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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
192/344

-Episode81-

「何? 情けをかけたつもり?」

 舞は突っかかるように話しかけてきた。

「いや、そうじゃないんだけど……」

 僕はどう答えたらいいか分からず、当惑する。彼女に対する情けが無いというわけじゃない。でも、それが全てでもないのだ。

「……ちっ」

 彼女は僕が何も答えないのを見ると、舌打ちをしてから炎を噴射し上空に舞い上がった。撤退したのだろうか。魔法を使うのにそれほど疲労はしないはずだが、例外があったのだろうか? とりあえずここでじっとしていると炎が消えて黒い異形がやってくるから、怜に頼んで氷の階段を作ってもらい、弥奈たちのいる所まで登る。

「大丈夫だったか?」

 迅が心配そうに僕を見る。僕は火傷の痕を見せ、そのぐらいしか傷を負っていないと教えた。迅は重傷でないことに安心したみたいだが、それでも僕の火傷を心配しているようだ。迅は弥奈にどこか安全なところに着地するようお願いした。弥奈も頷くと、建物の上に僕たちを着地させる。そして、

「朔さん、耳、見せてください」

 そう言った。虹魔法で治してくれるのだろうか。僕は彼女に耳を見せる。少ししてシャボン玉が弾けるような感覚が耳に来ると、さっきまで感じていたじりじりする耳の痛みはすっかりなくなっていた。触れてみると、すっかり元通りになっている。

「へぇ……すごいね」

 僕は素直に感嘆する。彼女の虹魔法の利便性はなんだかこの世の法則を捻じ曲げ兼ねない気がするが、今はそのおかげで僕たちが助かっているのだ。そんなことを気にする必要はない。

「そうだ、その魔法で優奈の居場所とか分からない?」

 僕は今更思いついたアイデアを弥奈に聞いてみる。すると彼女は少し申し訳なさそうに俯いて、

「ごめん、なさい……何か、妙なものに、邪魔されて、上手く、探せません」

 と言った。なるほど、おそらく杣が弥奈の捜索を妨害しているのだろう。杣は優奈に、もしくは優奈を利用して何をする気なんだ?

「とにかくこの裏通りにいるらしいことは分かってるんだ。早く見つけて優奈ちゃんを安心させてあげないとな」

 迅は場を仕切るような形で言った。ゴル先輩は腕を組んで大きくうなずき、弥奈と怜は軽く返事をした。僕も三人に続いて頷く。まぁ、優奈が見つかって一番安心するのは僕のような気もするが。

「うむ、そこで某から一つ、提案がある! 優奈殿の安否が確認できない中、一つにまとまって行動するのは少しばかり遅すぎる気がするのだ! それ故に、これからは数グループに分かれて行動せぬか?」

 ふと、ゴル先輩がそんな提案をしてきた。……かなり危険な行為だと思うが、確かにこのまままとまって行動しても、この広い裏通りを探し切るのは骨が折れる。

「某は一人でも大丈夫だからな……うむ、残った四人は四人で行動するか、二人に別れて行動するか選ぶとよいぞ!」

 ゴル先輩は自信に満ちた表情でそんなことを言う。まぁ彼のことだから大方事実だろう。とすると、問題は僕達だが、

「じゃあ私と朔君、迅と弥奈ちゃんで決定だね! いぇーい!」

 なんだか即決されてしまった。

「あの、僕は何の戦力にもならないけど、いいの?」

 僕は怜に聞いてみる。すると怜は自信満々に親指を突き立て、

「朔君なら大丈夫!」

 全く根拠のない自信でもって返されてしまった。僕、何の魔法も使えないんですが。先ほど起きた奇妙な現象も、何のことだかさっぱりだったし……あれが僕の魔法なのか? いや、魔法は基本的に何かを操るか無から有を作りだすものだ。二人の位置関係を入れ替える魔法なんてあるはずがない。

「お、おう……朔、大丈夫なのか?」

 迅が苦笑いを浮かべ僕に話しかける。どうせここで否定してもなんやかんやで無理やり僕は怜と組んで別々に行動する気がするんだ。

「大丈夫だよ、うん」

 僕は多少乾いた笑いを浮かべて言った。迅の苦笑いがなんだか強みを増したような気がする。

「それならいいんだが……頼むから、無事で帰ってきてくれよ」

 僕が杣に誘拐されていることを知っている迅は、ひときわ僕のことを心配してくれているらしい。僕はそんな迅にお礼とともにお辞儀をする。

「よし、じゃあ朔君、少し遠くの方から探しに行こうか!」

 怜は僕の手を取ると、どこからかまたあのボードを取り出して、僕をそのボードに乗せる。

「掴まっててね!」

 怜はそう言うと、思いっきり水を噴射させて上空に飛び立った。

「う、わ、うわぁああぁっ!」

 僕は慌てて怜に抱き着く。掴まるものがそれ以外にないんだから仕方ない。前回みたいに足に掴まってあんなことになるのも……うん。

「よし、このまま遠くまで行っちゃうよー!」

 怜は楽しそうに空中を飛んでいく。ボードの足場が狭いせいで、下の景色がはっきり見える。僕はそんな恐怖と戦いながら、怜と共に上空を飛んで行った。

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