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僕は今日も夢を見る  作者: Freyja
1/10

0.5

気が付くと、見覚えのない場所に立っていた。

住宅街のようで、周りには家が建ち並んでいる。

まだ空は明るいのに、人の気配は無い。

さっきまで何をしていて、どうしてここにいるのか、全く思い出せなかった。

とりあえず家に帰りたいので、歩いてみた。

道をどんどん進んで行く。しかし、やはり周囲の風景に見覚えは無い。

仕方が無いのでそのまま進んで行くと、真っ白な、金目銀目(オッドアイ)の猫がいた。

僕は、猫が好きだ。

友達から「猫」と呼ばれるくらい好きだ。

猫に近づいて、抱き上げてみた。

「こんにちは」

僕は猫に言う。もちろん返答なんてあるはずは─────

「降ろせよ、人間」

…………なくもなかった。まあ、猫が喋るということは─────

「ふむ、夢か」

不機嫌そうに猫が言う。

「夢でもなんでもいいが、早く降ろせ。引っ掻くぞ」

慌てて猫を降ろす。そのまま猫は歩き出した。

「あ、待って」

聞こえているのかいないのか、そのまま行ってしまう。

「待ってよ。ここから帰りたいんだ。どうやったら帰れるの?」

僕は猫を追いかけて、細い道に入って行った。


夢中で猫を追いかけていくと、小さな広場に出た。その真ん中に何故かマンホールがあって、その前に猫が行儀よく座っている。

「ここは……?」

「夢世界の門だ。そこの穴が出入口だよ」

ぶっきらぼうに猫が言う。どうやら僕がついて来ているのを知っていて、連れてきてくれたらしい。

「ありがとう。ここから帰れるんだね?」

「ああ、ベッドから落ちて目が覚めるよ」

「それは嫌だな……」

僕が苦笑してマンホールから少し離れると、

「行かないのか?ずっとここにいてもいいが、永眠するぞ?」

「いや、行くけど……ていうか僕、ここに来なかったら永眠してたのか」

また苦笑しながらマンホールの縁に立つと、

「早く行けよ。いい感じにスッキリ目覚めるぞ」

そう言って猫が僕を押した。

「そりゃあベッドから落ちればね」

そう突っ込むまもなく落ち、辺りは暗闇に包まれた。

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