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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeγ-
336/344

-Episode49-

「それでね、あの子急に朔君の――」

 怜の愚痴は随分と長く続いた。話なんてほとんど聞いていないが、とりあえず舞に対する不平不満であることだけは間違いない。……どれだけ彼女のことが嫌いなんだろう。そこまでいくと、むしろ嫌いを通り越して好きになっていたり?

「それはない」

 怜はきっぱりと僕の意見を否定してきた。そこまで強く否定されると……いや、これ以上は同じことの繰り返しになってしまうからやめよう。

「それはいいんだけど……朔君、まず朔君が浮いている説明ぐらいはしてくれないと、私も朔君の言い分とか朔君のやりたいこととがが分からないよ」

 怜は僕がなぜ浮いているのかが気になるようだ。もしかして、怜はどうやって魔法が使えるようになるのか知らないのか?

「どうやって、かぁ……考えたことないなぁ、私は生まれた時から魔法が使えたからね」

 怜はそう言って、水を噴射させて浮いているらしいボードでくるんと回転してみせた。ほぼ無意識で魔法を使いこなせているな。僕みたいに球体を意識してイメージをずっと片隅に抱きながら魔法を使っている訳でもないし、ストレスはほとんどなさそうだ。

「うん? 朔君魔法使うの初めてなの? なるほどなるほど、じゃあ私が魔法の使い方について色々レクチャーしちゃうね!」

 怜はかなりやる気を出して魔法の使い方についてレクチャーしようとしていた。

「べ、別にいいよ……」

 魔法を日常的に使っている怜から見たら特に考えたことがないのかもしれないのだが、僕が魔法を使ってみて初めて、魔法というのは人の手に余るものだなと改めて思うようになった。この力を使えるのが当たり前だと思ってしまったとき、僕は何か超えてはならない線を越えてしまっているような気がしてしまう。

「――ふーん。朔君が何を考えているのか、完全に理解することはできないけど、私は朔君が思っているようなことにはならないと思うけどなぁ。実際便利だし色々と使い勝手もいいと思うけど、魔法に完全に頼ったり、魔法のない生活が考えられなくなるほどじゃないし」

 僕が考えていることをいつの間にか怜に読まれ、そしてそれに意見されたことがなんとなく恥ずかしくて、僕は一瞬球体のイメージが乱れる。直後僕の魔法が乱れ始め、安定していた僕の姿勢は揺らぎ始めた。

「さ、朔君?」

 怜が心配そうに声を掛けてくる。とりあえず落ち着くんだ。僕はイメージを維持したまま、深呼吸をして落ち着く。

「そうだよね、朔君は魔法を使うのに慣れてないもんね……。じゃあ下手にいじったりしないほうがいいかな? 朔君の魔法がなくなっちゃうと地面に落ちちゃうもんね」

 怜は僕の様子を見て、そんなことを呟いた。確かに魔法の使い方に関してはまだド素人だし、危険性があるならなるべくその危険は避けたい。

「でも私的には朔君はいじり倒しておきたいというか……うーん、難しいね!」

 怜は満面の笑みを見せた。すっごく楽しそうだな。僕をいじり倒すことがそんなに楽しいのか……そこまで無邪気な笑顔を見せられると、逆に嬉しくなってくる。

「嬉しいの? じゃあむしろ落とすところまで行ったほうがいい?」

「いや駄目だよ! 落ちたら死ぬよ!」

 いつも通りの怜が現れて、僕はすかさず合いの手のようにツッコミを入れた。

「……とにかく! 今は急いでいるんだ。怜も、フードを被った男の危険性はしっているはずでしょ? 今それで舞さんが危機に陥っているかもしれないんだ。だから急いで探さないと……!」

 僕の言葉を聞くと、怜は複雑そうな表情を浮かべる。

「え、あの子が? ……うぅん、彼女がピンチになるなんてよほどのことがない限りそんなことはないと思うんだけど……あのフードの人もそんなに危険な人物にも見えないけど」

 いや、危険人物以外の何者でもないと思う。ただ、舞がピンチに陥る可能性が低いというのは僕も同意できる。でも、あのもう一人のフードの人が魔法を封じる手段を持ち得ている以上、舞さんがピンチに陥らない可能性も同様に低くなっているのだ。それにしても、怜は随分と舞について知っていたりするんだな。

「え、私が赤子ちゃんについて知っているのは、朔君にあの子がすり寄ってきたときに撃退するためだから……」

 怜は戸惑った様子で変なことを言っていた。舞が僕にすり寄ることもないだろうし、そんな彼女を撃退しようとする怜の思考回路がいくらか危険だ。

「まぁ……なんとなく分かったよ。じゃあ私もその赤髪の子を探すね」

 怜は事情を理解したのか、頷いて、舞を探してくれることになった。

「ありがとう。じゃあ、舞さんを見つけたら、携帯電話に連絡を入れてね」

 僕は懐から携帯電話を取り出して、怜に見せる。彼女も携帯電話を取り出して、理解したという合図をした。そして、僕と怜は舞を探し始めたのだった。

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