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私達の王さまになりなさい!  作者: 宇井琉尊
第二章 金髪少女の探し物
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金髪少女騎士と黒鎌と奇妙な男

第二章もよろしくお願いします

誰もが寝静まっている夜中に自分が任されている地区を見回る。昨日は

、命達に止められて別の人に変わって貰った夜中のバイトだ。誰にも言

っては無い事だが、このバイトは現神鳴家当主様が神楽家に居候させる

条件として出されたものだった。もちろん拒否権は無かった。拒否した

らいかなる理由であろうと神楽家から追い出されるからだ。バイトの内

容は「人外対策組織“斬気”の見習い」だ。やることと言ったら、自分

の担当地区の見回り、そして異常があったら報告をするというものだっ

た。


“人外”この言葉はいろいろの意味を持っているが、“斬気”の標的と

なっている人外と言うのは、この世の恨みや悲しみ憎しみなど負の感情

が固まってできる存在を言う。外見はオオカミの様な獣の姿や力が強く

なると人形などそれぞれだ。ただ、どの形にも共通している事と言えば

それは人に恨みがあり、誰それ構わず襲ってしまうのだ。そう言った“

人外”を排除するのが“斬気”の目的だ。


人外が多く発生している現在だが、さすが神楽家本家がある場所だとい

う事か、人外の発生は大体月に一度ぐらいでの頻度しかない。


「・・・ん?」


月に一度の頻度しか人外が発生しないといえ、遭遇したら確実に殺され

てしまう事間違いないので、今日も注意深く見回っていたら少し離れた

所から何やら音が聞こえて来た。


「・・あっちか・・」


ポケットの中の携帯を握り、いつでも連絡が取れるようにして音がした

方に向かう。


ギィン!・・・ギォン!


音の方に近ずくに連れて、金属と金属がぶつかりあう音と化け物の様な

声が大きくなる。

どうやら、本当に誰かが人外と戦っているみたいだ。


そこで、ふと不思議に思った。今この場で人外と戦えるのは“斬気”に

派遣された人しかいない。でも、それなら連絡が来るはずなのだ。今ま

で歩いていてそんな連絡は一切ない。連絡が出来ない程切羽詰まってい

るのかそれとも・・・


誰かが戦う音が大きくなり、自分の気配を消して近付く。正確な場所と

敵の情報を連絡する為に、自分の目で確かめないといけないのだ。


「・・・・あ」


物陰に隠れながらそっと様子を見た瞬間、完全に思考が止まりその光景

に見惚れてしまった。西洋のドレスの上に肩甲や胸甲、籠手と脚甲を付

け自分の身体より大きな剣を振るい、次々に人外を倒して行く。剣を振

るう毎に、人外を倒すたびに綺麗な金髪が月光にきらきらと光り、自分

が何をしなくてはいけないとかすっかり忘れてただその光景を目に焼き

付ける。


「おやおや、盗み見とは感心しませんね」

「ッ!」


すぐ後ろから声が聞こえ咄嗟に後ろに飛び下がりながら右手を前に出す


ギイィイン!


いつでも連絡が出来るように持っていた連絡用の携帯が真っ二つに切ら

れた。


「中々いい判断ですね」


月光によって作られた影の中から、三日月を思わせる大きな鎌を持った

男が出てくる。


「ぎゃーはは!そっちにもいたのかよ」


誰もが寝静まっている静かな夜に不釣り合いな笑い声が聞こえて来た。

声の方を向くと奇妙な格好をした男が金髪の女騎士と対峙していた。何

が奇妙かと言えば男の存在自体が奇妙で具体的に言えば、細い剣の刃の

部分を握って構えているのだ。


「なんで、こんな時間に人が・・」


女騎士は俺の存在に困惑している様子だった。


「さて、これはどうしたものでしょう」


影から出て来た男は、すごく困った表情で全然困っていない声で話しか

けながら一歩一歩近づいて来る


「・・・お前ら一体何者だ」


周りを警戒しながらじりじりと後ろに下がる。一応腰に刀を下げている

がそれに手を掛ける隙もない


「こんな時間に武器を携えている。ただの一般人では無いですが・・・

残念です。えぇ非常に残念でしょうがありません」


影から出て来た男は奇妙な男と並ぶと少し大げさに両手を広げる。


「なんだ、あれは違うのか!?」


奇妙な男はこちらを見てくる。正確には腰に掛けている刀を・・


「えぇ・・そちらのお嬢さんの剣の方は非常に魅力的なのですが・・・

どうやら時間の様ですね」


そう言って男は周囲をさっと見渡す。

・・・気付かれた!


連絡用の携帯が壊れた時点でこの場所にSOS信号が発信されている。

その信号を元に“斬気”の隊員がこちらに向かって来ているはずなのだ

。あの男に気付かれた時に、確かに自分より強く下手に動けないという

事もあったが、この場にこの二人を留めておく為にもこの場を離れる訳

にはいかなかったのだ。


「では、またお会いできることを楽しみにしています」


大きな鎌を一振りすると、二人の影が少し歪み二人の身体が影に沈んで

いく


「待て!」


影に沈んで行く二人を止めようと女騎士が飛び込んで行く。


「・・・なぁ・・俺って剣持っているかい?」


影に沈み込みながら奇妙な男が刃を握っている剣を見せつける

その瞬間、理由は分からないが物凄く嫌な気がして慌てて女騎士を追い

かける。


神鳴家体術“矢足”


神鳴家は速さが特徴な家系だ。その内の踏み込みの速さに重点に置いた

体術それが“矢足”だ。止まった状態から矢が飛び出るように一気に加

速する。


「それがどうした!」


女騎士は止まらず、そのまま男達へと駆ける。

鎧が邪魔なのか、それとも今までの戦闘の疲労があるのか徐々に距離を

詰める事が出来るがあと一歩届かない


「それは・・・本当かい?」


その言葉を聞いた瞬間ゾクリと背筋が凍った様な気がした。


「間に・・合え!」


女騎士を止める事も、引っ張っる事もできない。だから、近付いた背中

をバランスを崩させるように押す。


「何を!」


背中を押された女騎士は前に倒れるようになりながら、押した俺を睨み

つける。その瞬間


シュン!


今まで女騎士の頭があった所を何かが通り過ぎて自分の前髪を何本か斬

って行った。

自分もあと一歩踏み出していたら確実に殺されていた。


「あ~あ・・お前は結構遊べそうだな」


奇妙な男は感心したようにそして、ゾクリとするほどの笑顔を見せなが

ら、剣を持っていた筈の手を振りながら影の中に消えて行った。


「・・・!」

「おい!ちょっと待て!」


女騎士は、一瞬呆然としていたが突如として起き上がり夜の暗闇の中に

駆けて行く。


「・・無事か!」


女騎士を追いかけようと足に力を入れようとした時に次々と“斬気”の

隊員が集まって来た。


「・・・何があった」


この地区を担当しているリーダーが到着して今までの経緯を最初から報

告する。

と言っても自分でも何が何だか分からないのだけど。

取り敢えず、今日はこの場で解散となり疲れた身体を引き摺って家に帰

る為に歩き出す。


二章より章節を纏めて短くしていきます。

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