はあるかと聞く。それは、相

手に隠している事は分かっているぞというプレッシャーだ。当主らしく

ない仕草で話を進めているが、芽衣さんの事を何も知らない人がこのよ

うな会話をした場合、本人が気付かないまま全部を喋ってしまっている

という事は珍しくない。


「っ・・いえ何も・・・失礼な事だとは思いますがこれは、私個人の事

だけでは無くて一族全体の話なので・・・」


女騎士は一瞬びくりと身体を震わせてから深く頭を下げる。


「・・分かりました。ですが、最後に一つだけ良いですか?」

「私で答える事が出来るのであれば」

「そう硬くならなくてもいいですよ。ただ、貴方の名前を聞きたいだけ

ですから。もしかして、それも言えない事?」


芽衣さんに言われるまで気付かなかった。まだ、この女騎士の名前を聞

いていない。


「別に構いません。私の名前はリアラと言います」


その人の名前を聞いた瞬間、何処かで聞いたことがある様な感じがした

が良く思い出せない。


「では、リアラさん。・・・・お腹すいてません?」


その瞬間、ぐぅ~と腹の音が聞こえた。


「・・・・すみません」


というより、自分の腹の音でした。徹夜明けでまだ朝食も食べていない

状態なのだ。徹夜明けでまだ朝食も取ってないのだ。男してはもう腹が

限界だった。


「という、人がいるので一緒に朝食はどうですか?和食なのでお口に合

うか分かりませんが、私の娘が作ったものだからよろしければ・・」

「・・・ありがとうございます。それでは、お言葉に甘える事にします」


少し迷ったようだが結局一緒に食べる事になった。

芽衣さんが温め直した朝食はいつもの命の味がして、すごくほっとした

。この朝食はリアラにも好評で上手く握れない箸を懸命に動かして食べ

ていた。

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