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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
190/344

-Episode79-

 雷を一目見て、僕は優奈の魔法のことを思い出した。雨が降っている様子もないし、今のは優奈の魔法なのだろう。つまり、近くに優奈がいるということだ。

「朔君、今のって……!」

 怜は僕と同様に優奈がいるらしいことに気付いたようだ。迅もうすうす感づいているような気がする。優奈の魔法を見たことがないらしい弥奈やゴル先輩は気付いていないみたいだが。

「ぬ? どうした朔? 優奈殿を見つけたのか?」

 ゴル先輩が聞いてくる。僕は頷くと、さっき視界を掠めた雷の場所を探す。おそらく裏通りに落ちたと思うのだが……一瞬の出来事だったため、明確に覚えていない。とりあえずどの辺りに落ちたか見当をつけて、そこを指差してみる。

「ふむ……なるほど、そこに行けばよいのだな! ふむ。で、そこにはどうやって行けばいいのだ?」

 ゴル先輩は大きく頷いたのち、一番痛いところを質問してきた。弥奈の虹魔法を使えば一発なのだろうが、確か魔法を同時に使うのは不可能だったと聞いた覚えがある。もしあの場所に移動して結界なしであの黒い異形に一斉に襲われたら少なくとも僕は助かる見込みがない。

「それは、今から……」

 僕が苦笑いとともにそう答えようとすると、何かが凍りつくような音が近くで聞こえた。事実、凍りついていた。怜が氷を使って、橋を作っていたのだ。

「これを渡ればいいんじゃない? これなら弥奈ちゃんも結界を張りながら移動できるし、幅を広くした上に分厚くもしたから、全員で乗っても橋が壊れたりはしないと思うよ」

 怜は橋に関する簡単な説明の後に、彼女自身がその橋に乗って強度を証明した。人一人乗ったくらいではびくともしない。

「おお! ならば某が先頭を歩かせてもらおう!」

 ゴル先輩は嬉しそうに先頭を歩き始めた。後に続いて迅、弥奈、怜、僕の順番で橋を渡る。氷の橋であるせいか割と滑りやすいが、それを考慮してか端の方に手すりのようなものがある。素手で触ると冷たいので、ずっと触っていることはできないが、転びそうになった時に何回か助けてもらった。

「この辺りだと思うんだけど……」

 僕は下を見ながら優奈を探す。こうやって高いところから見下ろすのは好きではないのだが、優奈を探すためならそんな恐怖は余裕で克服できる。しかし、なかなか彼女は見つからない。地面にまで続いている橋だが、地面に近くなると、先程のように影から黒い異形が現れないとも限らない。

「気のせいな筈はないんだけどなぁ……」

 僕は頭を掻きながらそう呟く。怜だって見ていたし、僕の思い違いの線は皆無と言っていいだろう。その可能性を除き、ここに優奈がいない理由は、優奈がここから移動したか、この近くのどこかに隠れているか、だろうか。

「やっぱり一旦地面に降りて探すしかないのかな……」

 僕は溜め息を吐いて、空を見上げる。空には沈みかけの青白い月が、僕達を薄く照らしていた。その月を見て、僕は忘れていたことを思い出す。

「迅……ちょっといいかな」

 何も知らない優奈やゴル先輩、知られると色々と大変なことになりそうな怜には話せないことなので、僕は迅の肩を叩いて彼を呼び出す。

「何々? 内緒話? それなら私も混ぜてよ!」

 怜が楽しそうに話しかけてきた。これから話すことを聞いたら怜は絶対そんなリアクションはとらないと思うが。

「ごめん、怜にはちょっと……」

 僕がそう言うと、怜は途端に不機嫌になって色々と文句を言ってきた。それでも僕の足場だけを脆くしたり、氷塊を飛ばして僕を橋から突き落したりしないで、僕の言い分をちゃんと聞いてくれる辺り、怜もしっかり状況をわきまえているんだなと思わせてくれる。

「……朔君、私ってそんなに状況わきまえてないように見える?」

 怜は僕の思っていることに少しショックを受けたようだ。慌てて怜をフォローするが、怜は何の返答もしてこない。怜が元気を取り戻すまで彼女のフォローを続けようとしたが、急に迅から肩を叩かれ、

「それ以上はやめた方がいい……多分意識していないんだろうが、それはどう考えても追い打ちをかけてる」

 そう言われた。僕も迅のその一言にショックを受けた。……まぁ、結果として怜が僕たちの話を聞く気を無くしたのは、不幸中の幸いか。後で怜にはお詫びとして何かを送ろう。

「で? 話ってなんだ?」

 迅と僕は顔を寄せ合って話を始める。弥奈が僕たちの方が気になってこちらをちらと見てくるが、下手に移動すると退屈なのか周囲を動き回っているゴル先輩が結界から出てしまうので、こちらに近づいてくる気配はない。それを確認してから、僕は迅にこう告げた。

「今、杣の呪いが発動していないみたい」

 迅は一瞬意外そうな顔をしたが、すぐに元の表情に戻り、その後何かを考えるような表情になる。

「――もし、杣の呪いが魔法と似ているなら、今杣がどこかで呪いを使っている?」

 その言葉に若干不穏な予感を感じながら、僕たちは話を続けた。

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