朽ちていく蝉
Ⅰ(鳴けない蝉の悲しみ)
青空の下 大木に陽の光がぶつかって
蝉が鳴くのだジリジリと 雲一つない夏模様
その大木に一匹の鳴けない蝉がとまっては
周りの蝉はジリジリと その悔しさに涙落つ
土の中では懸命に色々な難切り抜いて
多くの年を生きてきた そしてここにて成虫に
しかし体に害ありて 鳴けずにここにとまるだけ
真夏の中でジリジリと 夢見たメロディ胸を刺す
悔しさあまり消えたいと鳴けない蝉は嗚咽する
死を望む日々 だが術を教えないのだ本能が
小さな声で咽び泣く 小さな涙 土濡らす
夏過ぎる頃 まだ蝉が鳴き続けてるひねもすに
道の中にて一匹の鳴けない蝉の死体あり
メロディは響くジリジリと 死体に刺さる夢ありて
Ⅱ(鳴けない蝉の追憶)
闇を見つめる我が運命
真っ白の夏 太陽よ
視界が赤く染まりける
悲しさだけが胸にある
鳴けずにいるよ我だけが
鳴くことできず我孤独
悔しさで胸痛くなる
変わりはしない 日は過ぎる
何故、我だけがこうなのか
夏も命も終わる頃
鳴けずにいるのだ我だけが
毎日の夢 唯の夢
一回きりのこの命
夏 夢 命 朽ちていく